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第4章18話 森の再生


 食堂でアデルさんとテリッチさんが話している。若くなったテリッチさんは頑丈そうな体格で濃い焦げ茶色の中髪、頬骨の高い瓜実顔、身長が伸びてアデルさんと同じくらい、年をとって縮んでいたようだ。

 俺の周りはどうして俺より大きいんだろう。決して美人では無いがとても素敵な人だった。


「凄く素敵になりましたね。びっくりしました」


「私もそう思う。とても素敵だ」


 アデルさんもテリッチさんを見て感心している。


「有り難う御座います。何か恥ずかしいです。200年間、老けるだけでしたから」


「最初に森を再生して、テリッチさんを聖樹の精霊様に会わせて、明日の為の会議ですね」


「こんな時は祝いでゆっくり飲みたいが、仕方無いな」


 アデルさんも、うんざりした顔で言う。

 俺は自分のプレートを出して見ると全部700になっていた。アデルさんが自分のを見て俺に渡した、全部350だった。

 テリッチさんが自分のプレートを俺に渡した。全部120だ。本人も驚いている。


「さあ森の再生からですね。アデルさんやります?」


「ここは広い。ミノルがやれ、私は館の森をやる」


 我々は食堂のテラスから飛び山ら少し離れた。山を明るくしてから、ワンドを取り出し前に付き出して唱えた。


「再生」


 山が唸りながら揺れ、木々がメキメキと音を立てて太くなり枝を伸ばし豊かに葉を湛えた。

 外に飛び出してきた村人達から大歓声が上がった。

俺は皆さんに祝福をバラまくと、アデルさんも幸福をバラまいた。テリッチさんが我々を見て幸運をバラまき、館の森に飛んだ。

 館の森は真っ暗だったので明るくする。アデルさんが気を引き締めて唱えた。


「再生」


 激しい地鳴りとバキバキと木々が音を立て目の前に森林が出来上がった。


「凄い森だな!」


「ですね。これが200年前の館の森ですか」


「私が200年前に見た時もこうでした。美しいですね」


 我々は暫く森を眺めてから、聖樹に行った。


 聖樹の元に精霊様は姿を既に作っていた。


「ミノル、アデル、素晴らしい森になりましたね。私の力も増しました。テリッチここへ」


 テリッチさんが精霊様に近寄る。


「貴方を追認しましょう。精霊魔法を増やしておきました。精霊を守り民を守りミノルとアデルを助けるのですよ」


「はい精霊様。全力で!」


 精霊様はテリッチさんに微笑むと俺に向いた。


「ここも再生出来ますか?」


「やってみます」


 俺が再生を唱えると聖樹域は花の種類が増え、背丈が俺の膝くらいになった。


「美しいですね。妖精達も喜んでます。感謝しますよ」


 精霊様は微笑むと消えた。


 我々は忘れられた森の聖樹に向かった。

 精霊様はやはり姿を表していた。


「テリッチ、良く来ました。早速、貴方を追認しましょう。私が貴方にしてあげれるのは追認だけのようですね。貴方の経験を精霊と民に使い、ミノルとアデルを助けて下さい」


「かしこまりました」


「アデル、ここの再生を頼めますか?」


「はい!直ちに」


 アデルさんが真剣な顔で再生を唱えた。

 聖樹域が一気に華やかな美しさに包まれ、空気まで生き生きとし花と緑の香りに包まれた。


「何て素晴らしいのでしょう! アデル、感謝しますよ」


 アデルさんは無言で礼をして応えた。


「忙しい最中と聴きます。民の為に良い働きを」


 精霊様が消えた。


 宿に戻ると、テリッチさんは明日昼からの作戦に参加すると言い、工房に身の回りの荷物を取りに行った。


 アデルさんは隊長さん達に連絡を取り始める。潜入者の逮捕中らしく夜10時からの会議となった。


「サキバも明日の参加を了解したぞ。今、この宿の部屋でトメラとミアさんの独立祝いだ」


 1時間程あるので風呂に入ることにした。

 精霊様に会い魔法を使っただけなのに身体がベタベタする。服を抜いで歯を磨くと少し楽になった。


「アデルさん……キスしてもらえませんか?」


 アデルさんは、俺の頭を掴み上を向かせて覆い被さるようにキスしてくれた。


「どうした?」


「ボロボロになったテリッチさんや、憎しみばかりのラルドさんの親戚とか……何か気が落ち込んで」


 アデルさんが、またキスをして抱きしめてくれる。肌の擦れで爆発してしまった。


「少しは楽になったか?」


 脱力中の俺を洗ってくれ、二人並んで風呂に浸かって

気を休める。


「嫌な事も見なければならぬ、ミノルのような若い者には辛いものだ。男だ、我慢して明日を終わらせよう」


 アデルさんの言葉に、それしか無いよなと思う。いつも強い人だ。湯船のアデルさんの横顔を見て美しいなと思った。


 我々は洗い立ての服に替えて、オジサン達との会議に向かった。



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