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第4章07話 トメラさんも移住


「ミノルさんは最近、美人としか銀行に来ないんですか?」


 箕輪さんがニヤニヤ笑っている。


「綺麗な人でしょう。僕は大ファンなんですよ。これからホフマブルグに住んで商売しますので、箕輪さんも宜しくお願いしますよ」


「それは素晴らしいですね」


「1億2000万デル、美人さんに渡してください」


 箕輪さんが奥に行き、俺の銀行プレートを持って来た。


「現金にします?」


 トメラさんは自分の銀行プレートを箕輪さんに渡した。


「はい、確認してください」


 箕輪さんに言われ、確認してから銀行プレートをしまった。

 我々はマイヤー商会に行った。


「パトリックさん、店探して貰えます?」


 パトリックさんに事情を話すと、リストを取りに行った。

 俺が腕輪を受け取っているとサキバさんが来て、話し込んでいる。


「僕、館に行って来ます」


 俺はパトリックさんに任せて館に行った。


 お母さんとアデルさんは、応接室にいた。


「お母さん、これ付けていて下さい」


 トメラさんから聞いた効能を説明すると、真剣な顔で聞いている。


「はいアデルさんも」


「良いのか? こんな高価な物」


「綺麗ね。効能より、素敵なんで気に入ったわ。ミノル、有り難うね。毎日、外さず使うわ」


 お母さんが腕輪を付けると腕輪が青く光り身体全体に広がった。


「あらー、不思議な物ね。アデルも早く付けなさい」


 アデルさんが付けるとやはり腕輪は青く光り身体全体が発光した。。


「済まんな。勿体ないな私には」


「何言ってるんですか。叔父さんと兄さん達、居ます?」


「先程は執務室に居たぞ」


 俺は2人にバイバイして執務室に行った。

 執務室のドアから顔だけ出すと3名揃っていた。


「おおミノル、入れ」


 叔父さんがニコニコして招いてくれた。


「皆さん、これ付けて下さい」


 先程と同じくトメラさんから聞いた効能を説明した。


「お願いですから付けていて下さい。風呂でも寝る時も絶対外さないで下さい。ナンカ嫌な感じがするモンで」


「分かったぞ、ミノル。それにしても高そうな物だな。済まんな。大切にするぞ」


 叔父さんが腕輪を付けると暫くの間腕輪が発光して光り、光りの粒が舞った。

 兄達も同様に腕輪は発光し全員不思議そうな顔をしている。


「これで一安心。では、お邪魔しました」


「待てミノル」


 逃亡は失敗したようだ。


「凄い勢いで騎士団と警備隊を改革して、今度は高価極まりない魔法の腕輪を我々にくれたり、何か情報でも掴んだのか?」


「いえ、何も。ただ、ピーター騎士団隊長は全ての権力を自分に集中させ、こちらには何も報告してないと思われます。優秀な人が定年になりかかっていても地位を与えず、騎士団は無気力で口だけの者が増えてます。


 ミレン警備隊隊長も同じく部下からの要望を握り潰し警備隊は機能不全になっています。以前言っていた警備隊70人の3交代で24時間体制も完全な失敗なのに放置です。

 両名とも完全な裏切り行為です。

 これはホフマン辺境伯領の危機とも言えます。


 国会の時なのにヘンドリックス辺境伯は『北の国』への対応を僕に約束し、近日中に返答の約束を無視して私達への刺客の可能性を増大させてます。

 シュナイダー辺境伯は私が使っていた剣鍛冶と弓鍛冶と魔道具店の営業許可をいきなり更新拒否してます。

 ナンカ裏切りか陰謀が有るような気になります。杞憂かも知れませんけど」


「よく分かった。教えてくれて有り難う。気を付けるぞ」


「何か有ったら戦わずにワープで逃げて下さい。全力で逃げて下さい。そして僕に連絡して下さい。例え王都であっても数分以内に平地にして報復します。それだけです」


 皆さん黙ってしまった。ゴメンね叔父さん、俺が少しキレているんです。


「では失礼します」


 俺は礼をして執務室を出た。


 パトリックさんの所に行っても、まだ店舗は決まって無いだろうし御飯でも食べに行こうかと考えているとアデルさんから念話が入った。


『ミノル、ヘフナドルフにすぐ来れるか?』


『行きます』


 ワープするとアデルさんが近くにいた。


「また船で刺客グループが入って来た。既に10人拘束して、次の船を待ち伏せしているところだ」


「新隊長達の腕の見せ処ですね」


「そう思って見ているところだ」


「どうせドロン大隊長とジャン大隊長が、自分でやっているんでしょう。ならこの前と同じですもの。中隊長が指揮を執ったら見ますよ」


 お爺さんが手を振っている。俺はお爺さんに向かった。


「コラ、ミノル待て作戦中だぞ」


「良いじゃないですか。どうせする事は無いんですから」


「兄さん、今日も魚、食べるかい?」


「当然ですよ。あの美味しいエールもお願い出来ます?」


「大丈夫だ。今日は良い魚が有るぞ」


「焼いて下さい。飯抜きなんです」


 お爺さんが大きい魚をおろし始めた。


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