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2-3 嘘の若獅子の夢は紡がれる③

ミッシーとシンドウは戦う。


 俺は警備隊から離れたところまでヤマタケを誘導した。


「もう好きにしゃべっていいぞ。お前の愛しのミッシーまでは遠いのか?」


 俺は大人一人分をずっと支えてるだろうから流石に限界かと思って気遣う。


「...人気のない場所まで誘導してくれ。さっきの人混みの中にいた。おそらく心配して着いて来ている。」


 ほう〜んじゃあの子がそうなのか。大半の連中はあまり関わり合いになりたくないのか、あの警備隊との話を合いから以降散って行った。だが微かに同行を探ってるやつがいる。女の子に限定すれば1人しかいないからそうなんだろ。


「いやー妬けるねぇ〜心配して着いて来てくれるなんてな。相思相愛ってやつなのかヤマタケ君。青春してるね〜。おじさんに相談してみ!」


 いや〜人の恋話って無性にからかいたくなるよな。このうぶな子供だったら尚更さ。


「絶対にあんただけには相談はしない。命令してみろ。あんたの喉噛みちぎってでも詩歌には手を出させない。」


 こいつ俺が愛しのミッシーまで毒牙にかけようとしてるとか考えてるのか?流石にそんな野暮なことはせんぞ。ミッシーはお前を動かす起爆剤として使うだけだ


「安心しろよ、ナンパくらいはするかもしれんが、俺にとって恋愛の対象はユイ1人だ。どんなに性的に迫られようと俺の意思は揺るがん。」


 俺がユイを悲しませるような真似するわけないだろ。まぁたまには刺激が欲しくってやんちゃしてしまうだけだ。


「良いこと言ってる風だが、ナンパしてる時点でダメだろ!おい大丈夫なんだろうな!絶対に詩歌には手を出すなよ!」


 しつこいなこいつ、どんだけミッシーが大切なんだよ。でもあれをそんなふうに思うってことはこいつやはり。


「撒いたぞ、お前の愛しミッシー以外はついて来ていないから早く呼べ!」


 俺は、ミッシー以外のやつに対しては威嚇し続けていた。流石にあの爺さんも諦めたようだ。まぁ昨日余計なことはするなと忠告しといてやったからな。


「...詩歌出てきてくれ!大丈夫だから。」


 そう出てきたのは明らかに中学生くらいの女の子だ。そしてヤマタケは高校生くらいには見えるということは。


「お前やっぱりロリコンだったのか。まぁ俺はどんな性癖だろうと寛容に受け止める度量の大きい男だ。だから相談にはいつでも乗ってやるよ。」


 俺はおいたをした子供を説得するような優しい目で語りかけてやる。


「だから絶対相談なんかしない!あんた絶対そう言うと思ったぞ!くそ〜こんな屈辱人生で1番‥いや2番目か。関わったのが間違いだな‥ハハ」


 あららヤマタケ君が遠い目をしてる。誰だよこんな顔させたのは。やばい面白すぎる。にやけが収まらない。


「お兄ちゃんをイジメないで下さい。お願いします。」


「へぇ?お兄ちゃんだと!いやいや似てないだろ、でも嘘はついていないな。‥ヤマタケこの子を洗脳いや薬付けかしただろ!話せ!洗いざらい話せ!許さないからな俺は!」


 俺は想定外の自体がこの計画で起きたことに驚いた。問題は誤差の範囲だが。ヤマタケがヤバイやつであるとそもそも根本が間違ってしまう。


「あんたこそ、なんでその選択値がまず出てくるんだ!おかしいだろ!詩歌は義妹なんだよ。家の事情でよく面倒を見てただけだ!」


 なんだと、俺の観る目はやっぱりおかしいのか!こいつ嘘を言ってないぞ!そして俺が持ってる嘘を暴く力も通用しないだと。こいつ本当に


「シスコンだったのか。まぁ妹って可愛いもんだよな。うん。気持ちはすごくわかるようん。だからな俺に相談してくれよ。頼むからさ。お願いだよ」


 俺は心底ホッとはしたが、同時にヤマタケの思いを十分に汲み取り、優しく語りかける。ヤマタケお前は間違っているんだぞと。


「なぁあんた絶対楽しんでるだろこの状況!なぁそうなんだろ!そうだと言ってくれ!お願いだよ。が真に迫りすぎだろ!確かに好きな子とは言ったが。愛してるわけではないよ!守りたいという一心からの出た言葉だ!」


 そりゃ〜楽しんでるに決まってるだろ。だが結果はつまらんな。いやこればっかりはヤマタケが正しいからこちらが折れよう。嘘は言ってない。だからこそやはりつまらんな愛していてもいいんだぞ。俺は人の愛を否定する資格なぞないのだから。


「分かった分かった。冗談だよ。からかっただけさ。三木 詩歌いやミッシーと呼ぶぞ。初めまして俺はロウチだ。ヤマタケもう自由にしていいぞ。俺を殺したければかかって来てもいい。返り討ちにするだけだからな。」


 そういいながら俺はヤマタケから降りる。ヤマタケは相当疲れているのか、ツッコミ過ぎたのか分からんが息を荒らしながら起き上がる。


「初めまして。私の名前はご存知なんですね。その兄が何をしたか分からないのですが。どうか許して下さい。お願いします。」


 土下座されてしまった。流石に心苦しいものがある。俺は少女を土下座させる趣味はない。


「やめて欲しいか?確かさっきの場所にいたよな。こいつが何をしたのか知っててもそういうってことだよなぁ〜」


「あんた話が違うぞ!手を出さないと‥」


「五月蝿い黙れ!手をあげるような真似はしない。楽しい楽しいゲームがしたいだけさ!」


 すごい睨めつけようだな。本気で殺しに来そうな勢いだ。


「ゲームですか?ゲームで勝てば兄を許してくれるということですか?」


 心細そうな表情だな。だがこればっかりは仕方がない。ヤマタケ1人では無理なのだ。今のこいつでは救えない。


「あぁそうだとも、安心しろこのゲームはミッシーができる範囲で誠意を見せてくれれば、勝ちだ。仮に負けても俺は君に何も要求しない。こいつはどうなるか分からんがな。」


 あぁミッシーがゲームを行なってくれさえすればいい、それだけで目的は達成する。


「分かりました。やります私は何をすればいいんですか?」


 ユイの制約の力はいらん。さぁ新たなゲームの始まりだぁ!愉快で不愉快なショータイムを見せてくれ!


 こうしてシンドウ VS ミッシーのゲームは幕を開く



「ミッシーにやって貰うのは、署名活動だ。紙はいくらでもと言いたいが限界はある。まず100枚は刷ってやろう。この村に居る者の三分の一でざっと100人ってとこだろ。署名を集めてみろ。危ないことは何もないだろ?内容はこの俺ロウチがしていることは悪いことだ。この小僧を助けたい。協力してくれと言った内容を書き。名前を書かせろ。」


 俺はゲームの説明をしてやる。さぁこの純情そうな子が、集めきれるのか楽しみだ。


「集めたら兄を許して、いや解放してくださるのですか。」


 ほう?解放というのだから。こちらにも縛りをつけてくるか。


「あぁ解放してやるよ。俺はもうヤマタケに手は出さない。ただし反撃してきたらその限りではないがな。俺は今日のようなことを最低でも1週間は継続する。君のお兄ちゃんが壊れる前に集められるといいな。」


 まぁこいつが本気だったらこの勝負に勝算はあるのだ。俺はあくまでもフェアな戦いを楽しむ男なんだぞ。相手が術中にハマらなければだがな。


「さて帰るぞ!立つのも疲れるもんだな。ちょうどいい馬いや馬鹿がいてよかったよホント。ヒヒーンって吠えてもいいんだぞ、そんなにしゃべりたいならなぁ~」


 あらら、血の涙でも流すんじゃないかというほど目が血走ってやがる。まぁ怒るなよ。このくらいでそんなに怒っていたら。俺を出しぬくなんて一生できないぞ。


「ごめんねお兄ちゃん。私がもっとしっかりしてればこんなことにはならなかったのに。」


 ミッシーが気がぬけたのか、腰を抜かしている。俺はただゲームに誘っただけだぞ。そんなに怯えられると傷つくんだがな。


 ◇


 1時間ほどかけこのボロ小屋に着く。


「ご苦労さん。手と膝が真っ赤だな。回復魔術かけてやるよ。」


 ヤマタケの顔が恐怖に耐えるような表情に変わる。おいおい確かに激痛だが治るんだぞ。感謝されることはあっても恨まれる筋合いはないぞ。


「ん!んん!......ん.....!!んん....」


 もがき苦しんでいる。そういえば黙れって言ったんだったな。すっかり忘れてたよ。すまんすまん。合掌。


 ◇


 10分程かけ復活したヤマタケは口から泡を吐いて気絶している。やはり苦痛を声にして叫べないというのは相当辛いらしいな。分かっていたことだが。だって昨日治療する時、悲鳴が煩かったんだもん。30分も嫌がる少年に跨って直す絵ずらを想像してみろよ吐き気を催すわ!


 ◇


 俺は小屋に捨ててからゲームのために必要な紙を調達する。紙100枚を店で300円で買えた。田舎村だからってあまり高くはなかったな。これなら300枚くらいにしてやればよかったかな。いや空間魔術使ったとしても持ち運ぶの面倒だからいいや。後から欲しくなるどうだろうから余分には買うんだがな。


「そういやミッシーの家どこにあるか聞くの忘れてたな。」


 俺はあの兄妹物語に圧巻されすぎてすっかり忘れてた。まぁあの爺さんなら知ってんだろ。


 ◇


 さて流石金にがめついだけあっていいとこ住んでんな。ピッキングで勝ってに入る。


「じいちゃんただいま。自慢の息子が帰ってきてやったぞ。ぞんぶんに甘やかしてくれていいぜ!」


 爺さんはちょうど玄関先の盆栽で水をやっていた。似合わねぇ~


「貴様!いったいどうやって入りおった!....そしてやらかしおったのう。」


 爺さん青筋が額に浮かんでるな、怒りすぎるとストレスマッハでさらに禿るぞ。


「これで入ったんだよ。忘れたのかよ昔はよくいつでも遊びにこい。わしはいつまでもお前のことを待っているぞ。とそれは優しい優しい表情で孫に合鍵までくれるようなおじいちゃんだったじゃないかよ!俺は悲しいよ。」


 合鍵を持っているのだ。俺がピッキング技術なんて大それたもん持ってるわけないだろ。錬成魔術で作成したのだ。俺の錬成魔術は一回見た物なら手のひらサイズであれば生成可能だ。両手を合掌すればなんでもできるような真似できる訳ないだろ。ドア開ける方法なんていくらでもあるがこれが一番楽だ。


「こんな下劣な孫はワシにはおらんわい!お主やってくたの~本当に。はぁ~」


 怒ってるのか、疲れてるのかはっきりしないな。ボケたんじゃないか?


「この村の老人会を動かし、あまつさえお主んとこの孫やるじゃないか。あのいけすかね~ポリ公にあんな表情をさせるなんてのうと散々褒め生やしてさっきまで家に居ったわ。」


 まぁそうだろうな。いくら爺さん達でも帝国機関相手では太刀打ちできる範囲は限定されるだろうな。でもポリ公って..老人会のやつら気が荒そうだな。


「お主の目的はなんじゃ。この老いぼれでも人一人道連れにして地獄に落とすことは可能じゃぞ。」


 いや~。やっぱりこの爺さんこえ~なおい。こういうやつ大好きだぜ!


「そんな怖い顔してくださんな。約束してやんよ気がすんだらすぐこの村出ていくさ。そうだな一週間だ。それ以上いたら通報していいぞ。」


 俺だってこの村に長いする気はないからな。一週間もあれば十分だ。


「ほんッ。まぁええじゃろ。これ以上はワシには関わるなよ。っでなんのようじゃ」


 リビングまで歩きながら要件を伺うため家に入れてくれる。ツンデレかこのジジイ?だれ得だよ。

 部屋に入ると昔ながらの和室が広がっている。広がっている掛け軸に刀の置物や木彫りのクマ..本当にしぶいな。


「んで要件はなんじゃ。重要なネタを引っ張ろうものならまた報酬をいただくぞ」


 目がぎんぎらに輝いているようだぜ。この爺さんこんなとこ住んでんのにまだ金が欲しいのかよ。がめついジジイ通称がめじーと呼ぼう。心の中だけでだけどな。


「実は俺小学生くらいの女の子にしか性的興奮を本当は抱けない性癖なんだよ。女の子売ってる場所知ってたら教えてくれよ。金は払うからさ。」


「ぐふぅおッ..ごほ..ごほ..いきなり何を言うんじゃ貴様は!そんな場所あるわけなかろう!仮に知ってたとしても教えるわけなかろう。重要なネタどころの騒ぎじゃないわい!」


 なるほどなこの村では子供は奴隷扱い同然だが、そこまで卑劣なことにはなっていないようだな。良かった良かった。もしあったらこの村の爺婆を皆殺しにしたかもしれなかったよ。本当によかった。


「冗談だよ。あまりにも爺さんの目が怖かったから驚かせたかったんだよ。おちゃめな孫を許せよ。そして本題だが、爺さんさっき尾行してただろ。その時他にも尾行してた女の子の名前と居場所を教えろ。そんな重要な情報じゃねーだろ?」


 がめじーは睨みながら考えごとをしている。だが結局は諦めたようだ。


「ホントお主は何者だ。ワシも長年多くの者を見てきたが、お前さんほど考えていること、表情、感情、気配すらわからないやつは初めてじゃ。」


 過大評価だな~。今考えていたことなんてユイそろそろ目覚めたかな。目覚めのキスをしてやりたいとかそんなとこだぞ。


「あの娘は三木 詩歌。ワシが運営してる旅館で働かせておる。しょうがないから割引券をやる。金を落として来い。」


 このがめじー本当に金に目がないな。まぁ貰うけどな。


「んじゃ詩歌ちゃんに、ぞんぶんに甘やかして貰いにいってくるわ!サンキューおじいちゃん!」


 俺は脱兎のごとく走り去っていく。


「しまったのう。何かいやな予感がするのう。人生でこれほど警戒心を抱かされるのも初めてじゃ。」


 ジロキチは自分のこの行動を必ず悔いることになるだろうことを長年の経験から察してしまった。



さぁまたゲームです


ミッシーはシンドウの期待に応えられるでしょうか!ご賞味下さい

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