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第2章21話 知らないうちにBランク


 朝御飯の会議は今日もだ。

 話をまとめると田舎で、動きが活発になって村の防衛に力が割かれている。

 大きな町や村から追放になったアイラス教団の教団員や信者が辺境に追われ、最期の抵抗をしていると兄さん達は考えているようだ。


 叔父さんが俺を見ている。イヤーな予感。


「ミノル。考えを聴かせてくれ」


「あのー、状況が良く解って無い人間の考えなので……」


「構わん。話せ」


「僕は、教団員の残党が辺境に追われて結集という考えに反対ではないですが、外部から流入していると考えてます」


「助っ人か。続けなさい」


「簡単な推測なんです。追い詰められて辺境に逃げたのなら、数が相当減っている筈です。ところが、毎日のように皆さんが疲れる程に忙しいという事は厚みが有るのではと考えます。追われて逃げているならもっと薄いというか、人数が少ないのではと……」


「なる程、一理あるな」


「だとすると、何処からだよね」


 フェン兄さんが、頭を掻きながら言った。


「例えば、反乱地の隣りが誰かの領地ならそこからの可能性は出て来ますが、隣りが荒野で誰の領地でも無いなら拠点化した場所が有るか、ワープなどで少数ずつ来ているかですね」


 俺は続ける。


「僕が一番怖いのが寄子さんを狙われる事なんです。騎士領なんて村が1つか2つでしょう? 乗っ取るなんて簡単なんです。だから外部流入者に相当気をつけないと乗っ取られて、そこを拠点化されかねないのです」


「男爵領だって似たようなものだな」


 叔父さんが腕を組んで考えている。


「ミノルは、どうしたら良いと思う?」


 ノア兄さんが聞いてきた。


「村などに最近入ってきた者の徹底的な再調査と排除でしょうね、それも疑わしきは罰するレベルの……やってはいけない事なのでしょうが……甘くすると、こちらの命取りになります」


 全員が黙ってしまった。


「それも、やるなら寄子さんにも徹底的にやって貰いませんと。ヘンドリックス辺境伯とシュナイダー辺境伯の所も同じでしょうね。やっているうちに、何処が我が辺境伯領の敵か判って来ますよ」


「俺はミノルの意見に賛成だな」


 フェン兄さんが、ボソッと言った。


「確かに生き残った村民や農民への調査が甘かったと思う。あれだと紛れ込み放題だな」


 ノア兄さんも悩んでいる。


「寄子には直ぐに強く忠告する。二辺境伯には今日の会議の内容を伝え、注意を呼びかける。我が辺境伯領は調査のうえ追放ではなく、物理的に排除する。ミノル、どうだこれで?」


「余りやってはいけない手段なのでしょうが、もう手が無いような……」


 俺が言うと皆が頷いた。


「それとなんですけど、魔獸の森にオークが多数出てます」


 ピーター隊長が驚いている。


「昨日、歩いて1時間半くらいの浅い場所で僕だけで10体倒しました。ギルドが討伐隊を入れたようですが結果は知りません。僕が会ったのは5体ずつのチームで弓や槍を使って来ました」


「今朝、冒険者ギルドから間引き要請が入ってます。討伐隊1チームが壊滅したようです」


 ミレン隊長の連絡を聞いて、俺はびっくりした。知人が犠牲者にいなければ良いが。


「完全に人手不足だ……」


 ピーター隊長が頭を抱えた。



 心配なのでギルドに行くとジグロさんとゼンダさんが話しているのが見えた。


「坊ちゃん、おはよう御座います」


「おはよう御座います。犠牲者が出たと聞いてゼンダさん達は無事か見に来たんですよ」


「おう、坊ちゃんアリガトな。なんとか逃げて来た」


「何体片付きました?」


「ゼンダさんチームが3体、もう1チームが1体坊ちゃん達が10体です。もう1チームは帰って来てないので不明です」


「14体か。救助は出たのですか?」


「出てません。ギルドとしては森は現在立ち入り禁止にしてます。あちらのチームが入ると言ってますが強制力は無いですから」


「坊ちゃんは昨日は討伐隊かい?」


 マネさんが聞いた。


「いえ、僕はCランクですから」


「坊ちゃん。とっくにBランクですよ。自分のプレート見てます?」


 ジグロさんに言われて、ギルドプレートを見るとBと書いてあった。


「あれ? いつなったんだろう」


「私の記憶だと、例の大作戦の前ですね」


 とジグロさん。


「坊ちゃんらしいのう。自分のプレートくらい確認せんとな」


 マネさんに笑われてしまった。


「僕が見て来ますよ。事故現場の予想はあります?」


 我々の後ろを、森に入るというAクラスチームが出て行った。

 外部から来ているので、稼がないといけないのだろうけど。


「ここら辺と思われますね。さっき行ったチームが声を聞いたような事を言ってましたから」


「見捨てたんですか……」


「俺達も、このくらいの距離で当たった」


 やはり1時間半くらいの場所だった。


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