第2章25話 オーク大作戦終了
「意外と沢山いたよね」
「ですね。あそこら辺で待ち伏せしてたんじゃないですか?」
アデルさんに俺が応える。
「お弁当狙いだったのかも知れませんよ」
サキバさんが呑気な事を言っている。
確かに美味しい。ケバブのサンドイッチに似ている。
「これは騎士団特製の弁当でな、最初の食事だけ出る。とても美味い」
アデルさんの説明に納得して弁当を食べた。
「次の出発を10分くらい遅らせて貰って少し先行しませんか? その方が順調に行けると思うのですが」
「うん、そうだなピーター隊長と話してくる」
アデルさんとピーター隊長が話して、すぐに了解された。
「なんか、そろそろ反撃地点が出て来るような気がするんです。敵が厚い所が有ったら3人で徹底的に叩いて押し上げていきませんか」
「うん、そうしよう」
俺の提案にアデルさんが同意し、サキバさんは頷く。
「食事が終わったら、5分くらい前に飛び始めません? 矢張り少し先行している方が索敵し易いんですよ」
サキバさんの提案に、アデルさんと俺は同意した。
食べ終わって、世間話をする。
「エルフの王様が聖樹の近くに移住したがっている噂、聞きました?」
サキバさんが言った。
「エルフの王様っているんですか?」
「居るぞ、200年前までは魔獸の森に住んでいたらしい。聖樹が切られて何処かの森に移住したみたいだ」
俺の疑問にアデルさんが教えてくれた。
「さっさと移って来て、森の管理してくれれば良いのに」
「ですよね」
俺の意見にサキバさんが同意した。
とりとめの無い話しをしていると時間となった。
我々は飛び上がって索敵を始めた。俺とサキバさんの中間辺りに結構な数が溜まっている。
ファイヤーボールと矢が飛んで来た。勢いも無いし、こっちもバリアーを張っているので無視してオークの溜まっている上空に移動した。
アデルさんも来たので三人で空爆を始めた。
俺が最初、雷神三発くらい打ち込むとファイヤーボールと矢があまり飛んで来なくなった。
二人がお構い無しに、雷撃をどんどん打ち込む。
「ピカッ、ドドーン!」
連続した光と大音声が非常に心地良い。
サキバさんとアデルさんがストレス解消しているかのように派手に打つ。
半分くらい片付いたくらいで、オークが後退を始めた。
「ピリピリピリ」
笛の音がするので、地上組が動き出したようだ。
「バン! バン!」
騎士団の盾の音が空にまで鳴り響く。
森の幅が少しずつ広くなって来ている。
オークはどんどん後退しているようだ。我々は、また8の字を描くように索敵をして前進してゆく。
「ピリピリピリ」
敵が居なくて退屈になった頃、笛が鳴った。
休み時間だ。思ったより早く鳴った。時間が経つのが早い。
3人で地上に降りると、お茶を用意しているところだった。
空に1時間は、喉が乾く。森の中は蒸し暑いのにお茶が美味しく感じる。
「とても順調なので速いペースで進んでいます。そろそろ、森の中心に近いです」
ピーター隊長が教えてくれた。
「お茶ではなくエールが飲みたいな。喉が乾いてかなわん」
アデルさんがボヤいている。
俺は口の中がベタベタして気持ち悪いので、歯を磨けないので口の中を浄化してみた。意外とサッパリする。
アデルさんとサキバさんが何をしているのか聞いて来たので説明すると試している。
「これ、良いですね。サッパリします。」
「本当だな。これは良い」
二人とも、気に入ったようだ。
「さて、飛ぶか」
アデルさんの号令で飛び始めた。少し早めだが、中心に近いので安全を見た。
逃げていたオークは隊を立て直していたらしいが、再度の空からの攻撃に早いうちに後退を始めた。
空からドカン、ドカン攻撃していると、下からも盾をバンバン叩く音がし出した。
早めに前進を始めたらしい。
一番、森の幅が広い所でも両脇から逃げずに、後退している。
アデルさんの言う通りだった。
オークは森の3分の2くらいの場所に集結しているように見える。
『アデルさん、村かも』
俺の念話に頷いた。
『ピーター隊長に包囲体制を取るように伝えた』
横一例の体制が、包囲体制になり始めた。
我々は低空飛行に切り替え、周囲から攻撃してゆく。
ファイヤーボールと矢が大量に飛んで来る。
『人質の可能性が有るので、村と思われる場所の攻撃は控えてくれ』
アデルさんの指示に応え、周囲を丁寧に攻撃してゆく。
『包囲完了したようだ。一度降りるぞ』
アデルさんの後に続いて降りた。
「後は突入で始末しますので、休んでいてください」
とピーター隊長が言って居なくなった。
村か中継点か判らないが作戦は成功したようだ。
1時間くらいで制圧が終わった。
人質は、なんと6人の女性ばかりだった。
冒険者が二人。身元不明者が4人。全員生きてはいるが会話不能だそうだ。
作戦は大成功だったが、結末は冴えなかった。




