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第1章16話 ホルンの森


 部屋に帰ってすぐ風呂に入った。やはり狩りは脂汗とホコリで気持ち悪い。

 全部洗ったものに取り替える。ミスリルの鎖帷子は最初に洗ってタオルの上に置いておくと、着る時には乾いている。

 ブーツも乾いているのに変えさっぱり。

 ベランダに向かったところで、ミリーさんが食事を伝え、洗い物とブーツを持って行ってくれる。


 ベランダから魔法の連射練習をして森を見る。綺麗な森だ。

 大きく危険な動物は全く居ないと以前聞いた。館の裏庭だからだろうか。

 裏庭と言うには大きな森だ。


 食堂に向かうと食堂は修理が終わっていた。召使いさんが扉を開けてくれた。

 ダニエルを除いて全員いた。今日もピーター隊長とアデルさんがいる。忙しそうだ。


 叔父さんと兄さん達が何か話している。叔母さんが笑って、軽く手を振ってくれる。

 俺は会釈しながら席に着いた。


「巨大魔獸を矢だけで仕留めたそうだな」


 アデルさんが小声でからかってくる。


「11本打ちました」


 小声で返事する。笑われた。


「何故魔法を使わない?」


「あんなに巨大とは思わなかったんですよ」


 アデルさんが大笑いしたので目立ってしまった。隊長が睨んでいる。


 食事が運ばれ食べながらノア兄さんが話し始める。


「本日は色々と起きまして、互いに連絡や確認がされて無いので今日も食事時を利用させてもらいます。ピーター隊長から」


「はい。警備隊隊長は逮捕、大熊の件放置や冒険者ギルドから獲物搾取の件は関係を否認してましたが同時に逮捕された中隊長が自白、隠し金庫も発見され証拠多数を押収しました」


「アイラス教団の診療許可疑惑に関しては、アイラス教団の治療士はレベル70を越える者が現在一人もいない事が判明。最高でレベル58でありました。

 登録されたレベルを70越える者は2年以上前に死亡。教団は診療許可の登録抹消せずにそのまま。毎年更新時の拇印も二年前から毎年別人がしており、現在特定中。教団の治療士は現在全員逮捕。人数は5名であります」


「本日、正門前で超巨大化した魔獸と弓で一騎打ちする者が出現。弓で倒せる相手ではないと判断した警備隊員が正門を封鎖。理由は射手が最後に強大魔法を打つ可能性がある者だった為、通行車の安全確保。

 それを知らない違法通行車が警備隊隊長の最優先通行許可書を見せ開門を主張。警備中の騎士団員が馬車を確保し車内を調査すると14人の子供を発見。

 子供の証言により奴隷として販売されたアイラス教団の孤児院の孤児と判明。即時保護。アイラス教団孤児院には4名の孤児が残っていたので保護。アイラス教団孤児院は現在閉鎖。孤児院関係者5名は全員逮捕。事情聴取の為、アイラス教団枢機卿を召喚しておりますが拒否というか既に逃亡した疑いが濃厚」


「以上が本日の報告です」


「ピーター騎士団隊長御苦労。短時間に素晴らしい成果であった! ところで、その超巨大化した魔獸と弓との一騎打ちはどうなった?」


 フレードリッヒ叔父さんが質問した。


「矢を11本使い、矢のみで勝ったそうです」


 皆に大笑いされ、我慢していたアデルさんは食卓を叩いて涙を浮かべる程笑ってた。

 俺は黙って下を向いているしかなかった。


 アデルさんの報告は森の状況だった。正門の右側にある通常の森は『ホルンの森』という名前らしく、この森は通常に戻りつつあるが、まだ魔獸も少々出現している状況で、原因は魔獸の森から移動してくるのが多いらしい。

 何せ昼に魔獸が森の外に出ているくらいだ。

 冒険者達も魔獸の森に入らなくても仕事になる場合も多いくらいなので、魔獸の数が掴めないでいるらしい。


「初日と言える状況で多くの成果を出し、御苦労様でした。明日以降も仕事は仕事は増えるでしょうが、ここでもう一踏ん張りお願いします。ホフマブルグ以外の街も同様な状況で、現在私と弟のフェンで調査中ですが、ホフマブルグを優先せざるを得ないことは明白なので、明日以降もよろしくお願いします」


 ノア兄さんの締めの言葉で夕食は終了した。

 ピーター隊長とアデルさんは急いで仕事に戻り、叔父さんと兄さん達は難しい顔で話している。

 俺は部屋に戻る。

 食堂を出る時、叔母さんが投げキッスとウインクをくれた。

 俺も、手でバイバイして食堂を出た。


 ベランダで外を見ていると、ハリーさんから誘いの連絡が来たので喜んで行くことにした。


 ハリーさんの部屋に直接飛ぶと、俺と同じような服を着たハリーさんとサキバさんが居た。


「急にお呼びして申し訳ありません。今日はミノル様と話してる時間も有りませんでしたし、少しでも時間を頂けたらと思いまして」


「いくらでも呼んで下さい。喜んで来ちゃいますから。それと、様は止めましょうよ。ハリーさんの方が年上なんだし、一応仕事も仲間の端っこにして貰えたみたいですから。言葉も丁重過ぎですよ」


「有り難う御座います。ではミノルさんと呼ばせて頂きます」


「呼び捨てでも、君でも構いませんよ。言葉使いも、まだまだ丁重過ぎです。お互いに疲れますよ」


「分かりました、ではもっとくだけて……机の上に新色のシャツがありますので持って行って下さい」


 濃い紫色と緑色のシャツが二枚ずつ黒も一枚置いてある。ズボンも黒一本と濃いグレーが二本。


「綺麗な色ですね。助かります。ズボンもいいのですか?」


「そのくらい必要でしょう。ソックスも半ダースくらい持って行って下さい。それと矢入れ出して下さい」


 俺は矢入れを渡し、ソックスを受け取る。サキバさんが矢の補充をしてくれた。


「連日、大活躍ですね。矢も言って下さい。どんどん提供出来ますから」


「スミマセンです」


「話しは場所を変えて。妖精の樽に行きませんか?」


「はい。喜んで」


 袋に衣類を入れてもらい、矢入れも受け取る。また小型の魔法袋が増えた。嬉しい。


「ミノルさんもエールくらいは飲めるでしょう。あそこのは美味しいですよ。ギルドのより」


 ハリーさんが笑いながら言った。

 この人、何でも知っているようだ。



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