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第1章03話 マイヤー商会


「有り難う御座います。思いがけない申し出に、少々戸惑ってますが……」


「マイヤー商会さんが無くなるとフレードリッヒ叔父さんが困ると聞きまして、大事な人達が困っているのなんて見たくないですから」


「辺境伯様も幸せな方ですな」


 マイヤー商会の借金の原因は、貴族に頼まれて館を買わされた事にあった。

 王都がオークや魔王軍に襲撃されたり、王家の継承争いがあった時期などもあり、貴族達の一部は安全で経済の発達した辺境伯領に館を建て、用件の有る時はテレポートで王都に行くという生活をしていた。

 ところが数年前から続く不景気で金の無くなった貴族達は、マイヤー商会さんに家賃を払うから館を内緒で買うように要請し、マイヤー商会も仕方なく買ったが商売の資金が寝てしまい、借金する事になったのが発端だったようだ。


 箕輪さんが出してくれた解決案は、マイヤー商会が管理する事を条件に貴族達の館は9000億デルで全部俺が買う。マイヤー商会に俺が7000億デル出資し、それを40%の権利とする。経営権はハリーさんのままとし純利益の20%を俺に払う。

 残った1兆6000億デルが借金となるが、10年間据え置きの後、20年の分割払いで返済。利息は据え置き期間中は無しで、返済開始時から5%とする。


「すごーくアマアマだけど、これぐらいしないと返済できないと思うんですよね。どうするミノル君?」


「いいですよ。ハリーさんが良ければ」


 ハリーさんは暫くボーゼンとしていた。


「当方は夢のような話しですけど、いいんですか? こんな条件で…」


「いいですよ。長く話していると疲れるし、これで握手としましょうよ」


 二日後に契約書にサインと決まり、やっと難しい話しから解放された。

 箕輪さんに貸し金庫を借りメインの銀行プレートを預け、普段持ちに1500万デル程入れた銀行プレートと現金を500万デル程用意してもらう。

 凄い量の銀貨をフェン兄さんに貰った容量が四畳半くらいあるという魔法財布に入れる。フェン兄さんの自信作だそうだ。


「何か、お買い物ですか?」


 ハリーさんが聞いてきた。


「はい。剣と弓と防具、それに服とか靴とかですね。こちらの世界の物を何も持って無いので」


「よろしかったら、マイヤー商会に見に来ませんか? 当店でも沢山扱っておりますし、気に入られれば原価でお渡しできますが」


「行きます!!」


 やっと俺のターンが来たようだ。


 フェン兄さん達は一度帰らないと殺されるそうなので俺だけマイヤー商会へ。


「ミノルの部屋はそのままになっているから、日本からの荷物は置いておくよ」


 フェン兄さんとダニエルとピーター騎士隊長は手をヒラヒラして飛んで行った。


 マイヤー商会は凄く立派な石造りの建物だった。

 玄関を入ると従業員さん達がズラッと並んで頭を下げる。

 60%以上が女性従業員みたいだ。綺麗なお姉さんが沢山いる。

 堅い話しと男ばかりだったので、凄く嬉しい。


「お帰りなさいませ。お疲れのご様子で」


 秘書さんだろうか。キリッとした顔で巨乳ではないけどグラマラスな銀髪美人さんが現れた。


「私の秘書のミアさんです。こちらは共同経営者になる日本のタカハシ・ミノル様です」


「お会いできて光栄です。タカハシ様とお呼びすればよろしいでしょうか?」


「ミノルでいいです。皆さんそう呼んでますし、様なんて呼んでもらえる年でも無いですから」


「この国では15歳で成人ですよ」


 とハリーさんに笑われてしまった。


「中途半端な時間になってしまいましたが、昼食はどうしましょう?帰って辺境伯様と晩御飯を食べますでしょう?」


 時計を見ると3時を過ぎていた。


「帰って食べないとレナおばさんに絞められますので…スミマセン」


 ハリーさんと美人秘書のミアさんに大笑いされた。


 応接室みたいな立派な部屋で晩御飯までのつなぎ代わりに、お茶とチーズのサンドイッチを出してくれた。

 チーズに臭味は無く塩味が効いていて凄く美味しい。

 ハリーさんと世間話をしていると、黒いローブを着たお姉さんが応接室に入ってきた。

 少しだけ肌の色が浅黒く黒い髪のポニーテール、25歳くらいかな? 人の良さそうな素敵な魔族のお姉さんだ。

 魔族だけど魔王の配下ではない人達のほうが圧倒的に多く、普通に社会で暮らしている。

 お金持ちになると美人に囲まれて生きていけるんだなーと思った。


「商会専属魔導師のサキバさんです」


「サキバです。ミノル様が日本の方ということなので、武器なとを選ぶ前に魔力量とか適正とかいろいろ調べさせていただきます」


 俺が日本人で魔素から魔力を得ているので、魔法に対しての適正が微妙に変わるのだそうだ。

 サキバさんは魔族の出身なので、やはり魔素から魔力を得ているのでチェックし易いらしい。


「個人鑑定プレートを見せていただけますか?」


 サキバさんにプレートを渡した。この世界の身分証みたいなもので、能力なんかも記録されている?


「辺境伯家の家族専用プレートなのですね! スゴイです!」

 

 サキバさんは俺の頭に手をかざしたり、俺の手を握ったりして鑑定を始めた。

 良い鑑定結果でありますようにと神様に祈ってしまった。



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