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モンスターに好かれるテイマーの僕は、チュトラリーになる!  作者: すみ 小桜


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◆035◆仕事の受け方

 結局、冒険者ギルドに連れ戻されてしまった。

 あの丸太の椅子がいっぱいあるスペースの壁には、メモ書きみたいのが張ってある。

 それを「何がいいかなぁ」なんていいながらリゼタは見て回っている。

 なんでこんなに強引なんだ。

 エジンも嫌だったんじゃなかったのか?

 はぁ……。


 「俺、ナットスさん呼んでくるからここにいて」


 「うん。お願いします」


 ボソッと耳打ちすると、イラーノさんはカウンターの右側にある扉から奥に入っていった。


 「これいいかも!」


 ピッと紙を引っ張り手に取ると、よく見るとあった壁の穴に置いた。内側に人がいるみたいで、その紙は中へと消えて行く。


 「証をどうぞ」


 「ほら手を入れて」


 中から声が聞こえると、リゼタが促す。

 紙を置いた穴へ手を入れろという事らしい。

 って、僕に確認なし!?

 リゼタを見ると、大丈夫と言わんばかりに頷いた。

 いやそうじゃなくて、抗議しているんですけど。


 「早くしろって」


 リゼタと組ませるの嫌なくせに、エジンがそう言った。

 仕方がないので恐る恐る左手を入れると、穴の内側が光った!


 『内容:レッドアイの森の薬草摘み/依頼者:薬草屋のビートル/報酬:300(ゼン)


 カウンターと同じ物が、ここにも設置してあるのか壁に文字が表示された。

 薬草摘みなら僕にも出来そうだ。


 「宜しいですか?」


 「はい。お願いします」


 内側の人の問いにリゼタが勝手に答えた。

 あ、そうだ。イラーノさんがナットスさんを呼びに行ったけど勝手に受けちゃって大丈夫かな。


 「もう手を抜いていいわよ」


 僕が穴から手を抜くと、そこに用紙が置かれた。それをリゼタが受け取る。


 「はい。これが依頼書よ」


 そう言って僕に渡す。

 同じ内容が上と下に書かれて、真ん中に切り取り線があった。

 裏返すと切り取り線にまたがる様に冒険者ギルドのハンが、真ん中に押してある。


 「依頼が終了したらこの用紙と一緒に直接依頼主に持って行くの。それで、このハンの様に、依頼主のハンを切り取り線の上に押して貰って、冒険者もサインを同じようにするのよ。それで、切り取った上を依頼主に渡して、下のは冒険者ギルドに戻すの。あのカウンターにね。終わったらまた教えてあげるわ」


 と、リゼタは説明してくれた。

 この用紙は、なくせないって事だね。


 摘む薬草は三種類。ビリビリ(そう)30個、アマイ薬草50個、トゲムシもどき30センチ。

 うーん。ビリビリ草とアマイ薬草は、簡単に集まりそうだけどトゲムシもどきって……そうそう見つからない薬草じゃなかったっけ?

 薬草だけど、トゲのついた毛虫みたいなツルで、草深い地面を這っている。

 難易度はわかんないけど、報酬と釣り合わないような気がする。

 昨日食べたどんぶりは、通常価格200Zで、冒険者価格150Z。

 この依頼もトゲムシもどきを覗けば、採って来て売ればそれぐらいの価格だけど、このトゲムシもどきは、10倍の価値があるんだけどなぁ……。


 「さあ、行くわよ!」


 リゼタが僕の手を取ろうとすると、エジンが僕の手を取った!


 「放せ!」


 手繋ぐならリゼタにしろよ!


 「仲良くね!」


 何も知らないリゼタは、僕らにそう言った。誰がするかぁ!

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