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第4章03話 自宅謹慎


 我々は宿の部屋に飛んだ。着くとアデルさんは鏡に行きメダルを見ている。興奮気味だ。

 俺はメダルを首から取って見た。デザインと素材は前のと同じだが、透き通ったような不思議な金色となった。

 内側に透けて葉が浮いて、じっと見ると、葉の大きさがメダルの大きさを超え立体的に見るのも同じだ。

 鎖もメダルと同じ素材なのも前と同じだ。


「ミノル、どうやって外した?」


 アデルさんは鎖を顎に引っ掛けて外れないようだ。


「キス1回で教えても良いですよ」


「ミノル、尻剥いてひっぱたくぞ!」


「分かりましたよ。メダルを両手で持って心の中で『精霊様外させて下さい』と言って下さい」


 アデルさんはメダルを両手で持って、目をつむり念じている。すると鎖がスルスルと伸び外させるようになった。

 実はこの方法を見つけるのに10日くらいかかった。


「鏡で見るのと違うな。美しいし不思議な素材だ」


「中の葉を凝視してると大きく見えますよ」


 アデルさんは、メダルをじっと見つめ出す。


「ほ本当だ! 飛び出してくる!」


 暫く見てから、自分で首にメダルを首に戻した。鎖がスルスルと短くなる。

 アデルさんは鏡でメダルの位置を確認してた。


「ミノル、お前のを見せろ」


「胸を吸わせてくれたら……」


 アデルさんは、いきなり俺の頭をひっぱたいてメダルを取った。


「綺麗だ! 不思議な美しさだ。素晴らしいな」


 暫く見てから俺の首にかけてくれた。


「ミノル、感謝するぞ。ついに、こんな役目まで頂けるようになった」


 アデルさんは涙声で言った。


「本当ならキスして感謝したいのだが、してやらん! 罰だ」


 俺がガッカリした顔をしているのを見て言った。


「聖樹に行くぞ。聖水も無い頃だ」


 聖樹に行くと聖水はカラ寸前だった。薄暗くなってきているので明るくすると、凄く明るくなった。

 プレートを出して見てみると、全てのスキルが500になっていた。


「凄いな500ではないか!」


「仕事が、はかどるかも知れませんね」


 アデルさんが自分のプレートを確認している。


「私も200になっている。はかどるぞ」


 根は自分でも修復しているようで、また少しだけ伸びているような気がする。

 聖水を足してから治療を始めると治療部分の青い光が明るい。アデルさんも以前より明るい光を手から出している。

 メキッ、メキッと音も少し大きめだ。汗をかき始めた頃、アデルさんが手を止めた。


「御屋形様がお呼びだ」



 我々が館に行くと、叔父さんと兄達だけだった。


「忙しいところ、呼び出して済まぬな」


 叔父さんが話し出した。


「たった今、ピーター隊長とミレン隊長に自宅謹慎を言い渡した。私の方針と異なる意見を持ち、コロン中隊長、トレル中隊長の報告とも違うと言うか自分の隊を把握していない事が明白となった。

 仕方無く自宅謹慎にするしか無かった。よって暫くは騎士団も警備隊も隊長無しで運営する事になってしまった。済まんな」


「叔父さんが決めた事ですから、何でも従いますよ」


「人事は全てミノルとアデルに任せる。好きに決めて良い。予算も気にしないで良い。好きに変えなさい」


「良いのですか?」


「良いぞ。儂は議会工作などで当分忙しくて、ノアとフェンも貴族対応で手が離せぬ。聖樹で忙しいのは分かっているのだが、此処を何とかして貰えないだろうか?」


「良いですよ。何とかします。僕風になるかも知れませんが」


「ミノル風で良い。任せたぞ」


「では早速」


 我々が部屋から出ようとすると、叔父さんが呼び止めた。


「精霊の守護主になったようだな。おめでとう。アデルも精霊の守護者になったようだな。これからも頼むぞ。

 それと儂達は色々とあって10日くらいは身動きが取れんし居ない事も多い。だから暫くは食事に無理に帰って来る必要は無いからな」


「はい、好きにさせて頂きます」


 部屋を出るとすぐにアデルさんが両中隊長を呼んでいる。


「宿の食堂に来るよう伝えて下さい」


 アデルさんが頷いた。

 我々か宿の食堂に行くといつもの席が空いている。座ると中隊長達が現れた。


「何か緊急事態でも?」


「座って食事でもしませんか? どうせ、まだでしょう。此処のは美味いですよ」


 中隊長達は座って俺の説明を待っている。

 アデルさんがお姉さんに食事とエールを頼んだ。


「ある意味緊急事態です。先程、ピーター隊長とミレン隊長が自宅謹慎となりました。よって暫くは騎士団、警備隊ともに隊長無しの運営となります」


 コロン中隊長とトレル中隊長が絶句していた。


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