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第2章16話 ダニエルが廃嫡


 兄達は後始末。ピーター隊長も現れて治安維持。サキバさんは魔人の国から友人が来るとかで帰った。館は周辺の小貴族達が来て大騒ぎらしい。

 アデルさんは、さすがに御苦労様で解放された。


「ミノル君。風呂の後で久しぶりに飯にでも行かんか?」


「行きます! アデルさんと御飯に行くのは、凄く久しぶりですね」


 アデルさんと御飯は中学生以来だ。

 館に帰って、風呂に入り歯を磨いてサッパリする。


 今日は怪我人が出なくて良かった。凄い数の人を殺しているのに、罪悪感など全く無い。

 生きて帰れた喜びが先にたつ。

 相手が、こちらを殺しに来ているのに自分や仲間を守る為に殺して何に問題が有ると言うのだ。


 生きて帰れたごほうびに美人と御飯、最高の喜びだ。

 問題点はアデルさんは美人だけど、俺が子供の頃から世話になりっばなしで頭が上がらない。何せ小学生の間は風呂にまで入れてもらってた。

 それと背が未だに俺より大きい。170センチにやっと届きそうな今でも、後チョット追い付かない……


 服を着て念話連絡を待っているとドアがノックされた。ドアを開けるとアデルさんだった。

 いつもの軽鎧の魔導剣士スタイルではなく、俺と大差無い格好をしている。髪の毛も普段は編んで頭に巻いてるのに、下ろして短いポニーテールだ。

 黒のシャツとズボンに短剣で金髪ポニーテール。凄くカッコいい。


「この部屋に入るのは久しぶりだな」


 アデルさん入って来て、部屋を見回している。


「そうですね。13歳くらいの時に尻を10発叩かれた時以来ですね」


 アデルさんは大笑いしている。


「髪は相当短くしました?」


「邪魔くさいので、さっき切った」


「カッコいいですよ」


「そうか! ありがとう」


「アデルさんの普段着も久しぶりですね。その短剣は初めて見ました」


「これか? ミノル君の真似をしてみた。楽で良いな。魔法の力がどんどん上がっているので、重い装備が重要で無くなって来ている。感謝するぞ」


「ところで何を食う? まあ、何処に行っても同じようなモノだがな」


 この世界では、どの店に行くか選ぶだけで出てくる食事は似たようなものだ。料理の種類が根本的に少ないのだ。


「じゃカニ食べませんか? 無い日でもエビの良いのが食べれます」


「良いな! それでいこう」


 俺とアデルさんは『海の妖精』に飛んだ。

 店主さんがニコニコして奥の席に案内してくれた。


「ありますよ。入ったばかりのが」


 早速それを注文した。


「ツイてます。美味いですよ、ここの」


 すぐにエールとカニの大皿を持って来た。

 エールで二人の無事に乾杯しカニに飛び付く。


「美味い! これは初めてだ。良いな!これは良い」


 カニとカニ味噌とエールを、しばらく無言で食べる。店主さんが忙しそうに次の大皿とエールを置いてゆく。

 二皿目の半分くらい無くなった辺りで、やっと言葉が出てくる。


「ミノル君もエールを飲むようになったか。何か感慨深いものがあるな。これからは暇を見て一緒に飲もう」


「はい! 是非一緒に飲みましょう」


 アデルさんと色んな話をした。初めて聞くことが多い。


「この国はな1200年くらい前にできたらしいのだ。それまでは、魔人・亜人・獸人の世界だったようだ。魔人の国は隣の大陸にあり、魔王により今も支配されている。とても強い国だ。魔王と言っても魔人の王で、我が王が送っている勇者が倒す魔王と関係無いのだ。人格者と言うか魔人挌者と言うか、とても良い王で有名だ。そもそも魔王は強くって勇者とやらでは手も足もでないだろうがな」


「じゃ、勇者が時折倒す魔王は何者なんです?」


「知らん」


 簡単な返事だった。


「ミノル君は何も知らんな。日本との出入り口に日本の軍が居るのは知っているか?」


「居るんですか!?」


「居るよ。100人くらいと聞いたが。あそこを守る為だそうだ。魔法で見えんようになっている。どのみち立ち入り禁止区域だがな。滅多に外にも出て来ないのでどんな兵かも見たことがない。とても王国の軍ではかなわない程強いと聞いたが」


「居るのなら、かなわない所か王国軍が全滅させられますよ。その100人に」


「だろうな……」


 やはり駐屯してるんだ。そりゃそうだよな、あれだけオークが出たりしたんだから。

 ダニエルの事を聞いてみた。


「何も聞いておらんのか……彼は廃嫡となった。母親の妹と逃げ回っているばかりかキュレット伯爵夫人と詐欺らしいことをやってな、罪人にならぬよう全て賠償した後にホフマン家から除外された。全てを決めたのはレナ様だ。凄くお怒りでな、周りの意見は一切聴かずに廃嫡にした」


 そんな事になっているとは夢にも思わなかった。


「キュレット伯爵夫人は亭主の甥に手を出して、何をしたのか14歳の子を半年くらいで殆ど廃人にしたらしいのだ。それで離縁されて金に困り知人から金を借りまくってな、レナ様にも金の無心に来て断られたのだよ。御屋形様に追い出されたあの日だ。しかし泊まった、たった一晩でダニエルをな……」


 悲しい話だが、どうにもしようがない。ダニエルも少し日本円を持っていたから、しばらくは食べれたろうが……


 気分を変えて魔法の話で再度盛り上がって御開きとした。


「楽しかった! また一緒に飲むぞ!」


 美人のお姉さんは、ほろ酔い大満足で帰った。


 帰ったと言っても、同じ館の同じ階に住んでいるのだけどね。


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