表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モンスターに好かれるテイマーの僕は、チュトラリーになる!  作者: すみ 小桜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/245

◇026◇魔物の谷に挑んだ男

 僕達の目の前には、どんぶりが運ばれて来た。何かの葉の様な野菜の上にごろんごろんと揚げた肉の塊が六個。ゴマも振ってあって、おいしそうだ。

 だけど量が半端ない! 僕がいつも食べている三倍はある。勿論、リゼタのもだ!


 「本当にここは、初心者冒険者の味方よね。量も味も値段もグッド!」


 「そ、そうだね。リゼタ食べきれるの?」


 「勿論。クテュールは、育ち盛りなんだから食べなきゃだめよ!」


 そう言ってリゼタは、ガツガツ食べている。

 まあいいっか。

 ぱくりと食いつけば、お肉はジューシーでかけてある甘辛たれがまた美味しい! 村にはない食べ物だった!!

 お腹もすいていたし、パクパクと食いつく。


 そうだ。ここでリゼタと組まないと言えばいいんじゃないか?

 エジンも聞いているし、リゼタが僕の周りに来なければエジンも僕に近づかない。そうしよう!

 

 「……の息子?」


 ふと、小声が聞こえた。

 二つ隣の席の男たちが、こっちをちらちら見ながら話している。

 僕を見ている?


 (魔物の谷に挑んだ奴のか?)


 (らしいぜ。だからロドリゴさん達と一緒にいたのか?)


 (まあ、忘れ形見みたいなもんだもんな)


 そんな会話をしているようだ。

 僕は人の口を見て、何を話しているかがわかる。読唇術(どくしんじゅつ)を特技として身に着けたのだ。それは勿論、お店で働く為に何かを取得しようと思っての事。

 才出た所がない僕が、考えた末に辿り着いた事だったんだけど。よく考えれば、これお店で働くのに必要なかったかも……。


 もうどうでもいい事だ。

 それよりも、ロドリゴさんと僕の父さんが知り合いだったなんて!

 何も言ってなかったのに……。いやこの人達の勘違いって事もある。


 って、もうギブアップ! 食べきれなーい!!


 「ごめんなさい。僕、無理……」


 「全部食べないと、冒険者値引きにならないんだから食べてよ!」


 「えー!!」


 だったら勝手に大盛頼まないでよ!!


 「ごめん。でも僕もう無理だから……自分で払うから」


 「もう仕方ないわね。じゃわ……」


 「俺が食べる!」


 さっと、僕のどんぶりをエジンが自分の元に引き寄せる。

 なるほど、僕が口をつけたものをリゼタに食べさせたくないんだな。

 まあもう僕は食べられないからお好きにどうぞ!



 ◆ ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◇ ◇ ◇ ◆



 「うー」


 僕の隣でエジンが唸る。っていうか、吐くのを我慢している!


 「ちょっとここで絶対に吐かないでよ!」


 エジンを挟んで反対側に座るリゼタが言った。

 今僕達は、村に向かう馬車の中。ここで吐かれたら最悪だ!

 でもまあ、ざまあみろだ!


 二人は結局、僕について来た。

 まあ、リゼタが行くと言った時点で、来るなと言ってもついて来るとは思ったけど。二人っきりにさせない為に、エジンもついて来るから結局三人で行動だ。

 何でこうなるかな……。


 それに、食堂で男たちの会話を聞いていて、リゼタに言うタイミングを逃した。

 今、リゼタに話してもエジンがこんな状態なら、その話は後でってなりそうだ。

 はぁ……。


 村に着いた。

 何とかエジンは持ちこたえた。リゼタの前だからだろう。

 エジンは、馬車から降りたらダッシュで姿が消えた。


 「もう何で、意地汚いかな。エジンは」


 っぷ。全然伝わってないけど、エジン?


 「じゃ、僕は帰るね」


 「うん。後でね」


 「うん。また明日」


 手を振るリゼタに振り返し、僕はやっと自由になったと家に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ