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第1章21話 話芽が出た


 今日は早めに食堂に行くと入口でレナ叔母さんに会った。

 笑って手を振り俺を待ってくれる。俺も早足で叔母さんに近寄る。


「ミノル毎日偉いわ、人の為に魔獸を退治したり怪我人を治したり。お母さんは鼻が高いわ。友達と会っても、あなたの噂でいっぱいよ」


 なんて話の伝達が速いのだろう。下手なことは出来ない。


「お母さん実はハリーさんから聖樹の種を貰いまして、叔父さんの許可を得ないで裏の森に植えてしまったのです」


「ミノル。何故そんな事を気にかけるのです! あなたは正しいことをしただけなのですよ。そもそも裏の森の聖樹を切ったこと自体が馬鹿な行為なのです。良くやってくれました。お母さんは嬉しいわ。私も精霊様に育つようにお祈りしますからね」


 これで事後承諾が出来た。叔母さん、有り難う。


 今日の食事時間も、叔父さんや兄さん達はゴソゴソと話している。


「今日は何故、全部矢で倒さなかった?」


 アデルさんが小声で面白がって聞いてくる。


「近過ぎでしたし、二頭も居ましたから」


「雷神ではなかったんだ」


「あれはデカ過ぎと知りましたので……」


「十分デカかったぞ。地響きがした」


「スミマセン……」


 アデルさんは笑いを堪えるのが大変そうだった。


 ピーター隊長の報告。


「本日はアイラス教団の孤児奴隷売買に関わった組織を摘発。現在14名逮捕しましたが、他にも容疑者が居ることが判明。現在調査中。組織の本部と思われる建物で、さらに8人の奴隷を発見。全員未成年女子の為保護。アイラス教団の捜査により多数の書類と、販売していた水で薄めたポーションを発見。調査中。

 本日、正門前にて大型魔獸に馬車が襲われ横転。二頭の大型魔獸は昨日と同じ雷好きの冒険者により討伐。馬車の横転により二人重傷。以上です」


 また、大笑いされた。

 アデルさんは今日も涙を浮かべ笑っていた。


 アデルさんの報告。


「本日、魔獸の森の調査を行いましたが、森の中は非常に多くの魔獸がおり、かつ大型化しております。調査隊は森に10メートルくらい入った状態で調査を断念。森の外にも魔獸が溢れており、早急に対策を立てる必要性があります」


 アデルさんの報告に全員しぶい顔となる。家宰やアイラス教団の調査だけで人員を取られている状態で、魔獸の森に多くの人員を割けない状態が本日の魔獸の森からの撤退に繋がっている。


 俺には何も出来ないので、早々に席を離れた。


 ベランダから森を見るのが日課になっているようだ。空気が良い。

 森の空き地は部屋から見えない。屋根からなら見えるのかな?


 しばらく外を見ていると疲れが感じて来たので、寝ることにした。




 朝食を食べ、裏の森に行く。

 ワープで空き地に行き種を植えた所に行くと、なんと芽が出ている!

 種が大型だったので、芽も大きい。

 既に地上30センチ近い!

 流石に不思議の国だ。

 聖水を丁寧に根元にかける。


「神様、精霊様、芽が無事に大きく生長しますように」


 柏手を打ち拝んだ。


 凄く嬉しかった!

 半分以上生えないと思っていたので、嬉しさは想像以上だった。

 実は聖樹という木を見たことがない。どんな木になるのか楽しみだ。

 明日も聖水をかけに来よう。

 俺は聖樹に一礼してワープした。



 冒険者ギルドに着くと今日も居る。女の子が多い。


「今日も12人くらいですかね。お願い出来ますか?」


「良いですけど、勝手な時間に来ているのだし、その日は来ないかもしれないのに」


「皆、待ちますから気にしないでください」


 ジグロさんは、待つのが当たり前という感じで返事した。


「本日は約束も有るので、始めます」


「時間になったら遠慮無く止めてください」


 そうも言い辛いよなと思う。

 今日も単純骨折と怪我が多い。

 昨日、俺が帰ってからの負傷のようだ。

 一時間くらいで全員終わった。


「今までも、毎日こんなに怪我人が多かったのですか?」


「いいえ。最近の傾向です。魔獸が多いし大型化してますから」


「確かにデカイし強いですよね」


「下のレベルになる程女の子が多いので、大型に突進されると弾き飛ばされてしまうんですよ」


「クマさんですか?」


「そうですね。あれが、まだ狩り易い方なので」


「ですね、矢一本で倒せますものね」


「そんなの、坊ちゃんだけですよ。Bクラスでも毛皮をボロボロにしてしまう程の戦いになるので、買い取りが安くなって……肉代だけですね」


「そうなんだ。何で僕の時はクマさん出て来ないんだろう」


「出て来た時は10頭以上でしたしね」


「皆さん減収なのですかね」


「ですね。昨日のゼンダチームも熊狩りに行って、あの事故ですから」


「Aクラスチームでしたよね」


「あのクラスでやっと、毛皮として買い取り出来るのを持って来る感じです」


「肉の買い取り金額は出たんですか?」


「1キロ500デルくらいですかね。1頭で10万くらい」


「毛皮と魔石や胃なんかで35万くらいですか?」


「毛皮がきれいなら。途中で逃げられてしまうチームも多いですし」


「それじゃ辛いよね」


 みんな大変なんだ。


 次の約束があるので帰ると言うと


「治療だけに来てくれたのですか! 有り難う御座います」


 感謝されてしまった。



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