第2章06話 肉集め大作戦2
30分程暗くしてたら、それなりに魔獸が増えてきている。
解体が追いつかないというので、もう30分待って4時から再会となった。
俺の魔力もほぼ満タンになっている。地脈の本流からの魔力の流れ込みは凄い。流れ込んでいるのを感じる程だ。今まで通り魔素からも同時に取り込めるので、大きな魔法を連発できる。
4時になるので警戒で見ると、けっこう集まって来ている。正門の近くに3頭くらいいるが、空が明るくなる前に終わらせないと。
装備を整え気合いを入れる。
「行きます!」
人間用の正門が開く。周囲を明るくして正門前の三頭を矢で仕留め、密集している辺りを優先して範囲の雷撃を連射していく。
残ったのを矢で片端から仕留めていると出ました!
「フオォォーン」
巨大なのが三頭見える。バラバラにこっちに突進して来ている。
クマさんを撃ちながら、引き付ける。
30メートルぐらいまで来たので、ワンドを持ち最初の奴に雷撃を撃った。
「ドドーン」
巨大なのが派手に転がって止まる。
二頭目が近くに来ているので、また雷撃を撃ち込み、すかさず三頭目に雷撃を撃ち空に飛び上がって逃げる。
草原が雷撃の派手な音と光に包まれ、ピカピカドンドン『フオォォーン』とやかましい。
俺が立っていた所まで、勢いで転がって来て止まった。
降りて先に歩きながら矢で残りを仕留めていると、正門が開き馬車と回収の騎士団と警備隊の人達が飛び出して来た。
魔獸狩りは魔法を使うので、そんなに時間はかからないが、この回収と解体が大変だ。
これで今晩は終わりだろう。
警戒しながら街道の上に転がっている魔獸を重力魔法で街道から排除していく。
襲って来たのを二頭程倒したところで、空が明るくなって来た。
早く解体して配給する用意をしないと。
5時30分で回収が終わった。
全部で44頭も狩ったようだ。それも超巨大フオォォーンがいたので肉の量は充分だろう。
配給も始まっている。
既に正門前広場には凄い人が集まっている。
中央の広場も配給作業が行われているそうだ。
冒険者ギルドと狩猟ギルドからの助っ人も入って解体作業が進んでいく。
アデルさんが騎士団騎馬隊6人を引き連れ、正門から出て行った。
街道の掃除かな、そろそろ定期馬車の来る時間だ。
聖樹のことが気になったのでワープする。
アイラス教団の呪術師に襲われて影響が無かったか気になってた。
聖樹の地は平和そのものだった。
光の粒が舞い、周囲には色々な種類の草や草花が生えていた。
一晩でずいぶん変わったものだ。
樹の枝の辺りに妖精らしい光る小型の生き物が飛んでいる。
もっと沢山の妖精が来るようになると良いな。
「妖精さんおはよう」
返事は無かった。
「聖樹がもっと大きくなって、力を取り戻しますように」
柏手を打ち拝んでお願いした。
正門に戻ってみるとノア兄さんとフェン兄さんが来ている。
配給作業を見に来ているのか、ピーター隊長から説明を受けている。
「ミノル、ありがとう。本当に成功させたね。ご苦労様」
ノア兄さんが俺を見つけて言った。
「いいえ、兄さん達こそ一晩で配給計画を立てて実行は大変でしたでしょう?」
「肉が無ければ配りようも無いからね。ミノルのおかげで助かったよ」
フェン兄さんがニコッとして言った。
2人とも疲れた顔をしている。
宿泊施設や飲食店には既に届けたので、肉の配給状況を見てこれからの方針を決めるそうだ。
兄さん達はこれからが忙しい時間となる。
「この騒ぎも、あのアイラス教団の呪術師が作ったと思うと腹が立つ!」
ノア兄さんが真剣に怒ってた。
「ボチャン。オハヨ」
振り向くと、例のネコ系とイヌ系にダークエルフと魔人の4娘がいた。
「狩りに行くの?」
4人で頭を縦に振る。
「気をつけるんだよ」
「「「「ハーイ」」」」
4人は手を振って門から出て行った。
蹄の音がする。
イヤーな予感がして正門から飛び出すと、やはりアデルさんの一団が全力で走ってくる。
俺はワンドを持って走った。
警戒で見ると馬群の後ろに、20頭以上の群れがいるようだ。
アデルさんが俺にニコッと手を振ってすれ違った。
騎士団の人達も馬上から片手を振ってゆく。
力を貯め狙いをつける。
群れを引き付ける間力を貯め雷撃を放った。
「ズドドドドーン!」
大量の魔獸化した大型オオカミに大音量の落雷が降り注ぎ、周囲は白い光に包まれた。勢いに乗ってるオオカミ達は転げ回って倒れた。
アデルさんが騎乗のまま戻って来てニヤニヤして言った。
「ミノル君、今日の雷撃も素晴らしいな。ありがとう。愛してるぞ」
後ろの騎士団騎馬隊の人達も笑って手を振り、正門の中に入って行った。
愛してくれるのは嬉しいんですがね……
正門から獲物回収に馬車と騎士団と警備隊の人達が飛び出して来た。
もう終わったと思っていただろうに。ゴメンね。
正門に向かって歩いていると、例の4人組みが必死に走っている。
獸族よりダークエルフと魔人は足が遅く、そろそろ大型クマ2頭に追いつかれそうだ。
足の速い2人がこっちを見ている。
仕方ないのでクマさん2頭を矢で片付けた。
よほど疲れたのか、その場でうずくまっている。
「「ありがとう」」
そういえば、この2人は日本語が上手かった。
「狙ったの? 襲われたの?」
「襲われた」
「そうか。気をつけなよ」
話していると、獸人2人組みが戻って来た。
「アリガト。ボチャン」
しょんぼりして言う。
「あの2頭、全部やるよ」
4人は大歓声を上げ喜んだ。
まあ、血抜きと解体を頑張るんだな。
俺は4人を置いて正門に向かった。




