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第2章14話 魔法の勉強


 7月も半ばとなり皆さん忙しくしている。

 1週間程前にホフマン辺境伯領、ヘンドリックス辺境伯領、シュナイダー辺境伯領からのアイラス教団追放が発表され、周辺の小貴族領からも追随が出てきており、世の中騒然とした状態だ。


 俺は何をしているかというと、勉強しているのであります。

 何故かというと、魔法に関して何も解って無い状態で使っているのが、自分でもマズイなと思い始めたので……


 先日、館の横を抜けて裏の森へと思い庭を歩いていると、子供の頃から世話になっている庭守のおじさんに会った。

 おじさんは、大きなレンガ小屋の前で難しい顔をして何か考えている。


「お久しぶりでーす」


「坊ちゃん、お久しぶりです」


「なんか有りました?」


「いや、物置を建て替える予算を貰ったのですが、解体作業の金額を入れると今より小さな物置になるのですよ」


 子供の時、遊んで貰ったり魔法練習の後始末して貰った。ここで恩返しをせねば日本男児では無い。


「こいつ解体すればイイんですか?」


「そうなのですけど……」


「今、スパッとヤッちゃって大丈夫です?」


 この時、俺は物質魔法でイケると直感的に思った。


「大丈夫です。中は全部移動して空ですから」


「本当に大丈夫ですね?」


「大丈夫です!」


「行きます!」


 俺は『粒状化』を発動した。初めて使う魔法で結果も分からないけど使ってみたかった。

 全部、一瞬で砂になって崩れ落ちた。

 おじさんは驚いてぼーっと見ている。

 俺も驚いてボーッと見ていた。こんなに細かい砂になるなんて考えてもいなかった。


「あの、坊ちゃん、ありがとうございます。これで今より大きめの物置小屋になります」


「いえいえ、いつでも言って下さい」


 とか言って裏の森に向かった。森入る前に疑問が湧いた。植物も粒状化するのかな?

 精霊様の森の植物は使えないので、魔獸の森へ飛んだ。

 落ち枝を拾って粒状化を使う。砂になった。猿形の魔獸が襲って来たので


「粒状化」


 砂になった……

 使い方を間違うとマズイなと思う。


 部屋に帰り魔法大事典を調べる。


 物質魔法 粒状化 流状化 凝固 土化 石化


 サラッと書いてある。もう少し詳しく書けないものだろうか。

 試すしか無い。また魔獸の森へ行った。

 今度は『流状化』を試してみる。

 森の中で空き地を探す。

 奥に進むと誰かキャンプでもしたのか、丁度良い空き地を見つけた。

 半径1メートルくらいの範囲を流状化してみた。流状をイメージして


「流状化」


 ドロドロのホットケーキミックスを、ゆるく混ぜたような固さの泥の池ができた。

 長めの木の枝を入れてみると、意外と深い。

 このまま方っておいて誰か落ちたら大変なので、元に戻そうとしたが無理だった。

 『凝固』を使うと、コンクリートの固まりみたいになった。

 ナンカ変なので『土化』を使う。

 普通の土に見える。

 重力魔法で押してみる。大丈夫なようだ、上に乗ってみるとフワフワしてるが普通の土みたい。

 大丈夫そうなので帰って来た。


 その日から俺の勉強が始まった。

 1つずつ積み上げて魔法を手に入れた訳ではないので、使い方が全然わからないのだ。

 だから使ったことの無い魔法が沢山有る。


 例えば、爆発系の魔法だ。

 魔法大事典を調べると、爆破 炸裂 爆発 爆砕 爆裂 が有るとまた簡単な記述。

 こんなモン何処で試すのよ!

 街の外で試しても、大騒ぎになりそうで使えない。練習場所なんて、相当遠くの山か草原でも見つけないと無理!


 未経験、分からない事が多すぎる。

 アデルさんとサキバさんに何回か魔力増やしをしたら、アデルさんが初期値の2倍以上、サキバさんが1.5倍くらいまで上がった。

 2人とも26歳くらいなのに凄い事だ。

 圧倒的魔力量の者が、魔力差で押し広げているというのが実態らしい。

 それも魔力増やしをしてから魔力回復がとても早くなったと2人とも言う。

 どうやら日本人の空気中の魔素から魔力を得る能力がアデルさんに移り、サキバさんには地脈から魔力を得る能力が移ったようだ。

 こっちの人は地脈の表層辺りから魔力を得ており回復が遅いのだが、呼吸で魔素からも魔力を得るので回復が早くなったようだ。


 だが。俺の地脈の本流から魔力を得る能力は移らなかったようだ。

 精霊の守護者だけの特権らしい。


 全て、やってしまってからの結果論なのだ。

 危険、この上ない。

 魔法関係は研究不足というか、本が無いというか……困ったものなのです。


 この世界では魔法が当たり前のように利用されているけど、魔力不足からかレベルの高い人がとても少ない。

 だからレベル70も有ると魔法の大家みたいな顔をしている人が多く、高いレベルの魔法は存在するけど使える人がいない。

 従って研究者もいない。知っていても教えない。

 アデルさんとサキバさんと俺が教え合えるのは、とても珍しい環境みたいなのです。


 勉強は好きではないですが知らない事が多く、本が欲しいなと思う今日この頃なのであります。


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