始めに
始めに
200年程前日本と異世界のロクデニア大陸にあるパスコ王国が突然つながりました。
パスコ王国の勇者が王都近くのダンジョン最深部の魔宮で魔王を倒した後、登りのダンジョンが現れ討伐していくと日本だったそうです。
ここから異世界召喚者以外の日本と異世界の交流が始まりました。
今だに日本と異世界の出入り口は、ここだけで日本の出入り口は新宿御苑にあります。
異世界は白人種とエルフやドワーフなどの亜人や猫族や犬族などの獸人それと魔人で構成されており、魔法の支配する世界です。
魔法が誰でも習ったり買ったり色々な方々で簡単に使えるので技術や文化の進歩は遅く、いまだに地球の中世ヨーロッパ程度で止まったままでした。
異世界は魔法の支配する世界で、最初は魔法の使えない日本人を馬鹿にしました。
ところが、しばらくすると日本人は魔素《空気中に漂う魔力の粒子》を吸収して魔力に変換出来る人が半数近くいて、自力で魔力を逃がす《魔法を使える人》ことができる人がその半分くらい、残りの人は魔法は使えないがアイテムで魔力を排出すれば異世界に居ることはできることが解りました。
つまり日本人の4分の1くらいの人は魔法を習得することができて、4分の1くらいの人は存在可能なのです。
これは日本人が喘息などで鍛えられたからなど色々な説がありますが未だに原因不明です。
但し現代日本には魔素は存在しないので魔法は無く、瘴気も存在してないので当然魔物も魔獸も魔王も存在してないのでありました。
異世界の人達は地脈から魔力を得ているので、日本側に来ると地脈の違いから魔力を得ることが出来ず、持って来た魔力を使ってしまうと普通の人になってしまう事が判明しました。
また、日本人は異世界で生きれる人の70%くらいが老化が早くなってしまう事も判明しました。
対して異世界の人達は日本に来ても問題有りませんでした。その為、日本に留学する異世界人はそれなりに増えていきました。
異世界の人の多くは地脈から魔力を得ている事から、神や精霊の恩寵として魔法を得たと考える「純粋魔法人至上主義者」という人達は日本人との関係に反対しました。
ところが、亜人や獸人、魔人そして人の中にも違う神や精霊を信じる者が沢山居るという世論に負け異世界と日本の交流は始まったのでした。
日本とパスコ王国の科学・文化・技術・経済の差は圧倒的でした。
日本政府は最初の頃パスコ王国のエイリッヒ国王の要請で都市衛生と農業技術の援助しました。
当時パスコ王国は不衛生で下水系は川に垂れ流し。便所は魔法による汲み取り。
医学に関しては多少の病気は魔法とポーションで治してしまうのでいらないという考えでした。
それでも流行病などで多くの死者を出し、町や村を焼き払って阻止するようなことはよく起きていたようです。
日本企業は土木・建設・銀行を中心に進出を始め、日本の援助によって衛生と農業技術の大進歩が成されたのでした。
ところが、日本の急激な文化進出によりロクデニア文化と経済に深刻なダメージを与え始めました。
日本政府はパスコ王国を保護するために民間交流の停止を決定しますが時既に遅く、食事や風呂・便所などは普及し農作物にまで影響を与えてしまったのでした。
エイリッヒ国王もロクデニア文化と自国経済の保護を決定し日本企業と日本の娯楽文化を排除します。しかし日本の銀行だけは最小限残りました。パスコ王国は日本への借金だらけだったのでした。
ロクデニア大陸には日本に輸出できる物は、ほとんど有りませんでした。肉や農作物は残留魔素が高過ぎ、地下資源は少量過ぎ交易はパスコ王国に赤字をもたらすだけでした。
最悪の影響は日本語の氾濫でした。
日本からの知識吸収に日本語は必須だったので、上流階級や知識階級は魔法を利用して日本語を吸収し、普段の時まで日本語で話し始めました。
その影響は強く、良い職を得る為に庶民まで日本語を話し始めたのでエイリッヒ国王話は日本語禁止令を出したのですが、既に遅く日本語は普及しきってしまった後でした。
日本政府はマスメディアの異世界進出の禁止とパスコ王国への出国禁止と娯楽文化の進出禁止を最初から徹底してたので、ロクデニア文化の完全破壊だけは逃れたのでした。
情報産業や電気・機械産業なども日本政府により徹底的に排除されていたのも幸運だったようです。
その後日本政府とパスコ王国の話し合いにより相互に、これ以上の影響を与えず日本政府はパスコ王国に援助を続け平和な日々が続いたのでありました。
何故パスコ王国は日本の影響のみだったのかって?
アメリカ・ロシア・イギリス・フランスなども違う異世界への道をそれぞれ持っており、資源的に美味しい交流の国々もあり各国とも自国で独占してたので、日本も独占したようです。
まあ、日本の異世界交流は日本に何もプラスになるものも無かったので、他国も興味無かったというのが本当の話しのようです。