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モンスターに好かれるテイマーの僕は、チュトラリーになる!  作者: すみ 小桜


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◆017◆あの男が!

 僕は馬車の中で立ち上がり、御者がいる側の壁を叩いた。周りの乗客は、僕の行動に驚いている。


 「止めて! 僕、降りるから!」


 「ちょっと! いきなりどうしたのよ!」


 騒いでいる為か、馬車は停止する。すかさず僕は、馬車から降りた!

 リゼタも僕を追って、馬車から降りる。


 「ごめん。僕、用事が出来たから!」


 そう言って走り出すと、リゼタも追って来る!


 「待ちなさい! 何故逃げるのよ! 冒険者になれたでしょう!」


 「だからそうじゃないって!」


 リゼタはまた、逃げ出したと思っているみたい。

 って、僕どんだけ、怖がりだと思われているんだ。

 いやそれよりも今は、リリンだ。

 僕の勘では、森の中だと思う。森に行くように言ったんだし……。


 馬車は幸い村に向かう為、森の近くの道を走っていた。

 僕は躊躇なく、がさこそと森の中へ入って行く。


 「ちょっと何また、森に逃げてるのよ! 戻ってきなさい!」


 「だから違うって! 助けに向かうの!」


 僕はそうリゼタに叫んだ。

 そして、森に向かって叫ぶ。


 「誰か! 誰かいない!?」


 誰かとはモンスターだ。とにかくリリンがいるところに向かわなくてはいけない。僕の足だと、時間が掛かり過ぎる。


 『誰かって(ギャウ)獣人の事か(ギャウギャウ)?』


 その声に僕は振り返る。


 「ジーン? 何でここに!? って、今はいいや。リリンが危ないんだ!」


 「きゃ! クテュール危ないわ!」


 「お友達だから大丈夫!」


 ジーンに近づく僕を見て、驚いてリゼタが言うもジーンにまたがった。


 「え? ちょっと待ちなさいって!」


 走り出した僕達を追いかけようとするリゼタを僕は無視する。もうかまってられない。


 『どこかわかるか?』


 「何となくあっち」


 僕は街側に続く方向を指差す。

 ジーンは、凄いスピードで駆けて行く。よく木にぶつからないなと思いながら僕はしがみついていた。


 『きゃー! 来ないでよ!』


 近くでリリンの声がした!


 「リリーン!」


 僕が叫んだと同時に何かが、僕に衝突した! 危なくジーンから落ちそうになるもジーンの毛を掴みこらえた。


 『痛いだろう!』


 「あ、ごめん」


 走るのを止めたジーンから降り、僕の左腕にしがみついているリリンを抱きしめる。

 衝突してきたのは、リリンだった。


 「大丈夫? リリン」


 『あの男が!』


 「あの男?」


 ガサッ。

 木の陰からはぁはぁと息を切らし、目の前に現れたのは、エジンだった!

 あの男とは、エジンの事だったのか!


 「まさかついてこないと思ったら、リリンを襲うなんて!」


 「はぁ? モンスター退治だろう?」


 「僕の友達と知っているだろう!」


 「一旦、マスターから離れたモンスターなんて、眷属かどうかなんてわかるかよ!」


 僕が叫ぶと、エジンも叫んで答えた!

 僕達は、森の中で睨みあう!

 もう許せない!

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