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第3章05話 ヘフナドルフ


 アデルさんと俺は漁村にワープした。

 『ヘフナドルフ』という村で、結構大きな村だ。海の向こうに陸地が微かに見える。魔人の大陸のようだ。

 二人で村を歩いていると、村長らしきオッサンが出て来た。


「お前ら何者だ!何処から来た?」


「ホフマン家のアデルだ。こちらはミノル様である。お前こそ何者だ!」


 アデルさんは剣を抜いてオッサンの首に当てている。ふざけた態度にキレたらしい。


「偽物が何を言う。余はヘフナドルフの村長であるぞ!」


 俺達を5~6人が囲んだ。

 その時、ミレン警備隊隊長と20人くらいの警備隊が現れ、全員を逮捕した。

 アデルさんが呼んだようだ。


「申し訳有りません。この村はまだ調査前でありまして……」


 アデルさんがミレン隊長に、何故この村に来たか説明している。村人は近付いて来ない。


「この村を即刻制圧、調査せよ!」


 ミレン隊長の命令に15人くらいの警備隊員が村に散らばった。

 ピーター隊長が騎士団を5人連れて到着した。アデルさんがまた説明している。

 ピーター隊長は顔色を変えミレン隊長と相談している。

 兄貴達が、もう20人くらいの警備隊員を連れて登場した。

 兄貴達はアデルさんと隊長二人と話し込んでいる。


「最近、お手柄はミノルばかりだな」


 フェン兄さんが笑って話して来た。

 警備隊が、また数人を逮捕したようだ。アイラス教団の服装をしている。騒ぎが大きくなって来ている。

 騎士団が、また30人くらい到着した。村の完全制圧をする気だ。


「3時間くらい前に食料を積んだ馬車が出たらしいです」


 警備隊員が伝えて来た。


「間に合ったら破壊します。兵糧責めにしましょう!」


 俺が言うとアデルさんが頷いた。

 二人で街道沿いに飛んで馬車を追う。一本道だ。

 スピードを上げて飛んでいくと、1時間くらいで3台の荷馬車が見えて来た。相手も気が着いたらしく、ファイヤーボールを撃って来た。

 アデルさんが先頭の荷馬車に雷撃を落とした。馬車は転倒し、後続の荷馬車2台がぶつかって止まった。

 降りると食料が散乱し、アイラス教団の服を着た男女6人が道に転がっている。二人生きていた。

 アデルさんがワープで消えた。

 道に転がっているのは全員30歳くらいの年齢に見える。

 アデルさんが警備隊員5人を連れて来て、後を任せた。

 我々はどんどん進んでいく。

 途中で休みながら進んでいくしか無い。誰も『捨てられた街』に行った人間が居ないのだ。

 木陰で並んで座って休む。8月に飛び続けるのは体力が要る。並んで座っているうちに寝てしまったらしい。起きたらアデルさんに膝枕をして貰っていた。


「ごめんなさい。すみません」


「何を言う。これしき。何時でもしてやるぞ」


 気持ち良かった。なんか久しぶりの安心感だった。

 アデルさんに謝ってから、口の中を浄化してまた飛んだ。

 3度目の休息をしていると、捨てられた街の方向から荷馬車が3台走って来た。

 我々は飛んで空からの偵察行動を始めると、ファイヤーボールを撃って来た。

 俺とアデルさんが雷撃を打って片付けた。降りて見ると、矢張りアイラス教団の服装の6人が転がっていた。全員死亡していた。

 アデルさんがまた警備隊員を連れて来て現場を任せて、我々は前進を続けた。


 夕方に視界に大きな城塞都市が見えて来た。『捨てられた街』だ。確かに1万人規模はある。

 城壁から矢とファイヤーボールが撃たれて来た。我々はバリアーを張り空爆を始めた。警戒で見ると相当の人数だ。

 三往復くらい攻撃して、正門から少し離れた空き地に着陸した。

 アデルさんがワープで飛んだ。正門の監視塔からこちらを見ている。

 兄貴達とピーター隊長と副官を連れてアデルさんが帰って来た。副官はすぐにワープで消えた。

 ノア兄さんに、この地域の説明を聞くと、此処は王国の領地でも無いという。この城塞都市の後ろに森が有り、その向こうは荒れ地の無人地帯で、やはり何処も領有を主張していない。森の両側は山脈で、荒野とこちらを分けている形になっている。


「兄さん、叔父さんに言って即刻森の端からこちらを領有宣言出来ませか? 王国が先に領有宣言して貴族でも置かれると、話が面倒になります。

 街道の切れた部分の砂を除ければ開発維持していたと主張出来ますよ」


「言えてるな……」


 三人で地図上、ヘソのように辺境伯領に飛び出した無人地帯を見る。


「ヘフナドルフは魔人の大陸に近いようですし、ここは結構な重要地帯になりますよ。特に『捨てられた街』は軍事的にも他に取られるとマズい気がするのですが。素人考えですが」


「いや、素人考えではないよ。ミノルの言う通りだ」


 フェン兄さんが言った。


「よし、俺はこれから館に帰って親父を説得する。お前ら、後を頼んだぞ」


 ノア兄さんにフェン兄さんと俺は頷いて了解した。

 ノア兄さんがワープするとフェン兄さんが言った。


「ミノルはこれどうする気?」


「時々攻撃して兵糧責めしか無いと思いますよ。兵力が全然無いですもん」


「そうだな。ミノルが正しいよな」


 ピーター隊長は無言だ。

 騎士団が50人程現れ、キャンプの設営と指令テントを張り始めた。

 アデルさんが追加空爆をして帰って来た。

 俺は正門地域を明るくして監視し易くする。


「お前の魔法は便利だな」


 フェン兄さんが笑って言った。



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