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第3章01話 忘れられた森


 少し残念な結果となった魔獸の森オーク討伐大作戦だったけど、即座に動いたのでとても評価は高かった。

 辺境地域の警備は代理で行った警備隊の人達が大活躍だったようだ。

 成りすましの村民を1日で10人以上発見したようで、警察活動はやはり警備隊さんの方が安上がりだし向いているという結論になった。

 現在、220人の警備隊を250人に増やし、ホフマブルグの警備を70人の3交代とし、40人を辺境地域などに即時投入できる体制を作り、何でも騎士団を送らなくても良いようにするようだ。


 聖樹に御挨拶して、先日の無事帰還のお礼をした。サキバさんも連れて来たいのだが、魔人さんは独自の宗教を持っているので言いづらい。様子を見て言ってみようと思う。


 ギルドに行くと、もう警備隊員募集の張り紙が出ていた。

 Bレベルの若手が集まって真剣に読んでいる。

 先日の魔術師セリちゃんが、掲示板の前で仕事を探してた。


「良い依頼が見つかった?」


「あ! おはようございます。先日は有り難う御座いました。私は初心者ですし、単独ですので薬草がやっとみたいです」


「一緒においで」


 食堂の奥で、ノレルさんと4人娘が座っている。


「ねえ、この娘仲間にしない? 魔法使いだよ。」


「入ってくれるなら大歓迎だよ。魔法使いなんて相手にしてくれない」


「じゃ、決まりね。これでワープで帰って来れるだろ」


 皆でニコニコ頷いている。


「皆さん、宜しくお願いします。セリです」


 セリちゃんは帽子を取って、挨拶した。

 早速、全員で仕事探しに掲示板に行っていた。


 ジグロさんが困った顔で俺の所に来た。


「若手のBレベルが減りそうです」


「彼等も安定した職業が欲しいでしょう、でも必ず読み書きと簡単な計算くらいは要求されるので、全員冒険者からは無いでしょう」


「それもそうですね」


 森が安全になったので、皆が喜んでいるとジグロさんが機嫌良く教えてくれた。


 正門に行き外に出た。魔獸の森とホルンの森へ向かう冒険者が見える。なんか急にのどかになった。

 魔獸の森とホルンの森の間の街道を、白い馬が1頭こっちに向かって来る。手を振っている。アデルさんだ。何時見てもカッコ良い人だな。酔っ払っている時は除くけど。


「ミノル、何をしている? また狩りか?」


 最近アデルさんは二人の時や親しい人だけの時は、君抜きのミノルと呼んでくれる。


「ボーっとしているだけですよ。アデルさんは珍しく、こっちの街道の見回りですか?」


「うん、問題が無くても時折は見ておかなくてはな」


「今日は辺境地域には行かないのですか?」


「行かん。する事が無い。今日はヒマだ」


「ヒマなら偽コーヒーでも飲みに行きません?」


「なんだ? それは。とにかく行こう」


 アデルさんは正門の警備に馬を任せて来た。

 俺達はリリアドルフに飛んだ。

 アデルさんにコーヒーの説明をしながら、何時の店に行った。朝でガラ空きだ。


「ここか! 良いな。景色が良い」


 ウェイトレスのお姉さんが偽コーヒーを持って来た。

 アデルさんが一口飲んで苦そうな顔をする。


「そこにある砂糖を入れると飲み易いです。2匙くらいかな」


「うん。美味くなった。確かに時折飲みたくなる味だ」


 二人でボーっと海を見ている。ヒマな楽しい時間だ。


「今度、ご飯食べに来ませんか? 海老が美味しいです」


「海老か。好きだぞ海老は。来よう、近いうちに」


「この海の向こうにサキバさんの国が有るんですか?」


「そうだ。そこから船が出ていた筈だ。港の都合上、離れた場所で陸が見えんが、もっと東に行くと陸地が見えるぞ」


 そうなんだ。アデルさんは何でも知っている。


「そういえば禁断の森と雑木林の間に有る街道は何処に繋がっているんです?」


「あれか。荒野だ。どこの領地にも属さない地域に向かっている。それと、左のは雑木林ではない。『忘れられた森』と言ってな、以前は豊かな森だったのだが今は痩せた森だ」


「以前て相当昔なんですか?」


「いや、200年くらい前だ。地脈の問題で痩せたと言われている。そうだな、少し前の館の裏の森みたいな感じだ」


「そうなんですか」


「ただの荒野にあんな立派な石畳街道ですか?」


「うん、馬鹿みたいだな。理由は知らん」


 また、海を見てコーヒーを飲む。

 それにしても200年前が多いな…


「ミノルは、まだ聖樹の種を持っていると言ってなかったか?」


 アデルさんがボソッと言った。


「持ってます。あと2つ……」


 アデルさんと俺はハッとした顔で目を合わせた。


「行ってみませんか?」


「行くぞ!」


 二人で俺の部屋に飛んだ。

 俺は机の引き出しから、種の入った箱を出した。


「森の真ん中辺りでウロウロしていると、種が光るんです」


「すぐに行こう! 今の我々なら空からでも隠された空き地が見えるかもしれん」


 我々は部屋のベランダから飛び出した。



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