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第1章09話 ギルド入会

 部屋に帰ってマントを着る。黒なのに派手な感じがするのは裏地が赤いからと気づいた。

 カッコ良いからいいやと思いながらマントのポケットに弓と矢入れを仕舞う。何でこんなに大きな物が入るのか不思議だ。重さも感じ無い。

 剣はどうしょう。やはり中2病で中剣を剣帯に付け、短剣をポケットに入れた。


 ホフマブルグの街は久しぶりだ。昨日はテレポートばかりで建物の中しか見ていない。

 ホフマン家の館は街のはずれにある。ホフマブルグの中央通りを歩いて下ってゆくと貴族や金持ちの館が建ち並ぶ。小鳥の鳴き声がのどかで良い。

 もっと下って行くと教会。役所や病院、警察や軍隊の本部がある。次の建物群が各ギルドだ。

 寄って登録してしまうことにした。

 石造りの大きなビルが冒険者ギルドだ。玄関を入って少し進むとカウンターがあった。


「ギルド会員になりたいのですが」


 お姉さんはこっちを見もしないでテメー何言ってるんだという顔をする。

 俺が悪いことに気が着く。ロクデニア語でもう一度。


『ギルド会員になりたいのですが』


『二つ向こうの窓口行きな』


 ブッキラボウに言う。


『ありがとう』


 窓口を移動してお姉さんに


『ギルド会員になりたいのですが』


『5000デル』


 入会金かな? 財布から5000デル銀貨を出して支払う。

 お姉さんは新品の5000デル銀貨をつまみ上げて見てから


『何ボケっとしてるんだよ! 個人認識プレート持ってるんなら早く出すんだよ!』


 俺は財布からプレートを出して渡した。お姉さんは俺のプレートをジロっと見て少し固まり、慌ててプレートを持って二階に走って行った。

 アゴ髭を生やしたオジサンが二階から走って降りて来た。


「ミノル坊ちゃん、お久しぶりです!」


 日本語だ。誰かと思えばノア兄さんと父親で狩りに行った時、何回か森を案内してくれた人だ。


「お久しぶりですね本当に。えーとジグロさんでしたよね」


「感動ですね! 名前まで覚えていてくれるなんて」


「すごくお世話になりましたですから」


「本日は冒険者ギルド員になっていただけるそうで、光栄です! 手続きは私が直接させていただきます」


 ジグロさんは急に、にこやかになったお姉さんを除けて手続きを始めた。


「そこの水晶に手をかざしてください。確認出来ました。それにしても凄いスキルレベルですね!」


 ジグロさんは私の個人認識プレートを見て感心している。


「基本的には掲示板で募集の仕事をするか、害の出るような魔獸や動物を狩って持って来て貰うのが決まりです。肉や皮、骨や魔石などほとんどに対応します。基本的にギルド員はギルドに納品して貰います」


「わかりました」


「見えるように、この奥は食堂となってますし、お酒も提供しますので是非利用してください。安いし美味いですよ」


「知りませんでした。是非利用させていただきます」


「ギルドは朝6:30分から夜7:00までですが食堂は朝6:30分から夜10:00まで、警備員もつきますので安全に利用できますよ」


「こちらが冒険者ギルド員用プレートです。国中で共通化してますし身分証にもなります。個人認識プレートを持ってない人は冒険者ギルド員と来てくれれば登録できます。決済にも使えるので便利ですよ。今日は幾らか入金しておきます?」


 俺は100万デルを現金で入れておいた。大量の銀貨で支払うのにウンザリした。


「金貨は潰して日本で売ると儲かったので、数年前にほとんど流出しちゃったんですよ。日本政府が気が着いて禁止した時には遅かったんですね。なんせ噂では主犯格は王国政府の要人だったとか。おかげで現在の通貨危機の発端になるし、国民は銀貨だらけでウンザリなんでよ」


 話しをしているうちにギルドプレートができた。


「冒険者にはランクが有り、E~Aに別れます。最初はEから始まり経験値によってランクアップして行きます。ミノル坊ちゃんは最初ですのでEランクです」


「はい。頑張ります」


 食堂を見ると女性が多い。ジグロさんに聞くとギルド員の60%くらいが女性なんだそうだ。


「200年くらい前ですかね、アイラス教団が王国公認教団になりましてですね、この地区のアイラス教団の枢機卿が聖樹の伐採を強硬に主張したんですよ。妖精信仰の元凶だと。アイラス教団は一神教ですから。その時の辺境伯様が王国政府とのいざこざ避けるために仕方無く辺境伯邸の裏の聖樹を切ったんですよ。それで地脈がおかしくなったとかで、男の出生率が下がって60%くらいが女性となったんだそうです」


「へー、初めて知ることばかりで、面白いです」


「ミノル坊ちゃんじゃないですか?」


 中年の冒険者が、足を引きながらよって来た。


「ノレルです。以前お父上の下で働かせていただいてました」


 思い出した。銀行の警備の人だったと思う。


「銀行の警備の方ですよね?」


「はい、当時大変お世話になったのですが、お父さまが日本に帰った後に解雇になりました。今は冒険者者なんですが……」


 ノレルさんは足を見て苦笑いした。

 俺の治療スキル確か99あった筈だったけど……貰ったばかりの冒険者プレートを見る……あった。


「いつ怪我しました?」


 先週に魔獸化した大熊に軽くぶつかって怪我したのですが、仲間の治療スキルが低く怪我だけ治療するので精一杯だったそうだ。


「ノレルさんちょっと足を見せていただけます?」


 我々三人は食堂に移動した。



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