◇118◇テイマーのイメージ
「直ぐに助けなくてごめんね。でもクテュールって本当にテイマーだったんだね。あのボスが来た時は、本当に驚いたよ」
イラーノが、キュイを見て言ったけど、ゴブリンに襲われた時に気づいていたよね? それに一緒にジーンに乗って森に行ったんだし……。
「それってテイマーだって信じてなかったって事?」
「え? うーん。街が襲われた後にさ、冒険者の書でテイマーの欄を見たけど国に一人だよ? だからピンと来なくて。後さ、モンスターとお友達みたいな感じだったから……何か違うのかなって?」
「え? 変?」
「変と言うか……俺のイメージでは、あのもう一人の人の方がテイマーっぽい感じ? あ、モンスターと仲良くするのはいいと思うよ! あくまでもイメージだから。君に会うまで、モンスターを友達として見ている人に会った事なかったし……。でも、ありだと思う!」
何か最後必死だね。襲わせないから大丈夫なのに……。
やっぱりお友達という感覚は、変なのかな?
一般的には、眷属に対する態度はムダマンスんの方って事か。
だからあの時、キュイに枷をつけて従わせていると思っていた。
そうだ。もう一度お礼を言っておこう。
ロドリゴさんが倒したけど、キュイが来て流れが変わったし。
「キュイ。遅くなったけど助けに来てくれてありがとう」
『うむ。結局何もしていないがな』
「ううん。そんな事ないよ。あ、でもよく僕達が危ないってわかったね? 森の中って把握しているの?」
『いや。ジーンに呼ばれたからな』
ジーンに? あの時吠えたのって目が痛いからじゃなくて、キュイを呼んだのか。サトンを呼んだ時みたいに。
なるほど。
「ジーン。キュイを呼んでくれてありがとう」
『あの時は、それしかなかったからな』
「ふふふ。やっぱり会話が聞こえるっていいね。助けてくれてありがとう。隙が出来て反撃できたよ」
イラーノが嬉しそうに言った。
よく考えれば、モンスターが吠えている様に聞こえるのと、言葉として聞こえるのでは、全然違うかもね。
「イラーノもありがとうだって」
『うむ。彼は我々に友好的だな。彼ともお友達になれるか?』
「俺は、テイマーじゃないと思うからこうやって会話するぐらいなら喜んで」
それってOKって事だよね?
うーん。やっぱりイラーノも僕と一緒で変わってるかもね。
「お友達の儀式は無理だけど、こうやってお話はしたいって」
『それはよかった』
キュイも嬉しそうだ。
人間と仲良くしたいって言っていたもんね。
「ねえ、クテュール。お友達の儀式って何?」
「え……」
言ったらさすがに引かれそうだ。うん。余計な事は言わないでおこう。
「眷属にする儀式。テイマーじゃないイラーノには出来ないから」
「へえ。どうやってやるの?」
「……どうって。お、お友達ねって」
「そんなんでできちゃうんだ」
一応納得したみたい。よかった。
ズザザザ。
「わー!!」
突然目の前に、サトンが現れた。
驚いた僕はジーンに、イラーノは僕に抱き着いた!
びっくりしたよもう。
カララン。
ペッと、サトンは口から何か吐き出した。
見るとそれは、ナイフだ。
もしかしてこれ、僕が落としたナイフ?
「何か吐き出さなかった?」
『見つけたから持って来た』
「ありがとう」
僕は、親指と人差し指でつまんでナイフを拾う。サトンの唾液でべっちょりだ。
「ナイフ? 貢物?」
「貢物って……。違うよ。僕が落としたナイフを探してくれたんだ」
「それ、どうするの……」
さてどうしよう。
ナイフは、ナットスさんに貰って持っているけど、このナイフは父さんの形見だしリュックにでも入れておこう。
「これ父さんの形見なんだ。だからリュックにでも入れておくよ」
僕は、布を取り出しナイフを拭くと、布でくるんでリュックにナイフを入れた。
「あ、落としたからナイフを持っていなかったんだ」
僕は頷く。
ふとトゲムシもどきを採取しようとした時の事をイラーノは思い出したようだ。
「旅立つ前に手元に戻って来てよかったね」
「うん」
そう言えば、サトン怪我してなかったっけ?
「ねえ、サトン尻尾っていうか、ファイヤー当たらなかった? 大丈夫?」
「ジンジンしているが、そのうち治るだろう」
やっぱり怪我しているんだ!
「診せて」
僕がそう言うと、尾の方を見せくれた。赤黒くなっている。
モンスターを治癒出来るはずだけど、どうすればいいんだろう?
ジーンの時は、無意識だったし。
「ヒール」
僕は、尾の方に手をかざし、イラーノがヒールをしていた時を思い出し真似てみた。
サトンの尾が光を帯びて傷が癒え、茶色っぽい肌に戻ったみたい。
『ありがとう。クテュール』
「え? クテュールってヒール出来たの?」
「あ……モンスター限定ね」
イラーノは、凄く驚いた顔をしていた。




