第4章20話 昼襲の後片付け
「コロン隊長。敵全員の装備とローブを集めてここに持って来て下さい。財布の中の1デルも見逃さないように。全て騎士団と警備隊の経費とします。冒険者で戦いに参加した人達の名前を控えて下さい。報奨金を出します」
「了解しました」
「サキバさん、お父さんへの土産は、あの2人以外居たら言って下さい」
「あの2人で良いです。残りは死んでますし、人数が多いので」
サキバさんは騎士団員から服と装備を取られた2人を受け取ってワープして消えた。
「トレル隊長。そのオヤジにローブだけ着せ、この袋に残りのローブを全部入れさせて下さい」
「了解しました!」
「また、やるのですか?」
コロン隊長がニヤニヤして聞いて来た。
「やります」
パトリックさんに来てもらった。
「パトリックさん。集まった装備をマイヤー商会で引き取るか業者に売るか出来ませんか?」
「はい、マイヤー商会で始末します。少しお時間を下さい」
「宜しくお願いします」
「ジャン警備隊隊長、何軒燃やされました?」
「9軒です。軽微ですので持ち主が気にしないでくれ、との事です」
後片付けモードになって来た。服と所持品を取った死体は処理の為門から外に出している。
ローブを入れたマジックバックと所持品が来て、パトリックさんに所持品は渡され、預かり書類を作っている
「敵は1023人、600人くらいが魔人と思われます」
「コロン隊長、この男とマジックバックを王宮前に置いて来て下さい」
「了解しました! 前回実行した二名を使います」
騎士団員二名が死体とマジックバックを持ってワープすると、またすぐに戻って来た。
「任務終了しました!」
「ご苦労様でした」
「敵の作戦ミスで思いがけない大勝利でした。騎士団ならびに警備隊、魔術師の皆さんに感謝します」
俺の勝利宣言に、騎士団員、警備隊員、沿道の民から大歓声が上がった。
コロン隊長が寄って来た。
「ヘルンブルグとシュテンブルグが炎上、現在戦闘継続中のようです」
「チャンスだな。『北の国』にワープ出来る人は何人います?」
「三名確保してあります」
「ヘルンブルグとシュテンブルグの戦闘が終わるのを確認して下さい」
「了解しました」
トメラさんが魔力不足らしく顔色が悪いので、先に帰らせた
「マネさん、セリちゃん今日まだ付き合えます?」
「良いぞ。ヒマだからな」
「大丈夫です」
「ミアさん、マネさんの魔法レベルを上げてもらえません? 経費は僕に。終わったら宿に来て下さい」
「了解しました、すぐやって来ます」
状況を理解して無いマネさんを連れて、ミアさんはマイヤー商会に行った。
「ミノル何をするんだ?」
アデルさんが聞いて来た。
「ヘルンブルグとシュテンブルグの戦闘が終われば北の国に帰って来るでしょうから、それ狙って叩きます。これ以上魔人の国の残党が増えても困りますし。
セリちゃんを山の精霊様の守護人にしますので、付き合って下さい」
テリッチさんも一緒に4人で山の精霊様に会いに行った。
「ミノル、その娘が私の守護人になるのか? もっと近くに来い。」
セリちゃんは帽子を脱いで山の精霊様に近づいた。
「なかなか良い娘だな。名は何という」
「セリです」
「そうか。セリ、良い名だ。私に力を貸す意思は有るか?」
「はい! この身に替えましても」
「そうか、ならセリ、お前を精霊の守護人としよう。これがその証しだ」
セリちゃんの首にメダルが付いた。
「私を守る為の力も与えておいた。これから宜しく頼むぞ。他の守護主、守護者、守護人と協力し精霊と民の為に働くのだ。良いな」
セリちゃんは山の精霊様に頷いた。
「ミノル、ご苦労だった。ところで、今晩も忙しいだろうがエールがもう少し増えても文句は言わぬぞ」
「早速そのように手配します」
山の精霊様は消えた。
我々は他の精霊様達にもセリちゃんを追認して貰ってから、宿に帰って来た。
「セリちゃんプレート見せて」
セリちゃんが俺に渡したプレートは全ての魔法がレベル120で精霊魔法が使えるようになっていた。
アデルさんとテリッチさんも覗き込んでいる。
「セリちゃん、これから我々はメダルを持った仲間だ、宜しくね」
「はい! 頑張ります!」
ミアさんとマネさんが来た。
「司令、マネさん凄いですよ。全部90超えました!」
「それは凄いな。マネ、良かったな」
アデルさんが喜んでいる。
「坊ちゃん、こんなにして貰って良いのか? 感謝するぞ」
「さあ、御飯にしましょう。腹が空きました」
魔術師ばかりの遅い昼食となった。サキバさんも戻って来ている。
ここの食事が初めてのミアさんとマネさん、セリちゃんが美味しいを連発している。
マネさんの話だと、ゼンダさんチームは解散するらしい。盾士のドルクさんが親戚のドワーフがホフマブルグで店を開いたので手伝うことになり、索敵のレンさんが家に帰ることとなったようだ。何と叔父さんの寄子の騎士領主の3男だった。
ゼンダさんはB級をまた育てると張り切っているようだ。
「マネさん、情報隊に入りません?」
「儂がか? 無理だろう。騎士団を喧嘩して抜けた身だぞ」
「大丈夫だ、情報隊は別部隊だ。私も勧めるぞ」
アデルさんも勧めてくれた。俺はコロン騎士団情報隊長とトレル警備隊情報隊長を呼んだ。
「コロン隊長、マネさんを騎士団情報隊に配属しません?」
「マネ先輩が来てくれるのですか? 大歓迎ですよ」
「コロン、お前が隊長か。出世したな、仕込んだ甲斐が有ったようだ。儂はこれから部下だ宜しく頼むぞ」
コロン隊長は冷や汗もので、アデルさんとマネさんはニヤニヤしている。
「トレル警備隊情報隊長。セリちゃんを情報隊付きにして下さい。精霊の守護人になったので生活の安定が必要なので。情報隊が必要な時はトレル隊長の部下として手伝ってくれるよ」
「精霊の守護人様を情報隊にくださるのですか? それは大歓迎です!」
「では今からマネさんを騎士団情報隊員、セリちゃんを警備隊情報隊員に任命します。早急に手続きをして下さい」
「「了解しました!」」
「司令、今入った情報では、ヘルンブルグとシュテンブルグの戦闘から敵方は脱出を始めたようです」
コロン隊長が言った。
反撃の時が来たようだ。




