◇108◇探していたカギ
ロドリゴさんは、魔法で治癒したと言っても一度、内臓も傷ついているんだからと、イラーノさんがベットに寝かせた。今は、ベットに座ってこっちに真剣な顔を向けている。
イラーノさんとダイドさんも一緒に、ロドリゴさんの話を待っている。
「もしかしたら気づいているかもとは思っていたが……」
そうロドリゴさんは、切り出した。
「そりゃそうでしょう。見た目からして両親と全く違うんだから……」
イラーノさんがそう言うと、ロドリゴさんは苦笑いをする。
「17年前のある日、ドドイがイラーノを連れて来た……」
「え!? 父さんが!?」
「ドドイが!?」
僕とダイドさんが驚きの声を上げると、そうだとロドリゴさんは頷く。
「もちろん、ドドイの子ではない。だが、新婚の奴の所にいきなり子を連れて行く事も出来ず、私が引き取った。私の妻は、子供が産めないと医者から言われていたし、訳アリのようだったからな」
「え? じゃ、俺の親は誰だかわからないの?」
その問いに、ジッとロドリゴさんは、イラーノさんを見つめる。
「母親は、もう生きていない。時期がきたら君に、ドドイが経緯を話すと言っていたんだ。でも5年前、彼は殺されてしまった。あの時、君の身に危険が及ぶかもって言われてな。もし、ムダマンスが言っていた事が本当ならドドイは、アーツにスパイをさせようとしたと言う事になる。どうしてそんな事をしようとしたのか……」
「え……ドドイが本当にそんな事をさせたと思っているか?」
「あの場で、あんな嘘を言う理由がないだろう? よっぽどドドイを殺したい理由が言えない限りは……」
「ねえ、どうして相手が神秘のカギを狙っていると思ったの? ムダマンスは、一言も神秘とか楽園なんて言っていなかったけど?」
僕を追いかけていた男は確かに『カギになるもの』とは言っていたけど、ハッキリと楽園とか神秘とか言ってはいなかった。
「ドドイが呟いたのを聞いたんだ。楽園の者かも知れないってな。その時は何の事かわからなかった。亡くなった後に楽園の事を調べてみると、エルフが住む場所を楽園と言っていると知った。だが、あいつらが楽園側とは思えない。だったらそこに行く為に近づいたのではと思ったんだ。その楽園に行く為には、あるアイテムが必要でそれは神秘のカギと言われる物だと知った」
そっか。ロドリゴさんの推測だったんだ。でもそれは当たっていた。ただ父さんがそれを持っていたかは不明だけど。
父さんがエルフと接触……。
僕は、イラーノさんに振り向いた。
カギってアイテムじゃないかもしれない。
「気がついたか? 私もそう思う。カギではなく血筋かもしれない……」
ロドリゴさんのその言葉でダイドさんもわかったのか、イラーノさんを振り向いた。
「え? 何? 血筋? え? 俺?」
イラーノさんがそう言うと、僕達は頷いた。
「クテュールはテイマーとして、イラーノはエルフの血筋かもしれないと追われるだろう。特にイラーノは、そう思われればどうなるかわからない……。すまない。私には、二人に逃げてもらう方法しか思いつかなかった」




