表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/223

第1章24話 ドワーフの武器鍛冶


 朝食を食べて、すぐに裏の森に飛んだ。

 なんと、昨日出てきた聖樹の芽は1メートルくらいまで育っている!

 幹の太さは5センチくらいで、上の方から小さな枝が出て葉も数枚付いている。

 本当に不思議の国だ。一晩でこんなに育つなんて。

 今日も根元に聖水を撒く。

 幹にもより大きくなるように聖水をかけた。


「明日も無事により大きく育ちますように」


 柏手を打ってから、神様と精霊様に拝んだ。




 日課となった冒険者ギルドに行き治療をする。

 今日は全員女の子。ジグロさんが言ってたようにEクラスDクラスが多い。

 この娘達には魔獸が大き過ぎるのだ。

 装備も貧弱で鉈や小さな薪を割る斧だったり、魔獸を相手にするには弱過ぎる。

 今の状況では薬草を集めながら、スライムやウサギを狩るのは難しい。


 11人を治療した。昨日治療した娘も二人くらいいた。毎日怪我じゃ可哀想だ。


「相変わらず大きいのが魔獸の森から出てウロウロしてますから。昨日は騎士団の皆さんがホルンの森から魔獸を退治してくれたので、弱い冒険者にはホルンの森で活動するように言ってます」


 騎士団の皆さんも忙しいなか大変だ。


「あの娘達の多くは小動物を狩って食べてしまうので、武器を買う余裕なんて」


 治療の後も座って動かないのは、空腹で動けないのだそうだ。

 全員に朝食と持ち出し用のサンドイッチを配る。少しでも良い回転のきっかけになれば……


 現金が減ってきたので、ジグロさんに頼んで300万デルを現金化して貰った。



 約束時間が近いので銀行に飛んだ。

 箕輪さんと昨日、カニをご馳走になったことを話すと、銀行業務が無ければと悔しがる。

 店の名を教えると、今晩奥さんと行くと張り切っていた。


 シュナイダー辺境伯が山形さんと来た。


 シュナイダーさんも返済額の値引きに成功したようだ。期限を越えてからだと20%くらい見たい。でも上手く行ったとシュナイダーさんに感謝された。

 契約の後シュナイダーさんが


「ミノルさんも、どんな所に融資したのか見たいでしょう。案内しますので昼食がてら来ませんか?」


 と誘ってくれたので、喜んで誘いに乗った。



 シュテンブルグは如何にも異世界といった、中世ヨーロッパのような風情の綺麗な街だ。

 円形に街が造られ、道も同心円状に造られている。攻め込まれても一気に館までは着かないように出来ているとのことだ。


「この街の3分の1くらいは、亜人・獸人・魔人で構成してまして、ドワーフも多いので刀や防具の生産が多いのですよ」


「ここが街で最高の武器鍛冶の店ですけど見ます?」


「見たいですね」


 シュナイダーさんと店に入ると刀が並んでいる。確かに良い品ばかりだ。

 感心して見ているとドワーフが寄って来た。シュナイダーさんに挨拶する。


「兄さん、その短剣見せて貰えるかね?」


「はい、どうぞ」


 俺は剣帯から短剣を外して渡した。

 ドワーフは鞘から短剣を抜いて見ている。


「ミスリルの短剣。素晴らしい剣だな」


 そう言うとオイルのような物で掃除をしてくれた。


「最近の汚れだな。他にも有るか?」


 マントの中剣と弓、ポケットのダガーを出す。


「便利なマントだ」


 鞘から中剣とダガーを抜き、まじまじと見る。


「どちらも、素晴らしい」


 また、掃除をしてくれた。輝きが変わった。


「間違った油を使っていた。量も多すぎる」


 ダガーを小型の砥石で軽く研ぐ。刃の部分の輝きがより鋭くなった。研いだ部分をまた拭き。


「これでいい。この油を使え、3滴もあれば全部を手入れできる。使い過ぎるな」


 小瓶を一つ貰った。


「時折持って来い。見てやる」


「ミノルさんの剣は凄いのですね」


「うん。御屋形様の数倍いい。この店には無い」


 二人で大笑いしている。


「弓は叔父の店に行け。今連れて行くか?」


 シュナイダーさんが頷く。


「来い。近くだ」


「あのお代は」


「いらん。剣を見れた」


 我々3人は数件先の弓屋に入った。


「良い弓を持って来た」


 叔父さんらしきドワーフの職人さんに弓を渡した。


「これは…久し振りに良い弓を見た。引いてみろ」


 俺が弓を引くのを見て


「全部引けるようだ。ふさわしい持ち主だ」


 弓のグリップの中に調整板のような物が有り、それを調整する。


「引け」


「凄く引きやすくなりました!」


「位置が少し狂っていた。時折持って来い」


「やはり良い弓なんですか?」


「めったに無い。御屋形様も見習った方がいい。まあ、引くのも出来ないだろうが」


 三人で大笑いしている。一緒に笑うわけにもいかない。


「ここに来ると、何時もこんな感じで話してるので気にしないで下さい」


 ドワーフ達に礼を言って店を出、通りを進んでいくと服屋があった。


「魔族の店で、ミノルさんが着ているようなのが売られてます。見ませんか?」


 そう言って店に入った。

 店には魔力の付加された衣類が沢山あった。


「御屋形様、お久しぶりですね」


 魔族の女性店主が声をかけてきた。


「友人のミノルさんです。店内を見せて下さい」


「どうぞ。凄く力の付加された素敵な服を着てますこと」


「でしょう。ここなら楽しんで貰えるかと思いましてね」


「それは光栄ですがミノル様の着ているような高級品は無いですよ。そうですね、これなんか似合うかも」


 黒の薄い皮チョッキを見せてくれた。


「防御力増加・対魔法防御力増加・回避能力増加・体温自動調節・疲労軽減・自動浄化、ですね。体温自動調節で夏も涼しいですよ」


「格好いいですね。とても軽いし。おいくらです?」


「200万デルですが、御屋形様のお友達なら150万デルで」


「いただきます」


 早速着てみる。軽くて気やすい。


「ポケットは拡大型です。大きく汚れた時は、風呂などですすげば綺麗になります。皮ですが問題ありません。でも、これだけ防御力を重ねて着ているとミノル様を切るのは至難の業ですね」


 三人で笑ってしまった。

 店を出て、またブラブラとする。屋台で串焼きの肉を買って食べた。とても美味しい。


「良いレストランなんかもあるのですが、行くと館の者に捕まりますので」


 やはり魔獸の森やアイラス教団の問題、それに絡む汚職摘発で大騒ぎなのだそうだ。


「落ち着いたら、是非に館に来て下さい。今ですと、こんなにゆっくり出来ませんので」


 逃亡中の御屋形様と3時過ぎまで遊んでから帰った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ