◆003◆記憶と共に
ザザッ。
僕は、砂利の上に倒れ込んだ!
「痛~い!」
両手と両膝をついて、僕は体を起こした。そして振り向く。
そこには十歳ほどの少年達三人が、ランドセルを背負って立っていた。
うん? あれ? この子達は?
って、ランドセル……え?
何で僕は、あの鞄の事を知っているのだろう?
そう考えていると、彼らの事を思い出す。
三人は、同じクラスのいじめっ子だ!
僕は小学四年生で、十歳?!
色々、記憶が混乱しているけど、ここは神社の境内だ。
学校帰りに彼らに連れて来られた。
「お前本当は、女だろう?」
そう言って掲げたのは、僕が持って歩いている裁縫道具が入っている手提げかばんだ!
僕の趣味は、お裁縫!
バカにするけど、皆だって学校で習ってるのに!
「返せよ!」
僕は、取り上げられた手提げかばんを取り返そうと引っ張った!
相手もニヤニヤしながら引っ張る。っと、パッと相手は手を離した。
僕はひっくり返る!
そして、どこかで見た風景が目に入った。手を離した少年から空の風景へ。
ガツン!
頭に鈍い痛みが……。そこから暗闇だ!
あ、僕は死んだんだ! そう思った。
何で? 僕はただ、好きな事をしていただけなのに!
もし今度生まれ変わったら、好きなだけ裁縫をしたい!
僕は、そう願った。ただ純粋に、そう思ったんだ!
――不運な少年よ。その願い、ある条件と引き換えに与えよう。
うん? 誰? 条件って?
――今みたいに願う事。運命に抗った時、新しい運命を授けます。
え? 言ってる意味がわからないよ!
そんな事言ってないで、助けてよ――。
あれ? これって……。
夢? それとも――
――運命を授けましょう!
え?
◆ ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◇ ◇ ◇ ◆
ハッと気づくと僕は、漆黒の絨毯の上で寝ていた。そこから見える風景は、空と森の青と緑のコントラスト。
何? え? どうなって?
僕は、混乱していた。小学校の頃の僕? あれ?
で、今、僕はどこにいるの?
両手を付き、僕は体を起こした。凄い風圧だ!
髪も服も、風でバサバサとなびいている。
僕はどうやら空を飛んで、いや正確には、飛んでいるものの上に乗っかっているみたい。
大きな鳥だ! 漆黒の鳥!
その鳥は、僕を乗せ空を飛んでいた。
っと、羽ばたいていた翼を広げたまま、急降下を始める!
「うわぁ!」
慌てて僕は、張り付くように掴まった。
急降下するその先を見て僕は驚いた! 人がいる!
崖の上に尻餅をついた人……あれって、エジン!?
そうだ僕は、彼に殺されかけたんだ!
エジンは這う様に逃げ出すと、走り出し森の中へ逃げて行った!
『全く。どうしてこんな所に人間の子供が……』
え?! しゃべった!?
この鳥ってもしかして、いやしなくてもモンスターじゃ……。
人間の言葉を話すモンスターって、滅多にいない。
て、いうか。僕はどうしたらいいの!?