第2章20話 オーク騒ぎ
朝に聖樹にお詣りして、冒険者ギルドに行った。たまには顔を出してジグロさんから情報でも貰おうと思ったのだが、ジグロさんはギルド員に何か説明中だった。
邪魔にならないように後ろをコソコソ抜け、食堂に行った。
ノレルさんや4人娘の他Eランク、Dランクの娘が6人くらいいた。
「坊ちゃん。お久しぶりです」
「皆さん、狩らないのですか?」
ノレルさんに聞くと、オークが出たそうで下のレベルは危なくて森に入れないのだそうだ。
討伐隊を結成して少し間引く事となり、ジグロさんが説明中なのだそうだ。
「仕事にならないんだ」
「ボチャン、コマタヨ」
「三日仕事して無いよ」
夏に仕事しないと大変だ。せめて生活費くらいは稼がないと、貯えを食いつぶす事になる。
「一緒に行ってあげるよ。薬草とかの仕事も取っておいで」
「ヤター!」
俺を入れて12人の大チームだ。
AクラスBクラスの冒険者達が出て行った。
ジグロさんが俺の所に来た。
「お久しぶりです」
「間引くんですって?」
「しないと、どうにもならないですよ。危なくって」
「オークはいくらになるんです?」
「1頭30万デルです。大型は40万デル、鼻を持って来てください」
「会わないとは思いますよ。強い人達が沢山いるから狩ってくれるでしょう」
「だと良いのですが」
我々は森の前で一応、打ち合わせをする。
「薬草は必ず集めよう。見た獲物は狩るから集めはお願いね。今日の生活費だけでも稼ぐよ」
「エイ・エイ・オー!」
ときの声を皆であげ森に入った。
少し歩くと大きな猿モドキがいたので矢で倒した。
ちょうど薬草が沢山有ったので、薬草を集めながら血抜きをする。
「コレ、薬草取りに来た。仲間いる」
魔人の娘が言った。
「仲間がいるかもしれないから、注意して。離れないように」
俺が注意すると、皆で固まって薬草取りをしている。
マジックバックを貸してあげると、ドンドン薬草を入れていく。
鹿モドキが現れた。早速矢で倒し血抜きをする。
いきなり猿モドキが2匹、襲って来た。氷弾と矢で倒す。早いし大きい。女の子くらいの大きさはある。
また血抜き。警戒で見ると近くに、もう2体何かいる。薬草を取りに来ているのか、血の臭いに集まって来ているのか分からない。
猿モドキだった。矢で何とか間に合った。また血抜き。
薬草は全部採らないようにして、血抜きが終わるのを待つ。俺が貸したマジックバックに、終わったのから仕舞っていく。
「このバック凄い! 大きいの入る。沢山入る」
業務用バックに驚いている。
ノレルさんが最後の猿モドキを仕舞って、次の薬草群生地に移動した。
1時間くらい行った所に薬草があった。女の子達が採っていく。俺は警戒で周囲を監視している。
何かくる。
「皆、僕の方に来て!」
集まった時に、木の間から大きいのが出て来た。
オークだ!
矢を2本連射して1体、雷撃で1体倒した。
「こんな浅い場所でオーク!」
俺が呆れて言う。
「イマ、タクサンイル、アブナイ」
「そうなんだ。これは間引きが要るよね」
警戒にもう3体、何か見える。
「皆、僕の後ろに来て!」
矢が飛んで来た!
俺はバリアーを張り雷撃を撃つ。
ピカッ!
「ドーン」
雷撃は上から落ちるので、バリアー越しに撃てるので便利だ。
警戒に何も見えなくなったので回収にする。
「今の内にオークから鼻を取って。薬草も手早くね」
魔人とダークエルフの娘が、オークの鼻を上手に剥いでいく。
俺はオークの死体を粒状化して、薬草集めが終わるのを待った。
警戒にまた5体。少し離れている。凄いスピードで寄って来ている。
「集合! 急げ!」
逃げても捕まりそうだったので、倒すことにした。急いでバリアーを張る。
矢が3本飛んで来た。まだ姿は無い。少し見えたと思ったら槍が飛んで来た。
姿が見えた途端、また矢が3本くる。2体は剣を振りかざして走って来る。
俺は範囲で雷撃を撃つ。
ピカッ!
「ドドドドドーン」
オークの頭に雷が直撃した。
オークは崩れ落ちるように倒れた。
周囲に何もいなくなったので、バリアーを解くと女の子達がナイフを持ってオークに走る。
俺は鼻を剥いだのから順に粒状化していく。
「森の外までワープ使える人?」
3人手を上げた。ラッキー。
「何人運べる?」
2本指を立てたのが2人、1本指を立てたのが1人。凄い1回で帰れる!
全員でワープで撤収。
森の外で12人全員いた時はホッとした。
ワープした娘のうち2人は青い顔をしている。このくらいで魔力切れするんだ。
回復魔法をかけてあげた。
ギルドで鑑定に出してジグロさんと話す。
「オークは5体チームだと思いますよ。両方とも弓を使ってますし、組織的な気がします」
「組織的なら怖いですね。注意勧告しておかないと……」
「結果が出ました。薬草が6万、鹿形魔獸が8万、猿形魔獸が5体で50万、オーク10体で300万合計額が364万デルですね」
「12人で均等割りでお願いします」
「ボチャン、ダメ、ボチャン」
「坊ちゃん、ダメですよ。オークも猿も鹿も全部坊ちゃんが倒したんですから」
「チームだから均等割りにしょうよ」
「ポイント、ボチャン、トル」
「皆だってランクアップしたいでしょう?」
「無理に、ランク、あげる、死ぬ」
皆、首を縦に振っていた。
ジグロさん裁定になった。
「お金は12等分、端数は坊ちゃん。ポイントは薬草分が坊ちゃんを除いた11人で、残りは坊ちゃん。よって1人30万デル。プレート出して下さい」
皆、思いがけない金額に大喜びだった。
「御飯とエールおごるよ」
定食と焼き肉とソーセージとエールを注文し、皆と話してから帰った。




