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第4章24話 聖樹再生の後片付け


 聖樹域から出てテリッチさんとマネさんは自分のプレートを確認している。


「全部170になってます!」


「儂もだ」


 2人とも嬉しそうに言った。


「私は最初の精霊様から70しか貰えませんでした。ミノルさんに助けて戴いてから良い事ばかりです」


「たった70ですか?」


「はい……魔力も余り増えませんでした」


 テリッチさんが驚くような事を言った。これからは正しい評価とは、そういう意味だったのか。

 悪口を言ってはいけないのだろうが、ケチな精霊様だったようだ。


「さあ、忘れられた森を再生してから、2人のお祝いをしましょう!」


 我々は忘れられた森に移動した。


「広い森ですね。アデルさんも助けて下さいよ」


「良いぞ。一緒にやろう」


 森を再生すると3分の1くらいの広さが再生された。アデルさんが次に再生すると俺の半分くらいだった。


「魔力は持ちますか?」


 テリッチさんが聞いてくれた。


「なんとか持つくらいですね。広すぎですよ」


「じゃ私の魔力も使って下さい」


 テリッチさんが俺の背後から腰に手を回して身体を密着させた。柔らかくて温かい、なんて気持ちが良いのだろう。心が落ち着く良い匂いもする。魔力が繋がった。

 今度はワンドを持って唱えた。


「再生」


 先程よりずっと広く再生された。魔力の減りもずっと少ない。


「こんな方法が有るのですね」


 俺はテリッチさんに感心していた。色んな事を知っている人だ。


「アデルお前は儂の力を使え。女同士では色っぽく無いがな」


「そうだな。絵にならん」


 そんな事有りません。綺麗なお姉さん2人は色っぽいし絵になります。


「ミノル。ワンド貸せ」


 俺のワンドを構えてマネさんに後ろから抱えられ、再生を唱えた。

 森が完全に再生された。夕日に照らされ、深い森が眼下に広がっている。


「アデルさん、トレル隊長に入森規制を要請して下さい。以前からここで狩りをしたり炭を焼いてた人達は除外です」


「了解だ」


 我々は精霊様の所でマネさんの追認をして貰った。館の森の精霊様も簡単に追認が終わり、やっと我々は自由になった。


「さあ宴会です!」


 宿に戻り、テラスに座るとお姉さんがエールと熱いタオルを持って飛んで来た。


「聖樹様が復活したんですか?」


「はい。あの地震がそうですよ」


 お姉さんがガッツポーズを支配人と厨房にして見せた。全員で大喜びしている。

 顔を拭いてから、4人で乾杯した。


「先に風呂に入るの忘れてましたね」


「良いではないか、儂は嬉しいのだ。エールが先だ!」


 この3人のお姉さん達の虎振りが凄いのは昨日で良く分かっているのだが、止めようが無い。


 お姉さんが料理を持って来た。


「今日は司令様達には特別料理で白身魚のムニエルでーす」


「これは凄いな! どうしちゃったんです?」


「コックが港に行ったら船大工のお爺さんが、あの兄さんの好物だから持って行きなってくれたんですって」


「あのお爺さんか。お礼言わなきゃ」


 お姉さんはエールのお代わりを取りに行った。


「美味しい! 私は魚なんて、ほとんど食べたこと無いですけど、こんなに美味しいのですね」


 テリッチさんが一生懸命に食べている。


「美味いな。気に入った」


「お爺さんのと違った美味さだな」


「本当に美味しいですね。また違った魚かな?」


 大きい美味しい魚だ。

 お姉さんがエールを持って来た。


「コックさんに、お礼を言っておいて下さい。それと聖樹様にお供えを何か作ってくれるようにお願いして下さい。精霊様に聞くのを忘れてたのですが、あの精霊様は食べるような気がしますので」


 お姉さんが厨房に飛んで行った。


「セリちゃんは王都ですか?」


「そうらしいぞ。ミアさんと出張中だ」


「お母さんと三人いたら殆ど勝ちますね」


 俺は少し安心した。


 お姉さんが肉料理とエールを持って来た。


「準備完了です」


「よし、行こう」


 お姉さんと聖樹域に入り、お供え台を作り出して料理とエールを置いた。


「大きい聖樹様ですね」


「大きいですか?」


 精霊様が出て来た。


「お供えを持って来ました。嫌でなかったら、お楽しみ下さい」


「嫌なんて、喜んでいただきます」


「明日からこの娘が運びますので、宜しくお願いします」


「可愛い娘ね。作って下さった方々に宜しくね」


「はい!」


 お姉さんは大喜びだった。食堂に帰って精霊様に会ったと自慢している。


「精霊様が出て来たのですか? 私なんて50年以上もお世話して数回しか会わなかったのに」


 テリッチさんが呆然として言ったのが印象的だった。

 その後は三匹の虎が出来上がるだけだった。

 今日はアデルさんを抱えて帰らなくても済んだが、ブーツを脱がしてベッドに寝かすだけでバテてしまった。

 一人で身体を洗い露天風呂に浸かり、もう二日もキスすらして貰えてないなと思っていると、とても寂しい気になった。


 山の精霊様から呼びだされた。慌てて服を整え飛んで行く。


「ミノル、お前には話しておく。あの聖樹が外のより大きいのは、この世界の聖樹では無いからだ。お前達の言う異世界の樹なのだ。テリッチが手に入れ、放浪し2年かけて場所を探し植えたのだ」


「異世界の種をですか?」


「そうだ。我がままな精霊で、存在を与えたテリッチに精霊の守護人とは言え無い程度の力を与えて話し掛けもしなかった。

 そして、あの日テリッチと聖樹を見捨て精霊界に来たので私が消滅させた。

 今の精霊は上位の精霊なので力と愛が有る。異世界の精霊とは違うことを知って欲しい」


 山の精霊様は、話しが終わると消えた。

 テリッチさんが可哀相で涙が出て来る。部屋に帰り服を脱ぎアデルさんの隣に寝転がると、落ち着いて来て寝てしまった。


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