◇022◇誰のせいだと思ってる!
「さて、本題に入ろうか」
僕が驚いて、ロドリゴさんを見ると、忘れたのかと言う顔つきだ。
「君達が争っていた理由だ」
あぁ。そうだった!
もうエジンのせいで、大変な目にばかり遭っている!
「まずエジンに聞こう。どうしてあの森に行った?」
「えっと……クテュールがモンスターを眷属に出来たんだから、俺にも出来るかもと思って森に行きました」
絶対嘘だ!
リリンと会話しただけで嫌な顔をしていたくせに!
「なるほど。では、クテュールはなぜ、あそこに居た。村に戻ったのではないのか?」
「村に戻る途中で、リリンからSOSが来て……」
「ほう。遠くに居ても話せるのだな」
何故かロドリゴさんが、険しい顔つきで僕に言った!
何かわかんないけど、まずい気がする……。
「いや、そうじゃなくて。危険な時の信号みたいのがあるんです! 普通の人には聞こえない遠吠えっていうか!」
僕は、めちゃくちゃ怪しい言い訳をした……。これ苦しいな。
自分でも信じて貰えないだろうと思ったけど、わかったとロドリゴさんが頷いた。
本当に信じたかどうかは怪しいけど。
「で、そのキラーウルフとは、どこで落ち合った? 行ったらヴァンサギと一緒にいたのか?」
「あ、いえ。森に入ったら待っていてくれて、一緒に向かいました。えっと、リゼタに聞けばわかります」
「リゼタを巻き込むなよ……」
エジンがボソッと呟いた!
誰のせいで巻き込んだと思ってるんだ!
エジンがリリンを襲わなきゃ、こうなってないだろう!
「ではヴァンサギが襲われていたから、キラーウルフで襲わせたのか?」
「え!?」
そう思っていたんだ!
いや、そう見えるか……。
「ちゃんと制御できないって、言っていたよな?」
追い詰めるチャンスだと思ったのか、エジンがニヤッとして言った。
もう頭に来る!
「ちゃんと制御できないのか?」
ジロッと、ジーンを睨みつつロドリゴさんが聞いた!
やばい! このままだとジーンがどうなるかわからない!
「ち、違います! ごめんなさい! リリンをいじめたから頭に来て、ちょっと脅かそうとしました……」
これで何とかごまかせたかな? って、これはこれで、僕に何か罰を科せられそうだけど。
でもジーンが殺されるよりましだ!
「そうか。まあ、いいだろう。で、エジン。君はどこでこのヴァンサギを発見したんだ?」
「え?」
振られると思っていなかっただろう。エジンは驚いている。
もしかして、ちゃんとエジンも怪しいと思っていた?
「ロドリゴさん達に助けてもらった所より、出口の近くです」
「馬を繋いであった奥の方か?」
そうだとエジンは、ロドリゴさんの問いに頷いた。
「ではクテュールの眷属だと知っていて、襲ったのだな?」
「え! それは……」
ロドリゴさんは、今度はエジンを問い詰めている。ちゃんと検証してくれるみたいだ。




