第2章07話 肉集め大作戦サキバさん参加
子供の時から壁に掛かっている時計を見ると4時だった。
朝まで大作戦で疲れて、朝ご飯も食べずにベッド直行だった。
風呂に入ってサッパリする。清潔とは大切な生活要素だ。
精霊の守護者のメダルと鎖は水分を完全に弾くようで拭く必要も無かった。
ミスリルの鎖帷子と同じで手間要らずの超軽量だ。
グレーのシャツと黒ズボン、短剣をつけた剣帯を装着した。
まだ明るい空と森をベランダから見てると疑問が湧いてくる。
なぜ魔獸化したクマさんばかり多いのだ?
確かに魔獸化したオオカミもいるが種類が少な過ぎる。
魔獸化したのでなく、誰か魔獸化してるような気がする。
そんなのが魔獸の森を占拠しているから中に入ることも出来ない。
森オリジナルの魔獸は、どうしているんだろう。
騎士団の調査隊が10メートルも入れなかった状態では、冒険者が入るのは無理だ。
スライムや魔獸のウサギなんかをゆっくり狩れないから、怪我人だらけになる。
俺の周りにヒロインがいないのも、魔獸だらけなのも変なのだ。
少し早いが腹が空いたので食堂に行く。
なんと皆さん揃ってた。
「ミノル起きたのか。魔力の枯渇で寝続けると思っていた。昨夜はご苦労様だった」
叔父さんがにこやかに言った。
「魔力は全く問題無いです。もう元に戻ってます」
俺とアデルさんはテカテカ顔で風呂に入って来ましたという状態だが、兄さん達とピーター・ミレン両隊長はボロけている様子。
「寝てないのですか?」
「いや、詰め所で寝た」
と、フェン兄さん。
「肉は冒険者と猟師が相当狩ったのですが、店の在庫まで腐ったので不足状態です。魔獸に囲まれ街道が利用困難で街は孤立してますので、近隣から大量に仕入れが出来ない状態です。
昨夜の作戦で森の魔獸密度は減ったと昼に報告が有ったのですが、現在また森から魔獸が出てきているという状態です」
ピーター隊長の報告に兄さん達は、げんなりしている。
無言状態が続く。
「暗くなって、昨日の魔獸密度で草地に出てくるなら今晩も狩ります? 肉も手に入るし、相当間引きになると思います。奴等も有限ですから」
「確かに森の魔獸密度は減ったというしな」
と叔父さんは思案顔。
「今晩も同じ密度で出てくるなら、出されている可能性が有ります。明日も同じなら確実に意識的に街を孤立させている可能性が有ります。誰の意思かは知りませんが。前に僕オークティーマーを倒してますので、今回もその可能性は有ります。三晩連続すれば、奴等の魔獸在庫はほぼ無くなる可能性が有りますよ。だって全部、魔獸化された魔獸ですから」
「先ず今晩も同じ魔獸密度になるかだね。暗くなったら判るな」
ノア兄さんが呟く。
「騎士団は今から睡眠をとらせば夜の1時から作戦実行可能です。魔獸密度は増えてきていると現在報告がありました」
とピーター隊長。
「警備隊は昨夜の隊員は今寝てますので、今晩も使えます」
鬼のミレン隊長が言い放つ。
「では今晩の作戦実行は夜10時に魔獸量を見て決定。実行の場合は深夜1時から開始だな。とにかく皆、睡眠をとれ。状況によっては明日もあるからな」
フレードリッヒ叔父さんが決定した。
皆さん急いで席をたつ。
準備と睡眠だ。
ハリーさんから連絡が来たので晩飯を食べることにした。さっきは話してばかりで余り食べて無い。
ハリーさんとサキバさんと俺は『海の妖精』の前にカニかエビでもと降り立った。
少し先で昨日見た黒ローブを着たのが2人とオーク4人が騎士達と対峙している。先頭に立って剣を構えているのはポニー魔導剣士さんみたいだ。
俺はいきなり雷神を撃った。
「ドドドーン!」
轟音と共に凄い光の電が落ちた
後ろを警戒して無かったようで、呪術師2人はバリアーも張らずに直撃を食らい全員倒れた。
サキバさんが大笑いしている。
俺はポニー魔導剣士に手を振って挨拶し『海の妖精』に入った。
「凄い魔法ですね。カニありますよ」
我々3人は歓声を上げ、席についた。
早速エールとカニの大皿とカニ味噌が来た。
全員でカニにかぶりつく。
「今晩も大作戦みたいですよ」
「私も手伝いますが? 前半だけでも」
サキバさんが言ってくれる。
「助かります。昨晩は僕だけでしたから」
「じゃカニパワーで」
ハリーさんが笑って言う。
「三晩連続大作戦の可能性もあるんですよ」
「それは良い考えですよね。街の孤立も解決するかも」
「今日のカニ味噌、美味いですね!」
「何時からです?」
「10時決定、1時開始です」
ヘンドリックスさんがポニーさんと一緒に飛び込んで来た。
「有り難う御座いました。暴漢を片付けていただいて」
「あれと同じのが昨晩ホフマブルグにも来まして、アイラス教団にも困ったものです。座って一緒に如何です?」
ヘンドリックスさんとポニーさんが座ると、すぐにエールとカニの追加が来た。
今ホフマブルグで起きていることを説明すると、こちらも似た状況らしい。
「あの呪術師達もあんな服装で来たということは、負ける気が無かったのかもしれないですね。」
「街を滅ぼすつもりだったと?」
ヘンドリックスさんが驚いたように言った。
「可能性は高いですね。昨晩のミノルさんの相手はトップレベルのが来てました。こちらのは、だいぶ落ちるレベルだったので2人で来たと思います。呪術師の数はあまり居ないのかもしれないですね」
サキバさんが説明してくれた。
「フレードリッヒ叔父さんと話して歩調を合わせた方が良いかもしれないですね」
「早速連絡しますよ」
カニを食べながらダラダラと情報交換して、10時近くなったので残念ながら御開きとなった。




