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第2章15話 コンサーバドルフ攻略


「ミノル。チョット手伝って貰える?」


 朝食の後、引き上げようと立ち上がった俺をフェン兄さんが引き止めた。


「良いですよ。何します?」


 ノア兄さんとアデルさんも残っていて、嫌な予感。


「実はさ、アイラス教団の領内追放したじゃない。出て行ったのもいるけど、残っているのも結構いるのよ。それがね領内の村を占拠したと、さっき連絡が入ったのよ。村民全員追い出して完全に占拠されたらしいのよ」


「人質でも取っているんですか?」


「それは無いみたい。狂信者が500人くらい武装して教団関係者と残っていて、村長がそれを統率しているらしいのよ」


「村民は?」


「今、安全な場所に避難させて騎士団が護衛している。」


「何人くらいの村です?」


「3000人くらいかな」


「随分大きな村ですね」


「ここはね、以前は騎士領だったのよ。200年くらい前に不始末やらかして取り潰しで、ホフマン辺境伯領に併合されたわけ。当時の辺境伯が不憫に思って、その騎士の息子を村長にして村の名前もコンサーバドルフのまま今に至るわけ。1000人くらいだった村に投資してここまで大きくして来たんだけど、村長は代々逆恨みして今日の暴挙となったみたい」


「そこまで大きな村を攻めるなら500人くらいの兵じゃ足らないでしょう」


「うん、そこが奴らの狙い。ナメられてる。でミノル頼みなのよ」


「敵は3000人居るんですか?」


「そう考えた方が良いみたい」


「……すぐに動きましょうか。時間が経つだけ話しが面倒になりそうですから」


「エッ、今日やるの?」


「今日って、今からです」


「だって用意の時間も無いよ」


「魔法屋さんに用意は要らないですから。相手もすぐ来るとは考えて無いでしょうし」


「私とミノル君二人だぞ」


 アデルさんが言う。


「今、連絡したらサキバさん貸してくれるらしい。すぐ来るそうだ」


 ノア兄さんが早速、動いた。


「まず殲滅が前提になりますが、いいです? そうでないと危険過ぎなんで」


「構わないよ。中途半端に降伏させるなんて不可能だろうから」


「村民の為に出来るだけ施設を残したいのですが、最良で村長の家とアイラス教団の建物は無くなります」


「いいよ。最悪は?」


「村全体が平らになります」


「……仕方無いか……ノア兄貴が全責任を取るよ!」


「お前な……」


 サキバさんが食堂に入って来た。

 早速三人で作戦会議をする。


「基本的にはコンサーバドルフを殲滅するしか我々と騎士団の皆さんの安全が保全出来ないと思います。なんせ3000人相手ですから。いくら相手がファイヤーボールをピュンピュン撃って来る程度のレベルでも、数の論理には逆らえません」


 二人は頷いた。


「一番安全なのは、いきなり流状化で村全体を泥にしてから、土化で平地にする手なんですけど、村民の生活を考えると出来るだけ家と店を残ってあげたいんですよね」


「そうですよね、ゼロからは負担が多き過ぎますもの」


 サキバさんが優しそうに言う。


「そこで、守りの固そうな村長の家とアイラス教団の教会を粒状化させて一気に敵勢力を減らしてから、一般家屋の敵を叩こうかと」


「良い手だが家の中の敵に雷撃が通用するのか?」


 アデルさんが考えながら聞いた。


「ファイヤーボール撃って来る連中は倒せますよ。3往復くらいやってから騎士団の人達と端から掃討ですか。でも難しい時はすぐに流状化に切り替えという事で」


 全員納得なようなのでコンサーバドルフに飛んだ。



 来てみると結構大きい町だった。村長の家は小型の貴族屋敷のようで、アイラス教団の教会も大きい。町の周囲は壁に囲まれ、兵力で落とすのは大変だ。


「正門周りと村長の家とアイラス教団の教会に戦力が集中してると思うけど、どこからいく?」


「コソコソっと後ろに回って村長の家と教会を先に消せませんか?」


 サキバさんの提案にアデルさんと俺も同意する。


「目の前だからワープで屋敷の天井と教会の尖塔の上に現れて『粒状化』すぐに帰って来るのはどうだ? 今ならシールドは無いぞ」


 アデル案でいくこととなり、サキバさんとアデルさんが屋敷、俺が教会と話しが決まった。


 俺は教会の尖塔近くに現れると即座に粒状を発動した。教会は静かに崩れ落ちてゆく。

 目の端に見えていた村長屋敷も崩れてゆく。

 誰も反応しないし、正門の前の教団服の連中は正門の方を見ていたので、壁沿いに一気に前に飛び正門前の一団に飛びながら雷撃を三発。


 ピカッ!


「ドドドーン」


 撃ってすぐにワープした。


「上手く行ったな、かなり削れた」


 アデルさんがご機嫌だ。


「壁沿いに飛んだら屋根の上とか結構居ました。正門前を少し片付けたので、相手が慌てている内に正門の壁にくっついて警戒をターゲットに撃って来ませんか?」


 それでという事で3人で正門前にワープで飛び警戒を使って10発くらい撃って2人は左右に展開、俺は町の真ん中を飛び撃ちながら囮となる。

 バリアーを張って上下左右に動きながら、ファイヤーボールを避けながら飛んで時折撃ったがアデルさんとサキバさんの雷撃が結構当たっている。

 村長屋敷の近くに降り、建物の壁に隠れながら攻撃していく。

 だいぶ成果が上がったので一旦帰ると、2人も帰って来た。


「見えるのは、殆どやったみたいな気がしますね」


 サキバさんが言う。


「念のため三人で空から2往復くらいして、後は騎士団の人達と地上から片付けて終わりにしましょう」


「いいよ。騎士団50人だけど、用意しておくよ。しかし強い魔法使い三人居ると強いねー」


 フェン兄さんが感心して言うと、ノア兄さんも頷く。


「まだ終わって無いです。怪我人無しで帰りましょう」


 全員が頷く。


「行きます」


 三人で空中に飛び上がった。

 撃って来るのに5発くらい返したら沈黙したので、正門を開けた。

 騎士団がどっと入って来て端の家から確認作業していく。

 小競り合いが5~6回有っただけで全て終わった。


 村人に手伝って貰って門の外に死者を運んで、粒状化で砂にしていく。

 焼くと臭い。


 全部終わったのは夕刻だった。


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