第4章01話 朝はのんびり
朝起きたら9時だった。
「オハヨーございます」
「おはよう」
まだ寝ぼけている。歯を磨いて少し人間に戻った。アデルさんもベッドから出て来て歯を磨き出した。
先に露天風呂に行き身体を洗っていると、アデルさんも入って来た。
「ベタベタだな」
「夢で無かった証拠みたいで嬉しいですよ」
「そうだな、私も起きた時ミノルが側に居てホッとした。夢なら悲しいではないか」
アデルさんの背中を流す、がっしりした背中だ。終わると俺の背中を流してくれた。
「前」
「何故、何時まで経っても下手なんだ。痒くなるぞ」
ブツブツ何か言いながら洗い直してくれた。風呂に浸かると青空の下、とても気持ち良い。
「コロンとトレルに聞いたら何も無いそうだ」
「じゃ、洗濯物と着替えと、聖樹巡りと……銀行行きたいですね」
「付き合うぞ」
「一緒に居れるなら嬉しいです」
服を着て聖樹の様子を見に行った。
「緑が増えているな」
「効果はバツグンでしたね」
お詣りをしてから、聖水を足して歩く。全ての根の水受けはカラだった。
忘れられた森、館と順番に周り自分の部屋に行った。洗濯物を置いて靴を替え、着替えを多めに持った。
「坊ちゃん、おはよう御座います」
ミリーさんだ。
「おはよう御座います。洗濯物ばかり増やしてスミマセン」
「どんどん出してください。夏に聖樹の修復で大変なんですから」
もう知れ渡っている。
銀行に行くとアデルさんが箕輪さんと話してた。
「お久しぶりですね。今日は?」
「3000万デル現金で下さい」
箕輪さんは現金をアデルさんと俺に渡してくれた。
「貴族が屋敷を売りに出す噂が2件程有りますよ」
「面白いですね、買おうかな」
「お勧めですよ。安全だし」
「パトリックさんにでも聞いてみます」
という訳で事務所に行った。パトリックさんが居なくてハリーさんが居た。
「暑いですね。お座りください」
「今に箕輪さんに聞いたのですか、貴族の館が出そうという噂なんですけど」
「噂で無く本当です、頼まれましてね。お勧めしようかと考えていた所です」
「可能なら、お勧めを買っておいてください」
「分かりました。それと着替えが沢山必要でしょう。今、アデルさんの分と持って来させますから」
「もう聞いているんですか!」
「はい。早耳が仕事みたいなものですから」
ハリーさんが笑って言った。
事務員さん達が箱を持って来て置いていく。ハリーさんが中から服や下着などを出して、商品台に積み上げてゆく。
サキバさんとミアさんが入って来て、サンドイッチとエールを机の上に並べだした。
「海老フライと鳥カツです。早く豚が生産出来ると良いのですが。そう言えば、捨てられた街の再利用が認められました。農園用の土地も話しが進んでいるので動き出しますよ」
「豚が一気に広まるチャンスですね。ハリーさん水産高校の出身者も雇うと良いですよ。これからは新鮮な魚の需要が増えますから」
「水産高校ですね。良い事を聞きました。すぐに探します。海老フライだけで日に3000尾売り切る状態ですので、白身魚も足らないです」
「今に養殖することになりますよ」
アデルさんとサキバさんはひたすら食べている。ミアさんがエールの追加を持って来た。
「ミノルさんが来てから仕事が、どんどん大きくなってます。感謝しますよ」
「とんでもない、言うだけ大将ですから。相変わらずこのサンドイッチ、美味いですね。日本を思い出します」
「いや、癖になりますよ。毎日食べてますから」
ハリーさんが笑って言った。
遊んでばかりでは仕事が進まないので失礼した。
宿に帰って袋を開けてみると、シャツ10着、ズボンが3本、大量の下着、ブーツが1足、聖水が3箱、すごい量だった。
「助かりますね」
「本当だ、少し足らなくて買おうと思っていたところだ」
アデルさんと相談の結果、聖樹に行って作業を始めることにした。
聖樹の青葉が太陽光を反射して、少し元気になっている。アデルさんは早速、聖水を足して歩く。根の水受けは半分くらいになっていた。
昨夜光っていた根の水受けを取り、根を調べると中心の生木部分が2センチくらいになっている。気のせいか切り離された根までも、少し近づいたような気がする。
「1時間かそこ等で休まないとバテますね」
「明るいうちは早めに休もう」
「今日も晩御飯は館で食べます?」
「そうだな、ゴタゴタは嫌だが行くか」
「あの人なら暫くは静かだと思いますよ」
「何を考えているのか、考え違いも甚だしい。昨夜は助けて貰ったな、感謝しておるぞ」
「とんでもない、放って置いたら叔父さんがキレそうでしたから」
根はピキピキ音を立てている。それにしても暑い。
「ミノル、休もう。喉が乾いた」
我々は食堂に行き昨日と同じ席に座った。エルフのお姉さんがエールとお絞りを持って来て迎えてくれた。
「お絞りは助かる。済まんな」
「昨夜遅くまでやっていたのに元気だね」
俺が言う。
「私は遅番で今来たんでーす。早番の娘は朝5時から昼の1時まで、ここは宿屋なんで朝早くから遅くまでやらないと。忘れる前に言わなきゃ、鳥のソテーとコンソメスープです」
「僕は鳥のソテーだけでいいです」
「私もだ。エールな」
「はーい」
「元気で良い娘だ」
お姉さんはスキップするように厨房に向かって行った。




