第4章02話 精霊の守護主
食事が終わって部屋に戻った。すぐ服を脱ぎ歯を磨くと少しさっぱりした。疲れるかもしれないが風呂に入ることにした。
身体を洗っていると、アデルさんも入って来た。
「気持ち悪くて我慢できん。ベタベタしている」
「これだと日に三回は風呂と着替えが必要ですね」
「そうだな、着替えを貰って良かった」
テキトーに洗って風呂に入ろうとする。
「コラー、適当に洗ってるんじゃない!」
「夜はチャンと洗いますからー」
アデルさんはブツブツ言いながら見逃してくれた。だが毎回、頭からつま先まで洗わないと気持ち悪い感じだ。
アデルさんも入って来た。
「朝と夜に働いて昼にダラケるとか作戦を練らないと駄目ですね」
「そうだな、体温調整の付いた服を着て、これでは困ったものだ」
「昼寝してしまいましょうか」
「そうするか」
「その前に少しだけ……」
アデルさんが俺に何か言おうとした時、それは起きた。
「地震だ! 大きいぞ!」
アデルさんは俺を、かばうように抱えた。地震が終わるまで、アデルさんは俺を身体でかばっていた。
ここでは地震はめったに無い。
「アデルさん、服を着て行こう。忘れられた森の聖樹だと思います」
俺が風呂を出て服を着ていると、アデルさんは鏡の前でポニーテールにして髪留めを付けている。
俺はフル装備状態になって待つ。
「チョットだけ待て! すぐ終わるからな」
慌てて服を着ている。アデルさんも女なんだなと思った。
我々が聖樹域に着くと、すごい量の光の粒が舞っていた。お母さんが既に居た。
「ミノル、良くやりました。お母さんは誇らしいわ。アデル、ミノルを支え、よく聖樹に献身してくれました。心から感謝するわ」
光の粒が渦を巻くように動き、人の形を作り出した。
「皆、良くやってくれました、私がこの樹の精霊です。
根が先程、地脈に届きました。もう聖水の力は要らな一くなりました、長く見守ってくれた貴方達のおかげです」
「レナ、毎日歌ってくれましたね、これからも力を貸してくれますか?」
「はい、この身が尽きるまで」
「レナ、貴方にはこれを授けましょう。近くに」
お母さんが精霊様の近くに行くと精霊は、お母さんに銀色に見えるようなメダルを首にかけた。
「貴方は今から『精霊の守護人』となります。貴方には特別な使命が有ります、分かってますね」
「はい、精霊様」
「これは『精霊の守護人』としての証です。失うことはありません」
「有り難う御座います、精霊様」
精霊様は頷き、アデルさんに向いた。
「アデル、良い働きでした。これからも力を貸してくれますか?」
「はい! 命に替えましても」
「アデル、貴方にはこれを授けましょう。寄りなさい」
アデルさんは精霊様に近くと、俺のと似たようなメダルをかけて貰った。
「貴方は今から『精霊の守護者』となります。これはその証です。失うことはありません。より働けるように力も与えましょう」
アデルさんが青く光った。
「これからは地脈の本流からも、魔力を得ることが出来ます。正しく力を使いミノルを支えなさい」
「あ、有り難う御座います! この身を捧げ頑張ります!」
精霊様はアデルさんに頷き、俺に向いた。
光の粒が渦を巻いて、もう一体の精霊が現れた。館の森の精霊様だ。
「ミノル、ご苦労でした。貴方は、より大きな使命に向かうことになるでしょう」
精霊様達の声がコーラスのように重なって聞こえる。俺は青い光と光の粒に包まれた。
「貴方は今から『精霊の守護主』となります。証は変えておきました。力はより強大となります。聖樹と民を守りなさい」
「はい、誠心誠意」
二体の精霊様は俺に頷いた。
「貴方達に期待してますよ」
光の粒がパッと散り精霊様達が消えた。
「ミノル、アデル、良かったわね。二人で仲良くしなければ駄目よ。私まで、いただいてしまったわ。ミノル、有り難うね」
「とんでもない、お母さんがアデルさんに僕を預け、躾してくれたおかげです」
「そうね、アデル感謝しているわ。これからもミノルを支えてね。もっと色々な事を教えてあげてね、出来るのは貴方だけよ」
「はい! 奥様」
「そうそう、今晩の館は来なくてもいいわ。ピーター隊長とミレン隊長がフレードリッヒに絞られる日なの。貴方達が居ると隊長達が惨め過ぎるわ。貴方達は当分、好きにしていると良いわ。フレードリッヒには私から言っておくから」
「分かりました。それと近日中に修復している聖樹に御案内させて頂きます」
「あらー、嬉しいわ。待つているわね。私は今日は慈善の夕食会なの、行くわね」
お母さんがパッと消えた。
「相変わらずですね」
「奥様は、あんなものだ」
我々は一礼して聖樹域を出た。




