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2-4 嘘の若獅子の夢は紡がれる④

旅館ロザリオそれはジロキチの桃源郷

「旅館ロザリオね〜 だから爺さんあんたには似合あわねぇって。」


 俺は老舗旅館の前の看板を見ながら乾燥を呟いていた。


「あら〜お客さんかい?旅館ロザリオにようこそ。」


 女将っぽい出で立ちの人が話しかけてくる。この村では若い方だろうが30代後半ってとこか。美少女女将を取り立てるくらいあの爺さんならやると思ったが残念だ。


「はい、今晩ここに泊まろうと考えています。先ほど叔父にこの割引券を頂いたので。」


「割引券?ジロちゃんの紹介かしら。あまり配布しているものじゃないからね。」


 そうなのか?商売として有効な手だから配布するのは悪くないのではと思うが。


「まぁ配布しないのは、この旅館はワシのお得意様相手を呼ぶことが主だからいらないと。気に入られているんじゃないかしら?」


 俺は顔には出さないが心底嫌そうな悪感情を抑える。

 やめろよがめじーに気に入られるとか嫌やわ。


「私の名前はロウチです。ジロキチおじいちゃんの孫です。宜しくお願いします。」


 はぁ〜なんかがめじーの孫って言うもう嫌だな。早く終わらせたい。


「そうかい!あなたが噂のロウチ君かい。噂で聞いていたのとは違うのかしら。非道な人だと聞いていたのだけど。」


 非道な人か、あからさまに少年を虐待したからな。そう思われてるのは分かっている。

 だがヤマタケではないにしろ、子供をこき使ってるあんたらも問題あると思うんだがな。


「あの時はお見苦しいところをお見せてしまいました。実はですね。....」


 あの警備隊にした話をもう一度行う。


 ◇


「そうなの...怖いわね〜。でもやり過ぎはダメよ。この村では慢性的に子供達が過酷に働かされてるのは事実なんだけどもね。」


 それを当たり前くらいに考えてること自体が歪んでいる。それこそが救いようもないクズなんだよと言いたいが堪える。今は何を言っても、今の利便性を捨てられるわけがない。


「そうですよね。お仕置きをするのも私が滞在している最中だけですので、迷惑をあかけしてしまうかもしれませんが、宜しくお願いします。」


 俺は社交的に、たわい無い雑談かのように話、ことの深刻さを有耶無耶にしていく。


「まぁ仕方ないことよね。さぁさぁ旅館を案内するわ。」


「はいお願いします。」


 俺は旅館の玄関を跨ぐそして見た光景とは。


「いらっしゃいませ。旅館ロザリオへ...ロウチさん!!」


 いや〜まさかこんなに早く合流できるとは。ミッシーよ顔がひきづってるぞ、営業スマイルを忘れないことは重要なことだぞ。そしてにかっと笑ってやった。


「ひぃっっ!」


 おい失礼すぎるんじゃないか、怯えるって俺がなにを...まぁいいか。


「こらっ詩歌!お客様にどんな態度だいそれは!何の役にも立たないお前を置いてやってる恩義の返しがこれかい!また倉庫に閉じ込めてやろうかい!えぇ!」


 ミッシーの表情がますます怯え、そして絶望色に染まる。これはまずいな


「いえいえ、先ほどの件を見られていたのなら怯えられても仕方ないですよ。このことに関しては不問にしてあげてください。その代わりと言っては何ですがこの子に案内と申し付けができると助かるのですが?代金は支払いますので。」


「そうかい?ロウチ君がそれでいいならいいけど。何か不手際を起こした言ってね。別の子に変えるからね。」


 ミッシーを借りるいい口実ができてよかった。でも別の子か、美少女だったらハーレム気取りで侍らせたいな。


「わかりました。おいそこの娘早く部屋に案内してくれ。疲れてるんだ。」


「はい!わかりました案内します。ついてきてください。お願いします。」


 お願いしますはいらんだろ、どんだけ警戒されてんの俺は。


 ◇


 部屋に辿り付いた


「何か御用はございますでしょうか。」


 なぜ土下座して聞いてくる!新たな嫌がらせか?


「ほら例の紙だよ100枚分だ。内容も記載して置いてやった、嫌なら文章を変えてもいい。だがそれは自腹でやれよ。内容を把握させてから名前を書かせろ。いいな?」


「はい!わかりました。ご用意していただきありがとうございます。」


 だから土下座をやめろ、こいつどんだけあの女将と俺が怖いのだろうか。さてどうやって和解というか胸襟を開かせ..そうか


「おいミッシー、申し付けだ。俺は風呂に入りたい。ミッシー俺の背中流せ。」


 ミッシーの表情が絶望通りこして、人生を諦めてるような表情となった。


 おいこいつまさか俺が手を出すとか考えてるわけじゃないよな?考えてるわけないよね?俺にはユイがいる。俺はロリコンではないからな!


「..くすん..わかりましたついて来て..下さい。」


 俺は流石に傷ついた心で付いていく。何か間違えたかな〜



「さーて風呂だ風呂!やっぱり風呂に浸かるってのは大切だな。」


 人はお湯に浸かると心は安らぐが体は逆に疲れてしまう。だから皆長湯には注意が必要だぞ。


「そのあの...私はどうすれば良いのですか。」


 もじもじしながら体にタオルを巻き、指示を待っている。だから誤解を受けるからむしろどうどうとしていてくれ。にしてもあざが目立つな。そして胸の辺りに大きな傷もある。


「体洗うなり、お湯に浸かる以外やることがあるのか?自分の体は資本だぞ、大切に扱い身を清めとけよ。」


 最後に信じられるのは自分自身って言うだろ。体は資本なんだ。大切に扱ってやらなければならん。


「やっぱり私は全てを奪われてしまうんですね...お兄ちゃんごめんね。」


 流石にうっとうしくなってきたな


「曲解しすぎだ!いい加減せぇーよ。俺はロリコンじゃない!手を出さん!ノータッチミー!俺には将来を約束した相手がいる。だから安心しろよ。」


 流石に話が進まんからないい加減本題に入りたい。


「そうなんですか?本当に奪いませんか?私初めての相手は兄に..いえやっぱり好きな人に捧げたいです。」


「わざとか!わざとなんだと言えよ!ふざけんなよ嘘じゃねーのかよ!ミッシー実はキャラめっちゃ濃いだろ!マセガキが!」


 久しぶりに目眩がする。やばいこいつ実は天敵なんじゃないか俺の。のぼせたかな。


「えっ何を言ってるのかよく分かりません。」


「おい!今のは嘘だろ。やっぱりお前ブラコンかよ。やめろよ〜お前本当に!本当に最高だなぁ〜おい。めちゃくちゃ面白いじゃねーか」


 うじうじしてるだけの能のないガキかと思ってたが、面白い属性持ってんじゃないか!


「本題に入るぞヤマタケのことで聞きたいことがあ..」


「いいですよ。私が兄に関して知らないことなんてないのでなんでも応えますよ。ちなみに兄はMですが、ノーマルな人なのでロウチさんを好きになることはないですからね!」


 俺は人生トップクラス頭痛に悩まれそうだった。なんなんだこの子は、やっぱこの村終わってんな、滅ぼそうかな。0からやり直した方がいいんじゃないかな。


「誰もそんなことは聞いていない。お前の兄ヤマタケとミッシーは.」


「愛し合っていますよ。兄は私にぞっこんですからね。私がいないとなにもできないんですからもう。私がいつまでもついていないとですよね。」


「誰もそんなこ...この俺がツッコまされているだと..」


 本当何もんだよ、兄が関わるとテンションがおかしくなりやがる。あれ?つい最近同じようなこと思ったような...気のせいだよな。


「ロウチさん聞きたいことはこれだけですか?後765個くらいなら兄の良いところ言えますよ。」


「もうその手には乗らんぞ。ってか大すぎだろ!どんだけ好きなんだよ!数が細かいところが逆に怖いわ!...くそが!こんなガキに!」


 なぜだ!常識を超える非常識にすべてが飲み込まれる。俺は計画の変更を本気で考えることにした。


「ふぅ~まぁそろそろいいだろ。確信したよ。ミッシーが嵌めてヤマタケをこの村に落とし入れたんだろ。ヤマタケが起こした事件の原因もミッシーなんだろ。俺の観る目はごまかせんぞ。」


 俺はヤマタケに会った時から違和感を感じていた。確かにヤマタケはあれはあれで能力もあるし爺さんの恨みも本物だった。だがどうも心の底から湧きだすほどの怒りではない。何かに突き動かされた感情なのではないかと考えるようになった。俺が仕掛けたゲームは本気でやれば、気持ちが本物なら勝てたはずなのだ。ユイのこともありゲーム開始日だけの期間にする予定であったからな。だからこそルールの追加で会話を禁止としたのだ。


「なんで私が兄を陥れるような真似するんですか?私の兄への愛は本物ですよ。」


 そうだな愛は本物だということは分かっているさ。だがな人の愛の形はなにも相手を愛おしくだけ思うことではない。いろいろな形があるものだ。


「推察結果だか説明してやろう。ミッシーは納得せんだろうがな。まず一つ目にお前の愛が歪んでる証拠としてだ。なんでそこまで兄を好きだと豪語するのに、兄を痛めつけている状況であっても助けに来なかったんだ?まぁそこは愛があってもリスクの高いことはできんか、痛めつけられること自体が都合でもいいのかね?そして二つ目はお前の性格が歪んでる証拠になるがお前今さっき言ったが兄がやられていること自体を楽しんでるだろ。俺は相手の感情を読むことが超得意だからな。ドSめ、そして最後だヤマタケが起こした計画はミッシーが裏で操ってたんだろ。爺さんをヤマタケの策ごときで捕まえることなんてできんよ。でもミッシーなら可能だと俺は思ってるよ」


「なんですかそのがばがばな何の根拠もないお話は、私は何もやっていないし関係ないですよ。兄が勝手に行ったことですよ。私はいつも心配していますよ。先ほど話していた、すぐ助けなかったのも大勢の人の前だったので足がすくんでしまったんですよ。」


 そう言うと思ったよ。今回は正体をバラしたいとかそういうことじゃない。こいつの本性を少しでも引出したいただそれだけだ。


「そうかすまなかったな疑ったりして、んじゃ帰ったらヤマタケにも聞いてみるよ。昨日も会って気がついてると思うけどヤマタケは俺に忠実なんだよな~俺が命令したことはなーんでも話してくれる。さっき私はなにもやってないし関係ないって言ってたからな。まさかミッシーの名前が出てくるわけないよなぁ!」


 おぉ~露骨に悪感情だだ漏れてやがんな。おそらくこいつならこちらの意図や流れが読めてきたはずだ。


「んじゃ出るわ!のぼせちまうぜ。おいてきたミッシーの愛しの兄が心配だからな。」


 風呂から上がり入口に向かう。


「待ってください!要求はなんですか?私はなにをすればいいんですか?」


「俺が仕掛けたゲームを本気でやれ!お前解放してくださいなんて言ってかまかけてきたが、勝つ気が全くなかっただろ。さっき紙受け取った時も普通本気だったら。もっと枚数を要求するだろ。こちらは限界はあるが出せる範囲は刷るって言ったんだからよ。相手が負ける気のゲームほどつまらないものはないからな。そしてルール変更だミッシーが負けたらつぶすわ人生を!」


 俺が今回したかったのは焚き付けることだけだからな。もう用はないので帰る


「ロウチさん。紙を後200枚ください。5日で終わらせます。」


 良い表情するようになったじゃねーか。一週間は必要ないってか。


「ほらよ後200枚、感謝しろよこれは俺が使うようにさっき買ってたもんだ。だがやる気になったんなら譲ってやるよ。ここに置いておくぞ。のぼせないように体には気を付けろよ、体は資本だからな。」


 俺は買い物袋ごと床に置いておく。


 さてどんな方法で集めるんだろうな?

 こいつの考えることは何かと面白そうだ。面白いショータイムを期待している。


ご賞味ください

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