◆049◆ずるい二人
「これにしようか」
「これもいいんじゃないか?」
リゼタとエジンが、依頼の紙を壁からはがしている。両方とも☆二つの依頼だ。リゼタは、☆一つの仕事は出来ないから当然そうなるんだろうけど。
結局また一緒に仕事って。
前に組まないって言ったのは、無効になってるんだやっぱり……。
「ねえ二人共。その薬草知ってるの?」
僕の質問に、二人共揃って首を横に振った!
やっぱりだけど、全部僕にさせる気じゃないか!
「あのねぇ……。僕も知らないからね!」
やらないというと文句を言うだろうと、知らない事にした。まあ実際、本物は見た事ないのだから嘘にならないだろう。
「え? 知らないの?」
リゼタが驚いて言う。
「本当は知っているけど、知らないフリしてるだけだろう。仲良くやろうぜ、クテュール」
エジンが僕に向かって言った!
どの口が言うんだ! 冗談じゃない!
殺そうとしておいて、いいように使うってか!
「やりたきゃ二人で行けば? 僕は知らないよ!」
「じゃ分け前は、半分をクテュールにあげるから。ね!」
って、ギュッと僕の手を握ってリゼタが言ってきた! やめてくれ! 仲良くするところじゃなくなる!
僕は、バッとリゼタの手を振りほどいた。
「今日だけだからね!」
「うん。ありがとう」
本当に次はないから!
仕事は、代表が引き受ければいいので、リゼタが穴に手を入れて用紙をもらった。
リゼタは機嫌よくギルドを出るが、エジンは僕をキッと睨んで出て行った。
僕は、悪くないだろう!!
◆ ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◇ ◇ ◇ ◆
一時間後。僕達はレッドアイの森についた。森の奥へと入って行く。
「モンスターを呼ぶなよ」
「なんだよいきなり」
僕は、ムッとしてエジンを睨んだ。
きっとジーンの事を言っているんだと思う。大体、何もしなければ襲わないから!
「もう喧嘩しないの。で、どこら辺にあるの?」
「あのね。僕は本でしか知らないから。どこにあるかなんて、探さないとわからないよ」
「そうじゃ、探しましょう」
「探しましょうって。僕しか探せないじゃないか……」
リゼタの言葉にボソッと返すも、そうよと頷かれてしまった。
仕方がない。さっさと見つけて帰ろう。この人達と言い合いしても埒があかない。
ドサッ! と、危ない!
鞄が突然落ちた。危なく踏むところだった!
ムッとして僕が振り向けば、真後ろにいたエジンがニヤッとしている。
「何するんだよ!」
「お前さぁ。こんな引っ掛けたらすぐ落ちるのは、鞄っていわねぇの! それを教えてやったんだろう?」
「はぁ? だったら口で言えよ!」
「言うよりわかりやすいだろう?」
だぁ! もうこいつは! ムカつく事しかしない!
僕は、鞄を拾いまた腰に結び付けた。でもまあ、エジンの言う通り、何かの拍子に落とす可能性はあるな。止め方考えるか。
近くで、リゼタのため息が聞こえた。




