第2章09話 肉集め大作戦2日目終了
正門前で警戒で見るとそれ程密度は無いが、ばらばらに数はいる。
「練習のチャンスですよ! さっき教えてもらったの使ってみます」
「少し減らしてから僕もやってみようかな」
「やりましょうよ。お互いに教え合えますよ」
ということで始めることにする。
近いので5メートル近辺。8頭くらいいる。
時間だ。
「行きます!」
門が開かれ飛び出した。
今度は忘れず明るくする。
早速使ってみる。三頭くらいなら簡単だな。
サキバさんは5頭まとめて行った。
「使えますね。魔力が節約できます」
刃の周囲に対流を加えてみる。
自分側の6頭に使ってみると、傷口が裂けるように切れるしスムーズだ。
「どうやったんです?」
「刃の周囲に対流を加えてみたんですよ」
サキバさんはクマさんグループに近づいて、杖を横に振った。
クマへの切り口が破裂したようになり、なぎ倒してゆく。
「これ気持ちイイ! 魔力も使わないし。でも毛皮の値段が最悪になりますね」
まとまって8頭くらい来たので、範囲で雷撃を放つ。
「毛皮代と魔法消費を考えると、これが良いのですよ」
「範囲で雷撃ですか?」
「はい、簡単で清潔で経済的なんです」
「どうやってます?」
「警戒を使って敵の範囲を決めて雷撃です。1発分の魔力で全部いけます。これだと鎧を着た相手でも倒せますし」
サキバさんは、獲物のまとまってる所に走って行って
「ドドドーン」
「本当だ。1発分の魔力でいける!」
それからは、クマを追ってまでドーンをあちこちで連発していた。
獲物がパラパラになって来たので矢で片付ける。
正門が開き回収組が出て来た時には、獲物はほとんど無くなっていた。
「残念。もっとやりたい。雷撃は癖になりますね。倒せる頭数が多くても一発は魅力的ですね」
「でしょう。魔力そんなに要らないんですよ」
「本当に減らないですね」
そんな話しをしている間も、回収組みの皆さんは忙しそうに働いている。
サキバさんが獲物を追い回して倒したので、回収馬車を巡回させている。
まあ、それだけ安全なくらい倒したのだが。
「私、皆さんの仕事を増やしたみたいですね…」
空が明るくなって来た。狩りの時間は終わった。
一応安全の為に回収作業が終わるまで監視する。
広範囲になってしまったので、サキバさんと別れて半分ずつ監視することとなった。
「一応、念のため念話をオープンにしません?」
「はい! 喜んで!」
ついに女性の念話友ゲット! 10歳くらい年上だけど……
30分くらいで完全に朝になった。回収作業もほぼ終わったので街道の辺りで森を見ていると、ピーター隊長が来て、70頭くらい狩ったらしいと教えてくれた。
一晩で140頭くらいか。空を飛んで警戒で森の魔獸密度を見ると、だいぶ少ない気がする。
正門近くの街道にサキバさんがいたので着陸。
「どうやって飛んでます?」
興味深々の様子。
「重力魔法ですよ。上から引っ張らないで、下から押し上げた方がコントロールしやすいですね。慣れるまで魔力を食います」
サキバさんはヨロヨロしながら宙に浮く。
「本当に難しいですね……」
アデルさんが騎士団騎兵隊を引き連れ正門から出て来た。
もうそんな時間なんだ。
アデルさんがサキバさんに笑って手を軽く上げ挨拶する。
「お久しぶりです! アデルさん」
サキバさんも挨拶を返す。
アデルさんは、俺を見てニヤニヤし手を振る。騎士団の人達もニヤニヤして、片手を軽く上げて森に向かった。
「皆さん、何をニヤニヤしているんです?」
「30分もしないうちに走って帰ってくるんですよ。大型オオカミなんかを20頭くらい引き連れて。定期馬車用の街道掃除ですかね。それを、どうせ居るなら片付けろという意味です」
「私にやらせて下さい! 20頭まとめてなんて範囲雷撃練習に最適じゃないですか」
「どうぞ。全部差し上げます」
アデルさん達が戻ってくるまで、詰め所で朝食でもと誘ったが、ここで待つと言ってソワソワしている。
「ボチヤンオハヨー」
例の4人組が手を振りながら森に歩いて行く。
「お知りあいですか? カワイイ娘達ですね」
「ギルドの娘達ですよ。あいつらも少し経ったら走って逃げてくる可能性が高いですね」
サキバさんと獲物が沢山の時は、少し溜めた方が良いとか話していると、遠くに蹄の音が聞こえる。
「来ますよ」
暫くするとアデルさんを先頭に騎士団騎兵隊の馬群がすごいスピードで森を抜けて来た。
アデルさんが、いつものようにニッコリ微笑んで手を軽く上げて行く。騎士団のも達も片手で微笑んで挨拶。
「用意して。あの微笑みは大量にいるかも」
すぐに砂煙りをあげて、大きな群れが森から飛び出して来た。
サキバさんが杖を上げて溜めているのが解る。
「ドドドドーン」
雷鳴と稲妻光の束が落ちるのが同時だった。
大型オオカミの群れが、もんどり打って転がった。
上手く全滅させたようだ。
「これ気持ちイイ! 大魔術師になった気分です! 魔力消費も少ないです」
サキバさんが大喜びしていると、アデルさんが馬で寄って来た。
「今日はサキバさんが片付けてくれたのか。助かる。感謝するぞ」
アデルさんは微笑みながら片手をヒラヒラさせて門に戻って行く。騎士団の皆さんもニッコリして片手を上げて門に入って行った。
我々も戻ろうと歩いていると
「ボチヤン! ボチヤン!」
例の4人組が走って来た。またクマさん2頭に追われている。
仕方ないので弓で片付けた。4人はその場にうずくまって、荒い息を整えている。
「全部やるよ。気を付けろよ」
サキバさんと門に入る頃、後ろからアリガトーの声が聞こえた。
正門前広場では解体作業と、貧困層への肉特別配布が行われていた。
また、疲れた様子の兄さん達が配布を見ている。
「ご苦労様。今日も夜10時に決定、1時開始だそうだ。済まないな」
ノア兄さんが俺を見付けて言うと、サキバさんに礼を言っている。
「する時は言ってください! 絶対来ますから」
サキバさんはノリノリで応え、事務所に顔を出すと言って帰って行った。
俺も風呂に入って寝よう。




