第2章12話 肉集め大作戦大成功
三人で森の端に注意しながら狩ることにした。 敵にオークメイジがいる場合、攻撃が来るだろうから出来るだけ先にオークメイジとオークティーマーを倒すという事で合意する。
我々は門に向かった。警戒で調べると門の周りには5頭くらい。残りはバラけているが結構いる。森の端に30頭くらい隠れている。
「ティーマーは複数ですね」
二人が頷いた。
「行きます!」
俺が言うと小門が開いた。
三人で飛び出す。俺は矢で近くの獲物二頭を倒すとサキバさんが真空切りで三頭狩る。
アデルさんは最初から雷撃で倒し始めている。
俺は警戒しやすいように森まで明るくした。
サキバさんも雷撃を連発し出す。
俺も少し先の集団に雷撃を撃つ。最後の狩りなので回収より全滅を目指す事にする。
二人も俺の意図を察したらしく、どんどん先に進んで狩りだした。
正門と森の中間当たりまで進んだ時敵が動いた。
森から一気に大きな群れが飛び出し、爆走して来る。
巨大だ。例のフオォォーンの群れだ!
群れの後ろからファイヤーボールを撃って来る。
ついに来た。
ファイヤーボールは二ヶ所から撃たれている。
俺はバリアーを張らずに飛び上がり、一人目にそのまま雷神を二発撃った。
「ドドーン」
さすがに雷神の威力は大きい。
オークメイジはバリアーを張ったが二発目の雷神に潰されたようだ。
二人目から撃たれたファイヤーボールを避けていると、二人目のオークメイジに雷撃の連続攻撃がアデルさんとサキバさんから行ったので相手は守勢になりバリアーに張り耐えている。
俺が雷神を放つとバリアーが破壊され倒れた。
森に敵は残ってないようなので、俺は森側に降りて後ろから攻撃する。
雷撃の雷光で魔獸に乗っているティーマーを発見した。
軽いバリアーを張っているようなので、雷撃を三発連射して巨大魔獸ごと倒す。
見回すと雷撃の明かりで二人目を発見し撃とうとすると、アデルさんとサキバさんの集中攻撃で倒れた。
二人も俺の隣りにテレポートして来て、街の壁に追い詰めるように狩る。
魔獸はティーマーの統率が無くなったので、動きがバラバラになり仲間でぶつかったりしている。
我々は端から少し範囲を狭めた範囲魔法で雷撃を撃つ。
範囲を狭めれば、あのトナカイと牛の混血みたいな巨大魔獸も倒せる。
どんどん狩って、最後はサキバさんの雷撃で終わった。
アデルさんとサキバさんは満足そのものだった。
正門が開いて回収が始まった。
俺はワープでオークメイジの所に行った。二人もついて来た。
メイジはオークでは無かった。
「これアイラス教団じゃないですか」
サキバさんが言う。
「そうだな。またあのローブだ」
「もう一人もそうですね」
俺はティーマーを見に行く。ティーマーはオークだった。
「このオークティーマー、バリアー張ってたな」
アデルさんが言うとサキバさんが
「珍しいですよね、オークティーマーが魔法使えるの」
「それより人間とオークの連帯が不思議なんですよ。先日の呪術師もオーク連れてたし」
俺の疑問にサキバさんが
「ヘルンブルグでも連れてましたよね」
ピーター隊長がワープして来た。
「アイラス教団ですか…」
騎士団の人がティーマーの所持品を探って言った。
「魔道具を使ってます。人間製ですね」
手を組んでいた事は確かだ。
アデルさんとサキバさんと俺は、歩いて正門に向かった。
「どうやって飛びながら魔法撃つんですか?」
サキバさんが聞いて来た。
「あれですか。魔法を使う前の重力魔法を少し長めに出してるだけですよ。だから他の魔法使う時は一定の方向にしか進めませんけど」
サキバさんは返事もしないで飛び始めた。
アデルさんも飛んだ。
2人とも凄いな。アデルさんの魔力の持ちが良いのにもびっくりする。
満足そうに2人が帰って来た。
アデルさんは、まだ4分の1くらいの余裕が有るらしい。
街道パトロールに行くと言ってワープして行った。
「飛びながら撃つのは良いですね。ハマります」
無詠唱で発動するのが基本ダヨネー、とか話しながら回収作業を見ながら一応警戒している。
空が明るくなって来た。
三人で森の側まで魔獸を倒しているので、回収作業が大変だ。
その代わり魔獸は壊滅状態なので、しばらくは安全になっている筈だ。
森の中にも敵反応は無い。
「今日もすごく練習になりました。時々やりたいですね。アイラス教団の呪術師も、もっと来てくれると練習になるのに」
すごく物騒な事をサキバさんが言っている。
ミレン隊長が70頭以上と言って来た。それも25頭がフオォォーンだ。
この大作戦は完全に黒字みたいだな。
完全に明るくなったので、明かりを消した。
正門からアデルさんと騎士団の人達が騎乗で出てきた。皆、俺達二人に片手で挨拶していく。
「アデルさんが、どうするか見ていきましょうよ」
サキバさんは楽しそうに言う。
「今日のオオカミが何頭か気になりますね。どこから出てくるんだろう?」
「ですよね。奥に街道専門グループが居るのかも」
「ボチャン、オハヨー」
例の4人組だ。今日は安全だろう。
兄達がティーマーとメイジの死体の所にいる。憤慨しているのがわかる。
「アデルさんのが終わったら、街道を見に行ってみようかな」
「それ、私も行きますよ。街道が復活しないと、実験農場が困りますので」
「そうですよね。低いところを飛んで行きますか?」
「それ、イイですね」
ダラダラと話していると、蹄の音が聞こえてきた。森の出口に注目していると、騎士団が先頭で森から出てくる。今日はアデルさんがしんがりだ。
騎士団とすれ違い、アデルさんが我々にニコリとして片手を上げる。
森の出口からオオカミの群れが飛び出してきた。アデルさんが馬のスピードを落とした途端、雷撃が炸裂した。
オオカミの群れが転がって倒れる。
その時、森の出口の近くに警戒の赤い点が見えた。俺は雷神を飛ばした。森の端の赤い点は消えた。
アデルさんが馬を飛ばして見に行く。俺とサキバさんも飛んで行った。
倒れた木の辺りにオオカミに乗ったまま倒れている。
黒のローブを着た30歳くらいの女だ。
「本当にオオカミ係がいたようですね」
俺がぼそっと言うと、サキバさんとアデルさんが頷いた。
兄達とピーター隊長が来た。
「またアイラス教団か。その赤い刺繍は見飽きた」
ノア兄さんが吐き捨てるように言った。




