第4章06話 ドワーフ達の移住
聖樹の二本目の根を修復は10日かけて10センチくらい伸びた。20センチからなので半分くらい。
太さが15センチくらい有るので自己修復能力が大きくなってくれないと、残りの根はもっと太いので大変過ぎる。
今朝はアデルさんが、お母さんから呼び出されたので俺は刀の整備に出かけた。
店に入るとドワーフさんは刀の修理をしていた。
「兄さんか、出せ」
ドワーフさんは俺の中剣を調べている。
「使っているな。だが刃に傷も付かん。聖霊の加護が増えている。素晴らしい。
ドワーフさんが中剣の整備をしている時、商品が無いのに気が付いた。
「みんな売れちゃったのですか?」
ドワーフさんは自分の店の中を見て言った。
「違う。店を畳む。営業許可の更新が出来なかった」
「何か有ったのですか?」
「知らん。理由は言わなかった」
「次の行き先は?」
「無い」
「ホフマブルグに来ませんか? 営業許可なら今日中に出させますよ」
「本当か? 二年前に断られた。あそこには爺さんの遺産の工房が有る」
「じゃ是非ホフマブルグに、許可はすぐに出ます。今から警備隊に行きましょう」
「叔父もいいか?」
「大歓迎です!」
俺がマジックバックを貸してあげると、簡単に引っ越し準備が終わった。
「便利な袋だ」
我々は弓屋へ向かった。
「ホフマブルグに移ることにした。来るか? 営業許可は兄さんが今日中にくれるそうだ」
「本当か?」
俺はプレートを出して見せる。
「兄さん、司令なのか。偉いのだな」
マジックバックを貸すと、やはり簡単に引っ越し準備が終わった。
「工房にします? 警備隊にします?」
「工房に行く」
工房に着くと、そこはリリさんの売春宿の近くだった。相変わらず雑多な地域だ。
ドワーフ達は中に入って荷物を解き始めている。広い工房だ。これなら弓屋と剣屋が同居出来る。
「司令、何か」
トレルさんに話しの概要を伝え、即座に二人の移住許可と営業許可を出し、二年前の却下理由も調べるように言った。
「お任せ下さい」
トレルさんは連絡を取っている。
ドワーフ達が荷物を出してマジックバックを返してくれると同時に、ジャン警備隊大隊長が4人の事務官を連れて現れた。
「司令、担当者を連れて来ました」
ジャン警備隊大隊長は俺にそう言うと、その場で手続きが始まった。
「大隊長さん、以前70人の3班に分けて24日間体制という話しを聞いてましたけど、あれは止め?」
「止めるも何も、最初から機能してませんでした。隊長の暴走です」
トレルさんが俺を見て頷く。
「……そうなんだ。今度聞かせてください」
「はい、いくらでも」
話しているうちに手続きが終わった。すぐに営業出来る状態だそうだ。
「兄さん、済まんかったな」
「いえ、近いうちに騎士団を紹介しますよ」
トメラさんが気になったので、シュテンブルグに戻ることにした。
「ミノルさーん、私の店が無くなっちゃうよ!」
やはりトメラさんも営業許可が出なくなったらしい。
「ホフマブルグに来ません? 営業許可なら今日中に出しますよ」
「いいんですか? 魔族ですよ」
「ホフマブルグに美人が増えるだけですよ。許可は僕が出しますから。いつ引っ越します?」
「もう仕事は出来ないし……直ぐに動きますよ」
「店のあては?」
「行かないと探せないですモン」
「じゃ直ぐに」
俺は大型マジックバックを貸してあげた。
「凄い! こんな高価な物」
トメラさんが商品をしまい始めた。立派な箱が見える。
「新商品です! 誰も買ってくれないですけど……」
「見せて下さいよ」
「腕輪です。6本限定品、600年前錬金術師が作った1回だけ身代わりになってくれるという優れものです! 信用して貰えませんけど……」
直径5ミリくらいのガラスチューブみたいな腕輪で青い透明みたいな品だ。じっと見ていると大量の光の粉が泳いでいる。また精霊魔法だ。
「装着するとサイズは自動調整で、回避と自動防御の効果が付きます。精霊魔法が使えると効果二倍、二回死ねる……違うか。外さず24時間付けているのがお勧めです。身代わりになった時は壊れますけど」
「いくらです?」
「一本、2000万デルまで下げたんですけど、買って貰えないんです。頼まれて仕入れた途端、閉店ですし。私、破産ですよ」
「仕入れですか。それは大変ですね」
トメラさんが、お前買え見たいなジト目で見ている。
「良いですよ、6本全部買います。引っ越し祝いです」
「全部ですかー! 凄い!」
トメラさんが俺に抱きついて来た。良い匂い。
「嬉しいー。ミノルさん大好き。アデルさんに内緒ね」
アデルさんとの事はバレているの?
「代金はホフマブルグの銀行で」
「私もそれが良いです」
トメラさんはあっという間に引っ越し準備を終わらせた。
「銀行、行ってマイヤー商会ですかね」




