第3章07話 重装備兵団の来襲
「ミノル。朝だ起きろ」
「……はい」
眠くてノロノロしていたら、裸でベッドから引きずり出され水風呂に叩き込まれた。
「恥ずかしがるな。見慣れておる。ベランダに居るぞ」
前を隠す暇もなかった。それにしてもアデルさんは力持ちだ。絶対腕力で敵わない。
「用意が出来ました。スミマセン」
「良い。気にするな」
我々は館の森にお詣りしてから、忘れられた森に行った。
「大きくなっているぞ! 本当に1メートルは有るな」
アデルさんに聖水を渡してあげる。
「いいのか? 済まんな」
アデルさんは、丁寧に聖樹の根元に聖水をかけて、半分くらいのところで俺に渡した。
俺も残り半分をかけてから、二人でお詣りした。
「うん。明日も一緒に来よう」
裸で水風呂だけは勘弁してください。
捨てられた街に6時前に着いた。
「ピーター隊長。館の朝食会議に行って頂けます?」
「私だけですか?」
「私も隊長の説明の方が良いと思う」
アデルさんも言ってくれたので、ご機嫌でワープして行った。
「ミノルも上手になったな」
「味方にしとかないと、アデルさんとヒマな時に遊びに行けないじゃないですか」
アデルさんが大笑いしている。
朝食が運ばれて来た。シチューと黒パンだ。兵隊さんは朝から栄養をとる。
「今日は来るかな?」
「来ても様子見程度じゃないですかね」
「矢張り明日以降か」
「今日は便所と風呂を作ろうと思っているのですが」
「うん、いいな。手伝うぞ」
指令テントの前で騎士団の交代が行われた。カッコ良い。
「毎日入れ替えにしたのか?」
「はい、その方が疲労しないと思ったので」
「そうだな。ミノルは良い司令になるぞ」
アデルさんと指令テントの裏に行って、平らな土地を作っていると騎士団の人達が寄って来た。
「何をしているのでありますか?」
「皆さんで使えるように、便所と大きめの風呂を作ろうと思っているのです」
「お任せください。魔法も使える慣れたのがおります」
では、ということで任せるとテキパキと凄いスピードで作ってゆく。上手だ。
我々は即されて指令テントに戻った。
「上手なものですね」
「慣れているからな。でも普通は1日交代なら作らせない指揮官が多いのだ。必要なのにな」
「そうなんですか」
「皆、喜んでおるぞ」
いきなり城塞都市正門の前に兵団が数十人現れた。俺は即座に飛び出し雷撃を連射した。アデルさんは俺より高い位置から雷撃を撃っている。
第2弾の兵団が現れる。俺も高度を高く取り雷撃を撃つ。
「ズドドドーン」
全部で一人10発くらいで殲滅した。さすがに二人で20発も撃つと耳鳴りと目のチカチカが辛い。
降りて見ると黒いプレートを着た100人くらいの兵団だった。
赤い八芒星がプレートについている。アイラス教団だ。
「あいつ等、兵団も持っているんですね」
「そうみたいだな。これは早く気が着かないと危なかった」
「ですね。こっちの倍の兵力でワープして来ましたね」
ピーター隊長が飛んで来た。
「御無事ですか!」
「大丈夫です」
「重装備隊が居るなんて…」
騎士団の人が片付けている。
「丁度100人です」
「アイラス教団の神は、助けてくれなかったようですね」
ピーター隊長と騎士団の人が大笑いしている。
「隊長さん。帰ったばかりですが、館に報告に戻って頂けますか?」
「はい。分かりました。即刻」
ピーター隊長が館に飛んだ。
「フルプレートは電気が通り易いので、雷撃攻撃に向いてますね」
「うん、そうかもしれん」
「高い位置からだと30人くらいまとめて攻撃できますよ」
「そうか! それは良いことを聞いた」
変な感じがする。
「指令官らしいのがいないと思いませんか?」
アデルさんがハッとした顔をして叫んだ。
「総員、キャンプに戻れ!」
我々は飛び上がり、高度を高くする。
5分くらい何も起きない。もう何も起きないと思った途端に大量の重装備の兵団が現れた!
アデルさんと俺は片っ端か雷撃攻撃を連射する。
「ドドドーン」
全部片付ける前に次の兵団が現れた。
俺は雷神攻撃に切り替え連撃する。
雷神だと確実に30人は倒せる。次が来る可能性が有るので、狙っている暇は無い。
雷神を10発以上撃ったところで、殲滅出来たようだ。
アデルさんと二人合わせて、雷神と雷撃を50発くらい撃った。慌てて相当無駄撃ちしている。
降りて見渡して見る。
白いフルプレートに八芒星が倒れている。
「これが指令官ですかね」
「そのようだな」
「凄い数ですね」
「うん。最初のが先発部隊だったようだ」
「兵力からいって、今日は品切れと思いますが…」
「少し様子を見てから片付けよう」
我々は指令テントに戻った。
「怪我人はおらんか?」
「大丈夫であります!」
「早く気が付いて良かったです」
「私が先に気が付くべきだ。失敗だった」
「仕方ないですよ。まさかこれ程の戦力を持っているなんて考えもしませんでした」
「そうだな。多過ぎる。精霊様に魔力を貰ってなければ、とっくに魔力切れだ」
「休んで補充してください」
「うん。そうしよう。半分近く減らしてしまった」
「まだ来る可能性が有ります。騎士団の皆さんは下がっていてください」
フルプレートの山を前に休むことにした。




