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第1章19話 ヴオフォォーン再び


 洗面所で手と顔を洗い、歯も磨く。

 少しサッパリ。


 食堂に帰ると、さっきの5人が待っていた。


「助けてくれてありがとう。恩に着るよ」


 この人はチームリーダーのゼンダさん。Aクラスのチームで、ケガした綺麗なお姉さんがマネさん。魔術師だそうだ。

 マネさんは、もう座っている。


「ギルドの仲間ですから当然のことですよ。気にしないで下さい」


「今度会った時、ポーションは返すよ。ここじゃ売って無いんだ。あんな高級品」


 高級品だったんだ。


「いえ、いらないですよ。差し上げますから」


「坊ちゃん。そんな訳にゃ行かねえんだよ。借りは返さねーと駄目なんだよ!」


「貸しと思ってませんから」


「……」


「ところで、あの傷はどこら辺でやられました?」


「正門と魔獸の森の中間くらいのところだ。あのデカイのが街道の馬車を襲ってたから、マネが注意を逸らすのに魔法で一発打ったら急に方向変えてマネに突進さ。すげー速さで逃げられなかったんだよ」


「馬車を襲いましたか…」


「でも、坊ちゃん一人で弓だけで倒したんだろ。俺達の弓も槍も傷すら付けられなかった……」


 どうなったんだろう。気になる。


「騎士団か警備隊が殺してますよ。今頃」


「騎士団は魔獸の森の調査から逃げ帰ってましたぜ」


「見物にだけ行ってみますか」


「俺達も行くぜ」


 俺は短剣と中剣を剣帯に付け変え、矢入れを背負い弓を左手に持った。


「坊ちゃん、見物ではないのですか?」


 ジグロさんから突っ込みが入った。


「万が一の為です」



 正門に着くと正門は閉鎖中だった。

 門番さんに聞くと、倒された馬車の救出に出られない状態。

 魔獸と馬車の位置は正門から50メートル弱で、その後ろにもう一頭居るそうだ。

 そりゃあ救出は無理だよな。

 あれ二頭なんて悪夢だよ。


「小門、開けて下さい!」


 すぐに小門を開けてくれた。

 俺って、こんなに馬鹿だったのかな。


 小門を飛び出すと斜め前に走り、攻撃位置を決める。

 ゼンダさん達が付いてきている。


 矢を打って魔獸の注意をこちらに向けると、昨日と同じ巨大な奴が突進して来た。

 一応矢を二本打って眼を潰す。


「ヴオフォォーン」


 相変わらずデカイ吠え声。

 二頭めも、こっちに向かって走り出した。

 ヤバイ!

 ワンドを取り出し、集中。

 神様。精霊様。お願い!


「雷撃!」


 必死になると魔法名を叫んでしまう。

 一瞬間を置いて


「ドドッカーン」


 デカイ稲妻が落ち、巨大魔獸がつんのめって倒れた。スピードが乗っていたので、相当滑って俺達の方まで来た。

 二頭目に向かって集中。


「雷撃!」


 お願い、一発で死んで!


「ドドーン」


 さっきよりデカイ稲妻が落ち、空気が響く。魔獸は横向きに倒れ一回転してから滑って来た。

 止まった巨大魔獸を見てホッとした。

 神様、精霊様ありがとうございました。

 また柏手を打ち拝んでしまった。

 後ろの4人も私の真似をし、柏手を打ち拝んでいる。


 正門が開き馬車救助に警備隊の人が走り出した。

 正門警備隊の人が一人来て


「有り難うございました。冒険者ギルドには連絡を入れてありますので、馬車が来ると思われます」


 と言って去って行った。


「坊ちゃん、済まねえ。何も出来なかった……」


「一緒に出て来たんだから仲間ですよ」


 ジグロさんが大型馬車三台で飛んで来た。

 解体士の人達も一緒だ。


「ミノル坊ちゃん、冒険者ギルドでお待ち下さい」


「お願いします」


 ゼンダさん達とギルドに帰った。


「疲れましたね、エールでも飲みませんか? おごりますよ」


 マネさんが座っているところに、皆で戻り座る。

 ノレルさんと昨日の娘達もいたので、一緒に誘った。全員顔見知りだったようで挨拶をしている。

 エールとソーセージを大皿に三皿頼む


「坊ちゃん、済まねえな」


「あのー、坊ちゃんは止めませんか。ミノルと申します」


「何を言ってるんです。ミノル坊ちゃんは坊ちゃんに決まってるじゃないですか!」


 ノレルさんが言うと、全員うなずいている。

 これは言うだけ無駄みたいだ。


 お姉さんが全員にエールを配った。


「マネさんもエールですか? 肝臓に穴が開いていたんですよ」


「気にするな。問題無い。ところで肝臓とはなんだ?」


 やはり、言うだけ無駄みたいだ。


 飲んでいると、ジグロさんが帰って来て俺を呼び出した。


「鑑定は昨日とほぼ同じです」


 角と毛皮はオークションでないと値段が判らないので、後日。

 一頭目の肉と魔石で370万デル。

 二頭目が400万デル

 大型馬車三台と出張解体で15万デル。

 本日の支払額が755万デルとなります。


「はい、それでお願いします」


「ゼンダさーん」


 ゼンダさんが、何も出来なかったのだから、何も貰えないと固辞する。


「皆で危険な場所に出たんだから、せめて本日支払い分だけ全員で分けましょうよ。オークション分とポイントは僕が貰いますから」


「いや、貰えねー」


「マネさんが働けるようになるのに、一週間以上掛かりますよ。宿泊費やポーション代も必要だし、分けましょ」


 話を聞いていたジグロさんが、残り4人を呼び


「ミノル坊ちゃんの意向で本日の狩りによる本日支払い分のみ、一緒に門から出たゼンダチーム全員と分けることとする。チームであるからマネも含まれる。全員素直にギルドプレートを出すように。

 なお本日のポイントはミノル坊ちゃんが全て取ることとする。755万デルを6人で割ったので端数は坊ちゃんに渡し1人125万デルの受け取りとなる。ギルド裁定なので従うこと!」


 ジグロさんが全員からプレートを取り上げ、金額を打ち込んで、終了宣言をした。


「こうでもしないと、何時までも受け取るとか取らないとか面倒時間なんですよ」


 ジグロさんが笑って小声で言った。


「風呂に入りたいので、お先に失礼します」


 皆さんに礼をして、部屋に帰った。



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