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第2章24話 オーク大作戦


 朝食に行くと大体の作戦が出来ていた。

 さすが本職の人達は違う。


「250人で横一例、最大20メートル間隔で5キロメートルの範囲を索敵します。魔術師と索敵者、弓手も均等に配備して地上でも待ち伏せや急襲に備える体制を考えています。

 最初楽に行ける所まで行って、それから飛行組に参加願います。準備と打ち合わせ時間を考えて11時辺りに作戦開始予定です。携行食ですが2時過ぎに休憩を兼ねて昼食とします」


 ピーター隊長のザクッとした説明で納得して、聖樹にお参りに行った。

 アデルさんも来ていた。2人で無事と作戦成功を願って聖樹を後にした。


「一番、森の幅が広い所で一人1.7キロメートルの攻撃範囲がキツいな。後二人くらい欲しいが、飛べるのは三人だけだしな」


 アデルさんが言う。


「出来るだけ先行して横移動分カバーしましょう。列から漏れる両側も警戒しなければならないし」


「うん、それしか無いな」


「両脇から漏れたオークに後ろから攻撃されると怖いですよね」


「経験的に言うと、山狩り型で音を立てて行進して攻撃すると突進して来るか逃げるのだよ。深く考えなくても上から動きを見ていればわかるぞ」


 アデルさんが呑気に応えた。

 余計な事を考えないでプロに任せるのが良いようだ。

 アデルさんは朝のうちに、警備隊の人達と辺境地域の受け継ぎの打ち合わせがあるのでワープして行った。


 俺はギルドに顔を出す。

 ジグロさんが嬉しそうに出てきた。


「坊ちゃん、ありがとう御座います。ギルドだけではどうにもならなくて困っておりました」


「いいえ、出来るのは、こんな事くらいですから」


 食堂には沢山の冒険者が集まっている。ゼンダさんチームの人達が俺に手を振って挨拶している。殆どが地元の冒険者で顔見知りだ。


「これが上手く行かないと皆さん困りますので、とても協力的ですよ」


 騎士団から中隊長さんが来て、今日の作戦説明を始めた。

 皆、真剣に聴いている。

 ドジると命に関わるから当たり前なのだろう。

 途中まで聴いて俺は正門に行った。


 サキバさんが来ている。


「近いうちに父が来るので、ミノルさんとアデルさんの4人で食事しませんか? 父が、こっちでの私の友人に会わせろとうるさいので」


「喜んで参加しますよ。友人の中に入れてもらえて光栄です」


 サキバさんと、お父さんを何を食べに連れて行くか話していると、館から騎士団の行進が始まった。

 騎士団は出兵の時はパレードをするのだ。

 ピーター騎士団隊長を先頭に200人のフル装備の騎士団の行進はカッコ良い。

 アデルさんが俺とサキバさんの横に現れた。


「アデルさんは行進しないの?」


 俺が聞いた。


「最近、私は軽装でプレート着ないから、あそこに入ると浮くのだ」


 アデルさんが笑いながら応えた。


 騎士団は街の住人の歓声の中、森の前まで行進し冒険者達と合流した。

 ピーター騎士団隊長の簡単な訓示し、横一例の隊列を組んだ。

 我々三人は別れて隊列の後ろで警戒をしながら付いて行く。

 俺が中心にいて、サキバさんが左翼、アデルさんが右翼の布陣だ。

 俺が一番魔力が有るのでこの布陣となった。


「常に念話をオープンにして話しながら行くことにするぞ」


「「はーい」」


 アデルさんの指示に、俺とサキバさんは従った。

 11時30分にピーター隊長の号令で作戦が始まった。


 騎士団の人達が盾を叩きながら前進する。二歩に一回くらいで、全員が盾を叩く。


「バン! バン!」


 大きな音が森に響き250人の行進の騒音で、魔獸はどんどん奥に逃げて行く。

 逃げないでいるオークが、弓手の総攻撃に倒れた。残ったオークがバラバラと奥へ逃げて行く。

 森の浅い位置なので平穏なものだ。

 倒したオークは近くに居る魔術師が粒状化で片付けながら、隊列が進んでいく。

 昨日の俺達よりペースが速い。

 能力の高い大人数の兵が揃っているアドバンテージは偉大だ。


 一回目の休憩時間の10分くらい前に、俺は飛ぶことにした。


「休み時間前に少し前方を掃除しておきます」


 アデルさんとサキバさんも同意して飛んで来た。我々は8の字を描くように飛行して、警戒で見える敵を空中攻撃し前方をクリアにして昼食がゆっくり食べられるようにした。


「ピカッ、ドッカーン!」


 雷撃の音が激しく森に響き渡る。

 自分から下に落ちて行く雷が美しく見える。

 我々が少し先行して安全地帯を作った


「ピリピリピリ」


 1時丁度に笛が吹かれ、隊列が止まった。

 休憩と昼食の時間となった。


 俺とアデルさんとサキバさんは、ピーター隊長の所に着陸して簡単な報告をして弁当と飲み物を受け取った。

 今のところピクニック気分で仕事が進んでいる。


「我々も警戒しますので、三人揃って食事してください」


 中隊長さんの気遣いに礼を言って、並んで座り食事となった。


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