表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/223

第2章11話 大作戦3日目アデルさん参加


 正門前ではすでにサキバさんがアデルさんと話していた。


「ミノル君、今夜は最初だけでも私も出るぞ」


 アデルさんがやる気満々だ。雷撃を使ってみたくて堪らないのだろう。


「それは大歓迎です。3人で飛び出しますか」


「獲物は今夜も結構いるので練習し放題ですよ!」


 サキバさんもワクワクしているようだ。


「今日はどこまで範囲を広げられるか試すんです。それと、だいぶ飛べるようになったんですよ」


「すごいですね! 僕1ヶ月以上かかったのに」


「習った者の強みですね。試行錯誤無しですから」


 サキバさんは、軽く飛んでみせる。

 バランスが良い。俺より魔力のコントロールが上手いのだ。


「ミノル君。私にも教えろ!」


 重力魔法の使い方を説明すると、アデルさんも身体を軽く浮かす。次に高く飛び上がって降りて来た。


「これはイイぞ! 囲まれても簡単に逃げれる」


「慣れるまで魔力を結構使うので、ヒマな時にでも練習してください」


「そうだな。今は魔獸だ」


「少し練習すると相当魔力消費が減りますよ」


 サキバさんがアドバイスする。


「私にも魔力増加してくださいよ。今度ヒマな時にでも」


「いいですけど、サキバさんと僕は同じくらいじゃないですか?」


「とんでもない。今は圧倒的に上の筈ですよ」


「じゃ、僕が魔力が満杯の時に」


 楽しい。何年ぶりだろう。会話が楽しくて堪らない。10歳くらい年上のお姉さん達との会話なのに同世代と話しているようだ。

 やはり共通の話題というのは大切なんだと、つくづく思った。


 暗く感じて、正門前広場を明るくした。皆さん松明を消しはじめた。初日からしてあげれば良かった。

 時間が来た。我々三人は用意を整えて門の前に行った。


「行きます!」


 小門が開く。我々は一気に飛び出した。

 俺は周りをいつもより広めに明るくする。

 二人はとっくに雷撃を撃ち始めている。俺も正面の群れに二発連射した。アデルさんとサキバさんは獲物を追うように進みながら狩っている。


「引き付けて倒さないとダメですよ」


 聞く耳を持たないようだ。回収が大変だ。


「ピカッ、ドーン」


 あちこちで雷撃の連発状態。

 残りはバラけていたので矢で倒した。

 始まってそれ程経ってないのに正門が開いて、回収組が出て来た。二人は、それを無視してドカーン。

 仕方ないので、側に行って


「回収ですよ」


 と言うと、正気に戻ってくれた。

 アデルさんは、早すぎると文句を言う始末。

でも、だいぶ練習できたようで機嫌がいい。


「20頭は絶対いけるな」


 興奮気味に言う。魔力消費も少なかったようで、まだまだいけると張り切っている。

 サキバさんは少し範囲を広げることが出来たようだ。


 森の端に少しずつ魔獸らしい反応が増えている。まだ少ないな。でも出て来るような気がする。

 サキバさんも気がついたようだ。


「来ますかね?」


「集めているのか? 来ると思うぞ」


 アデルさんも森を見ている。


「回収が終わったら暗くして様子を見ましょう」


「来るとすれば何か違ったかたちと思います。初日も昨夜も、あのように森で待機する魔獸は居ませんでした」


 二人とも俺の意見に納得してくれたようだ。


「一旦撤収」


 ミレン隊長の号令に回収組は門へ向かった。我々三人も全員戻ったのを確認し門に向かった。

 外を暗くして門を閉める。

 ピーター隊長とミレン隊長が来た。


「まだ2時ですが70頭は有ります。肉の予定には達してますが……どうします?」


 あの短時間で70頭か。いかに、2人が倒しまくったか解る数字だ。


「私は続けることを進言するぞ。森の端に魔獸が集まっている。ミノル君は初日と昨夜には無かった動きと言っている。何か起きる可能性は有るぞ」


 アデルさんが言う。

 サキバさんも、頷いて同意する。

 ピーター隊長とミレン隊長は、顔を見合わす。


「私は森の魔獸が気になります。ここで叩ければ元の魔獸の森に戻り、街道を取り戻せる可能性も出て来ます」


 ミレン隊長が進言する。

 ピーター隊長がニヤリとして言った。


「やりますか!」


 作戦続行が決定した。


「作戦は続行される! 再開は3時。手の空いた者は肉の処理班に協力のこと。以上!」


 ピーター隊長の発令に、全員動き出した。

 ミレン隊長は、我々に正門詰め所でお茶とサンドイッチの用意が有ると教えてくれた。


 我々は正門詰め所でサンドイッチを食べながら、魔法談義をする。とても楽しい時間だ。


「今日の街道掃除の魔獸は私が倒す。二人とも手を出さなくて良いぞ」


 アデルさんが宣言する。


「朝まで魔力が残ってますか?」


 俺がからかうと


「ミノル君に広げてもらって、魔力の回復が速いのだ。朝までもつような気がする」


 アデルさんの話しを聞いて、サキバさんが


「絶対、早くに私もやってくださいね!」


「ハイ。あの……明日にでも」


 3人で笑いながらサンドイッチを食べた。


「街道の左側の森は何も動きが無いですが、何故なんでしょうね?」


 俺が疑問を口にすると、アデルさんが答えた。


「あの森は『禁断の森』と呼ばれててな、魔素が強くて入れないし、魔獸も出て来ないのだ。話しによると200年くらい前は普通の豊かな魔獸の森だったのだが、急に魔素が増え魔獸も出て来ないと言うか人の入れない森になったと聞く」


「魔獸って魔素が有るから出来ると聞きますが」


 と俺が言うと


「多過ぎもいかんようだ。ホルンの森も魔獸の森も豊かだったので、今までは放置されておる」


 知らない事が多いものだ。だが、また200年前か。


「そろそろ3時です。魔獸は少な目ですが、それなりの数です。森の端に待機の群れはまだ居ますね」


 ミレン隊長が教えてくれた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ