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第4章10話 醜聞だらけ


「人手不足極まりないですね。騎士団の練習生も使いませんか?」


「練習生は2人しか居ませんぞ」


 ドロン大隊長が言った事実に愕然とした。


「20人、練習生は居ませんでした? 僕の記憶違いです?」


「私も、20人の練習生が居ると記憶しているが」


 アデルさんも驚いているようだ。


「御屋形様の命令と聞いておりますが」


 コロンさんが言った。


「それだけは絶対無いぞ」


 アデルさんが憤慨している。


「コロンさん叔父さんに、現在までの状況を報告を即座にしてください」


「了解しました!」


「ドロン大隊長。その二人は使えるのですか?」


「駄目ですな。悪い人材では無いのですが、剣が下手で騎士とは言えませんな」


「誰かいなくなったら、補充が出来ないという事ですか?」


「その通りですな」


「ジャン大隊長。御屋形様から、即座にピーター騎士団隊長、ミレン警備隊隊長を逮捕、両名の自宅を封鎖、家族および使用人は事情聴取、証拠隠、滅資産持ち出しに備えよとの事だ」


 アデルさんからの指示にジャン大隊長さんは、慌てて連絡している。


「何でこんな騒ぎの最中に余計な事を……今よりドロン騎士団大隊長、ジャン警備隊大隊長は隊長に任命します。

騎士団、警備隊とも大隊長を二名ずつ至急任命すること。

 空いた隊長職が有れば至急任命し隊編成を急いでください。使い易さではなく能力と人望を優先する事を希望します」


「「了解しました!」」


「後からチョロチョロ出して来ないように、何か通常有り得ない事が有ったら言って下さい」


「騎士団の予備備品が何も有りません。鎧も剣も弓も全て無いですな」


「何故だ全て揃えた筈だぞ」


 ドロンさんの報告にアデルさんがキレかかっている。


「御屋形様の意向との事でピーター隊長に処分されました」


 コロンさんの返答に頭が痛くなって来た。


「警備隊も備品が有りません。制服の予備すら無い状態です」


 ジャンさんからも意外な報告がされる。


「御屋形様の方針とのことでミレン隊長が処分しました」


 トレルさんが言いにくそうに報告した。


「買わなきゃ……入札するんですか?」


「いや、隊長が業者を勝手に指名して終わる。その結果がこれだ」


 アデルさんが怒りながらエールを飲んでいる。


「今日の押収船の調査は、何時終わります?」


「既に終わっております」


 ジャンさんが返答した。

 パトリックさーん。


「ミノルさん、何か御用で?」


 俺はパトリックさんに備品の説明をした。


「という訳で安く入れて貰えません?」


「よろしいですよ。早急に備品リストを下さい。原価で提供しますので」


 両隊長が頷いた。


「それと、ヘフナドルフに今日押収した船が9艘有るのですが、桟橋を占拠していて港の機能が阻害されてます。マイヤー商会で買い取って貰えませんか? 高く買って下さいよ、それ備品代の足しにするんですから」


「いいですよ。明日にでも船は移動しますので」


「一番大きい二隻は僕が市場価格で買いますので、そのまま置いておいて下さい」


「何かするのですか?」


「カニ漁ですよ! あの船でヘルンブルグのカニが手に入るのです! 海老も大量に取れるそうなので、一艘新造船もお爺さんに頼んであります!」


「左様ですか。その三艘の件はマイヤー商会が引き継がさせて頂きます。ミノルさんは司令と精霊の守護主の仕事に集中してください。大変な時ですから」


「……情報隊の二人に普通に見える魔法服が有りましたら何着か揃えてあげて貰えません?」


「分かりました。明日にでもマイヤー商会に来てください」


 コロンさんとトレルさんが頷いた。


「トメラさんは?」


「事務所で頭を抱えてます」


「希望するなら出資してあげると言っておいて下さい」


「マイヤー商会で何とかしますので」


「……トメラさんの宿に、三階にツインの露天風呂付があったと思うので取ってあげてください。とりあえず1週間。サキバさんも一緒に居れると思うので、食堂の払いも僕に請求するように支配人さんに伝えて貰えませんか」


「良いですね、早速手配します。マイヤー商会として」


「……」


「では失礼します」


 パトリックさんは支配人さんの方に歩いて行った。皆さんニヤニヤして俺を見ている。


「では、とりあえず敵が行動に出てくるまで出来る事をやって、待ち伏せをするという事で。今回の醜聞はすぐ広まりますので民の信頼回復にも絶対に焼き討ちなどさせないように頑張りましょう。

 風呂に入る人、食べ続ける人、仕事に戻る人、自由にどうぞ。とりあえず締めで。乾杯!」


 皆さん、追加注文をしている。


「アデルさん、聖樹に行きません?」


「行こう」


 聖水がカラになっていた。聖水を入れて根を見ると少しだけ伸びている。


「もっと頑張らないとな」


 魔法が強くなった分、根の伸びも良くなっている。二人で1時間に5ミリ以上伸びている気がする。1時間のキリの良いところで休むことにした。

 歯を磨いて風呂で全身を洗ってホッとしていることアデルさんからダメ出しが入った。

 耳と、もう1ヶ所をアデルさんにブツブツ文句を言われながら洗ってもらい、やっと風呂に入った。


「やっと休めました」


「忙しかったからな」


「聖樹は、後1回ですかね」


「やってから決めよう」


「……」


「心配するな、今晩も勉強会ならしてやる」


 アデルさんがキスしてくれる。舌が触れた時、色々な意味で元気が復活してきた。


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