第2章01話 お母さんに聖樹を見せる
俺が異世界に来て6週間が過ぎた。
あっという間の6週間だった。
夢の国は楽しく一見のどかだ。だが日本に居た時と比べようの無いスピードで時が過ぎた。
聖樹は、たったの1ヶ月で、木から樹のようになった。
もう枯れる心配も無いと思い、レナ叔母さんに見せた。
「ミノル。良くやってくれたわ。お母さんは誇らしいわ。でもね、この聖樹はまだ根が地脈と繋がって無いの。繋がったらすぐに判るの。この草地がもっと豊かに美しくなるのよ。森全体が豊かになるわ。昔から言われていることなのよ。それまでミノルが守るのよ」
俺は決意を新たに毎日聖水をかけ、神様と精霊様に祈り続けている。
家宰の悪事は大体、表に出て汚職関係者の逮捕もほぼ終了してきている。
やっと中途半端になっている地方の膿だしがスピードアップできる体制が整ってきた。
地方の仕事はフェン兄さんが頑張っている。
普段のフェン兄さんからは想像できない程だ。
アイラス教団は酷過ぎ、ホフマブルグだけでは無く、ホフマン辺境伯領内からの追放も選択肢になっているようだ。
俺はそんなに変わらず、森から帰ると冒険者ギルドに行き治療をする。
魔獸の被害は変わらず10人くらいは必ず怪我人が出るので、出来るだけ毎日装備の悪い冒険者を集めてクマ狩りに出掛ける。
正門と魔獸の森の間に大型クマさんがウロウロしているのを、一緒に行った人数分狩って皆で分けるのだ。
魔獸の間引きにも協力でき、皆にも喜ばれる。これで俺はAランクの冒険者になった。
「みんな用意はいいか? 僕が倒したのを忘れずに集めて来るんだよ。無理しないで必ず5~6人で運ぶようにね。では出発!」
「エイエイオー!」
右手拳を頭上に突き上げて、皆で雄叫び。
狩りの始まりだ。
俺達は正門脇の扉から弓を持って飛び出す。正門の前には大型クマさん運搬用の大型馬車が既に用意されている。
俺は近くのクマさんから打っていく。正門近くの魔獸を如何に短時間で制圧するかが最初の仕事だ。
10メートルも無い距離にいたクマさんを倒し、警戒で次に近いのに矢を放つ。次が15メートルくらいにいたクマさん。こっちに走り出している。正面からは打ちやすい。眼を狙える。
放つとすぐに次の矢を用意して弓を引く。20メートルくらい。回収を考えて少し引きつける。
矢を放つと次、もう20メートル切るくらいまで来ている。
大型クマは足が速く、20メートルは凄く近い距離だ。
次のが走っているのが感じているので、矢を放ち次。
こんな感じで50メートルくらいの範囲にクマさんがいなくなってから、一時的に回収活動を始める。
女の子達がチームを組んで、最初のクマさんが倒れている所に集める。
ここの娘達は力持ちだ。200キロ超のクマを5~6人で運んでくる。
俺は2チームが集めて来るのを、襲うクマさんの警戒だ。
7頭集まった。
今日は12人連れてきたので、もう一働き。
「ボチャン、ワタシハシル」
獸人の娘が立候補してきた。
囮になってクマさんを引き寄せるのだ。
100メートル以上先に居るクマさんを挑発して近くまで連れて来る役目を、ネコかヒョウか判らない耳の付いた娘が引き受けた。
ネコ系は凄く速いけどすぐバテるので、行きはゆっくり歩いていく。
だいたい20メートルくらい近くに行くと、確実に襲って来る。
ネコ系耳の娘がいきなり振り返り凄いスピードで走り出した。
3頭に追われている。
1頭が走ると近くのクマさんも獲物を捕捉するべく、とにかく走る。
安全と回収を考えると、出来るだけ50メートル以内まで引き寄せるたい。
俺から40メートルくらいの所でコケた!
三回転くらいして止まった。
慌てて最初の奴を倒し、二頭目を狙って撃つ。三頭目を狙っていると4頭目も見える。
矢を放ち、4頭目を引き寄せるてから倒した。
コケた娘の所に行くと、怪我でボロけてた。
治療して、クマさん集積所に居るコケた娘は皆にからかわれている。
11頭でちょっと足りない。
「次、私行くよ」
イヌかオオカミか判らない耳の娘が言った。
「無理しないでね。ゆっくり行ってくださいね」
囮役の娘はテクテクと、少し固まってクマさんがいる方向に歩いていく。
100メートル超えた辺りで、こっちに走り出した。
速い!
だが予定より多いクマさんが追ってくる。7頭か。
間に合わなくなるので、50メートル以上離れているけど片端から倒す。最後のクマさんが倒れてから止まったのは20メートルを切っていた。
倒れてから、5メートル以上は滑って来た。
囮役の娘が胸を張る。
皆で拍手して、狩りは終わった。
クマさんを集めていると、今日もジグロさん直々馬車と現れた。
「大猟ですね。後はやりますので、ギルドで待っていて下さい」
ワープが使える娘が二人いたので、全員でギルドに飛んだ。
昼を過ぎているどころか3時頃だったので全員に定食大盛を注文して、エールは要るか聞いたら全員が要ると応えた。
俺はそんなに腹が減ってなかったので、エールとソーセージにした。
飲み物と食事が配られ、皆でカンパイして食べ始めた。
女の子達は今日の狩りのことを楽しそうに話している。
狩りの後、皆に安い定食とエールをおごって話を聞いているのも楽しいものだ。
しばらくすると、ジグロさんが呼びに来たので全員でカウンターの前へ。
「本日の成果は魔獸化した大熊18頭。全額で679万デル。回収馬車が3台で9万デル。参加者の12人には一人37万デルを支払い、残額とポイントはミノル坊ちゃんの所有とします。ギルド裁定なので従うこと。各自速やかにプレートを出すように」
女の子達から歓声と拍手が上がった。
夕方近くなってたので、皆さんにバイバイして館に帰った。
疲れたー




