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第1章06話 異世界家族


 自分の部屋に直接着くと、日本から持って来た荷物が置いてあった。

 マイヤー商会から貰ったバックから日本から着て来たものを取り出し、洗濯カゴへ入れ靴はクローゼットに。

 大量に貰ったポーションセットの一つを剣帯のバックに入れ、机の上に中剣と弓と矢入れを置く。

 矢入れを見ると既に矢は満タン状態だった。

 ワンドはシャツの胸ポケットに入った。鏡を見て即席冒険者スタイルの自分を見てカッコイイと思った。

 マントを脱いで椅子に掛け、さて挨拶にいかないと。

 廊下に出ると階下がざわざわ。まだ騒ぎは収まってなかった。

 部屋に戻って風呂に入ることにした。魔法でお湯を張り浸かると疲れが取れる。今朝6時から忙しい日だった。異世界で風呂に入っているのが信じられない。

 石鹸で頭と身体を洗う。アカだらけだった。


『何してる?』


 ダニエルからの念話だった。


『部屋で風呂に入っているよ』


『いいなー』


『お前何してるのよ?』


『食堂でホフマン家幹部の騒ぎに付き合わされているの』


『家宰が家族連れてトンズラしたのよ』


『お前の叔父さんだったっけ?』


『そう。家が危機を乗り越えると思ってなかったみたい…というか今回の主犯臭い』


『被害はまた拡大するの?』


『それは無いみたい。誰かと共謀して辺境伯家の乗っ取り狙ったけど、お前のおかげで切り抜けちゃったんで逃げたというところ』


 石鹸を流して湯船に再度浸かる。もう動くのが嫌になる。


『お前、食堂に顔出せよ』


『嫌だよ。俺関係無いモン。レナ叔母さんは?』


『部屋で妹のキュレット伯爵夫人に泣き付かれてる。破産寸前みたい』


『あのオバチャン苦手だなー。叔母さんに挨拶したいのに』


『ノア兄さんの借金値引きはどうなった?』


『おう、大成功で全員から30%値引き勝ち取ったらしいよ。兄さんと親父はさっきまでニコニコで、今日はお前と俺の帰還祝いと危機乗り切り祝賀会だと母さんもルンルンだったのにね』


『俺、外で飯食ってくるわ』


『待て。俺を見捨てるのか!』


『トーゼンよ。頑張って』


 念話を一方的に切り、下着も変えて服を着なおす。ベランダに出ると風が心地良い。

 急に思い立って、正面の木の枝の先に風魔法で圧縮空気の弾を撃ち込んでみる。

 視線をターゲットとして眼から弾が出るイメージで発射。

 枝先が飛び散った。

 すげー。手をかざしたりしないで、無詠唱でいける。レベル99はすげーなー!

 空気弾を連射もできる。けっこう遠くても届くようだ。

 明日から練習して命中率を高めよう。手を使わないから剣を使いながら打てる。これは強みだ。

 暗くなってきたので、暗視を使う。かなり明るく見える。これは便利だ。


 警戒をしてみる。周囲に悪い人はいないみたい。警戒は常時発動しておこう。

 中二病全開なのです。


 短剣を抜いてみた。軽くてバランスも良い。凄く振りやすい。刃渡り50センチくらいかな?

 ミスリルはカッコイイな。確かに護身用ならこれで充分かも。

 家の中で帯剣か。叔父さんも兄貴達もしているから怒られないと思うけど。


 ドアがノックされた。


「ミノル坊ちゃん、お久しぶりです。御屋形様がお呼びです」


 クソ。ダニエル裏切ったな。

 メードのミリーさんに監視されながら一階の食堂に向かった。


「ミノル坊ちゃん、恰好良いですね」


「ありがとう。今日手に入れたばかりなんだ」


 ミリーさんは前から俺の世話をしてくれている、とても優しい人だ。

 ミリーさんがノックしてドアを開けた。


「ミノル様、お帰りです」


 ミリーさんの後ろから顔だけ見せると、レナ叔母さんが満面の笑みで飛んで来た。


「お帰りミノル。お母さんによく顔を見せて。よく帰ってきたわ。もう辛い思いはさせませんからね」


 レナ叔母さんは抱いてくれた。涙を流している。本当に有り難いと思った。

 フレードリッヒ叔父さんも、わざわざドアのところまで来てニコニコと俺の頭を抱え小声で


「今日は済まなかったな。心から礼を言うぞ」


「当然のことをしただけですよ。気にしないでください」


 俺も小声で返すと、叔父さんは俺の肩を抱えて


「ミノル、随分恰好良いな。男らしくなった!」


「そうね。男らしいわ。お母さんも好きよ。素敵な服と剣ね」


「ミノル。剣を見せろ」


 フレードリッヒ叔父さんに鞘ごと短剣を渡すと、フレードリッヒ叔父さんが剣を抜いてじっと見る。


「ミスリルか。何でも斬れそうだな…素晴らしい剣だ。どうやって手に入れた?」


「マイヤー商会のハリーさんからいただきました」


「あの野郎。こんな良い剣隠し持って。儂には売らんのに」


 部屋中大笑いとなった。



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