◇012◇テイマー認定!?
エジンに殺されかけて、テイマーになろうと思った事を言おう。
そして、リリンを森に帰そう!
ただ、モンスターに助けてもらった事を信じてもらえるかだけど。
そう思って大きく息を吸い込んだ時だった!
『ねえ。終わった?』
「うわぁ」
慌てて僕は、リリンの口を塞いだ!
もし僕がテイマーじゃなくて、リリンが本物のモンスターだってわかれば、リリンは殺される!
ギルドマスターのロドリゴさんも小太りのおじさんも、そして門番の二人も驚いている!
あぁマズイ! リリンを逃がさなきゃ!
『ちょっと! 何するのよ! 苦しいじゃない!』
「だからしゃべちゃダメだって!」
口を塞いでいた手を器用に手で押してずらし、リリンはしゃべった!
僕は慌ててまた、口を塞いだ。いや、こんな事をしてももう遅いんだろうけど!
「ロドリゴさん! あれは本物のヴァンサギです!」
「何?」
「おい、お前。見つけて連れて帰って来たのかよ!」
本物だと聞いたエジンは叫んだ!
偶然見つけて連れて来たと思っているようだ。似たようなものだけど……。
それより逃げないと。
ここでエジンに殺されかけた事を話して信じてもらっても、テイマーじゃなきゃエジンに復讐する為にモンスターを連れて来たと思われるかもしれない!
僕は、逃げる為に一歩下がった。
「彼は、テイマーです!」
僕はビクッと肩を震わした!
やばい、バレた!
うん? テイマーだって!?
「嘘だろ……」
僕を驚愕した顔で見て、エジンは呟いた。
嘘だと僕も驚いた!
どういう事?
「彼のステータスには、既に二体の眷属がいる事になっています!」
え? 二体?
二体って……リリンにキュイ!?
え? 僕ってキュイまで、眷属しちゃった事になってるの? あれってそう言う儀式?!
テイマーならリリンを連れていても大丈夫なんだよね?
「あの、リリンは殺さないで!」
「大丈夫だ。殺しはしない。ところでその、リリンは暴れたりはいないな?」
僕がお願いすると、ロドリゴさんは優しく聞いた。
こくんと頷て返す。
「リリン。絶対に暴れないでね」
『暴れないでとは何よ! 大人しくしているじゃない!』
「そ、そうだね。じゃそのままで宜しく」
「凄いクテュール! 本当に会話してるの!?」
目を輝かせてリゼタは言った。
門番たちも物珍しい顔つきになっている!
今度は見世物状態だよ。
でも何とかなった。一時はどうなるかと思ったよ。
「お前まさか。モンスターと取引したんじゃないだろうな?」
僕の横に来たエジンが強張った小声で聞いて来た。
見れば、僕を恐ろしい者でも見るような目で見ている。
どっちが、恐ろしい奴だと思っているんだ!
「心当たりでもあるの?」
僕は、ワザとそう言ってやった。その言葉にエジンは、ギョッとした顔つきになる。
そりゃあるよね。直接突き落としたわけじゃないけど、殺す気満々だったんだから!
これで、エジンと対等だ!
「ちゃんと管理が出来るなら一緒に街に入ってもいいだろう。ついてきなさい」
ロドリゴさんが、そう言って先に街の中に入って行く。その後に僕もドキドキしながら続く。
良いっていうのだからリリンも入れるんだろう。そう思って、足を踏み入れた。
何も起こらず、入れた!
眷属になると、結界をすり抜ける事が出来るんだ! 凄い!




