2-2 嘘の若獅子の夢は紡がれる②
シンドウの鬼畜ぶりがだんだん出てきますね
「なんで僕がこんな村を救わなければならないんですか?命令が抽象的すぎですよ。やれというのであればやらざるおえませんがね。僕が救いたかったのはこの村の弱者だけですよ。」
確かに村を救えなんて抽象的すぎてわからんわな。だがなお前がやろうとしたことは結果的に救うことになるだよどんな形であれな。
「具体的な内容は考えてあるから安心しろ。それよりも腹減っただろこれでも食っとけ。」
俺は左手にリンゴジュース、右手に菓子パンを出現させる。俺の空間魔術である。
「なんだかんだ言ってもシンドウさんは魔術師なんですね。ありがとうございます。」
魔術師ねぇ~そんな大層なものじゃないんだけどね。
「俺の空間魔術はそうだな個室トイレ一個分くらいだな。服とか少し荷物入れられるくらいか。」
「いやいや空間魔術は高難易度と聞きますよ。使えるだけで十分凄いんじゃないですか。」
こいつは分かってないなここまでできるようにするのに俺がどれだけ大変で大切なものを失ってきただろうか。
「俺の空間魔術は半日放置すると自動的にこの世のどこかにランダム出現するって言ってもか?...かつて俺はこの魔術で幾度となく試したさ。血の涙を流したこともあった。これほど便利なものはないと思ったからな。そして初めは1時間もすればどこかにいってしまう欠陥品を半日まで伸ばしたんだよ。」
俺は本当にこの魔術だけはどうしても欲しかった。だからこそ努力したんだ。実験したんだ。
「そうですよね..魔術は幾度となく繰り返し。膨大な公式の意味を読み解き、覚えることに加え精神鍛錬が最も必要とされると教わりました。やはり才能や努力は必要ですよね。」
「あぁそうだ。やはりしっかり学んでいるな。偉いぞヤマタケ。俺は勉強の一切を行うこと自体が面倒でな根本なる公式一つだけ覚え、ひたすら繰り返した!俺の素敵コレクションであるエロ本を一冊づつ犠牲にし、絶対なくしてなるものかと精神語りかけ続け3週間でこの限界点まで辿りついた。100冊以上は失ったな。いつか取り戻すさ。」
悲しい事件だった。俺はどうしても会得したいが暗記する気がないと、かつてユイに相談したところ。自分の大切なものを掛けろと言われたのだ。そうだよななんの覚悟もなく何かを手に入れることはできん。
「...シンドウさんは凄いのか、凄くないのか本当によく分からなくなりますね。」
◇
30分程雑談をしながら食事を終わらせる。
「ごちそうさまと。ヤマタケ明日から一週間お前の予定空白状態だから明日の7時にはあの小屋にいろ命令な。」
俺はさらりと友人とどこかに出かけようくらいの気持ちで話した。今日はもう遅いし行動は明日からだ。
「あの爺さんから買ったということですか時間を?シンドウさんは金持ちなんですか?」
「そんなわけないだろ。金なんていつも火の車状態だ。基本あればあるだけ使うさ。あの爺さんには確かに金は渡したが、大部分はお前を好きにボコれる環境作ってやるから、その後一週間あいつを貸せって言ったんだよ。拷問して吐かせたいことがあるって俺が笑顔で言ったら喜んで了承してくれたぞ。」
爺さんほんと執念深いというか根に持つタイプだよな。ああいうタイプにはなりたくないね。
「人生で一番後悔する一週間になりそうだな僕....」
◇
明朝8時30分
「では作戦を決行しようじゃないか!」
「おそいよ!決行しようじゃないか!じゃないよ。シンドウさんが朝7時って言ったんでしょ!」
いやこちらに来て初めて宿に泊まったんだが。俺枕が変わると寝つきが悪くなるタイプなんだよな。疲れもピークでぐっすり寝てしまった。アラーム機能付きの時計くらい用意しとけよ!俺がおばちゃんに何時に起こす?と聞かれて、起こさなくて大丈夫ですと答えたんだがな。ユイ以外のやつに朝だよ起きなさいとか言われたくない。ユイ成分なくなりすぎて末期になりそう。
「ヤマタケはツッコミ力が+1上がったと。日々の成長を見守る親の気持ちになるってこのことだよ。」
「用がないなら。僕は出るからな!」
ヤマタケがまたキレた。今度は牛乳を買ってきてやろう。
さて出かけるとな。やはりなにかしらのコミュニティーが存在するのかな。
「用はあるヤマタケお前この村で好きな子いるか。俺か?俺はもちろんユイだ。ちょっと今別件があっていないが、俺いつかユイと結婚するんだ。」
「会話のチョイスが中学生かよ!しかも聞いてねーよあんたの話なんて!惚気けたいだけなのか!しかも死亡フラグだし。...はぁはぁ..こんなに会話で疲れるの初めてだよ」
昔と変わらずそこらへんは日本と変わらないんだな。やはり隣接する世界だからこそ概念は似るのだろう。地球にいたころを思い出したときなぜ言葉が通じてたのだろうと思ったんだよな
「ヤマタケ好きな子の名前を言え!これは命令だ!」
「最悪だよあんた人の皮を被った悪魔だろ。...三木 詩歌さんが好きです。」
「うわ~男のテレ顔とかだれ得だよ。キモいなマジでやめてくれよ。」
「最悪だよあんた人の皮を被った悪魔だろ。よくもまぁ今まで後ろから刺されず生き延びているもんだ!絶対友達いないだろ!」
こいつまた同じような返答をしやがって、自動式人形サービスかな?
まぁ聞きたいことは本当にこれである。こいつは確かにそこそこ頭が回る。だからこそ自分だけ助かろうと考えればこんな状況にはならずに済んだはずなのだ。
おそらく過去も現在も捨てられない枷があり、こんな結末となっているんだろう。
「んじゃミッシーに会いにいくか。案内しろ!そしてこれはプレゼントだ」
俺は大きめな動物用の首輪を差し出す。
「頼むから勘弁してくれよ!..仕方ないから案内はするよ。...この首輪は何ですか。とても嫌な予感しかしないんだけど。」
「さぁ四つん這いになりこの首輪を付け、俺をミッシーのとこまで運べ。」
俺は何もいやがらせでやっているわけではない。こいつがもしかしたらユイのパンツを覗いてたり、あまつさえユイの膝枕を受けたことを根に持っているわけではない。
「さぁどんなショーが観られるか楽しみだな。わくわくするぜ!」
◇
◇
「僕は決してあなたを許さないからな!絶対地獄につき落として...ぐぅ」
「さっさと連れてけ!日が暮れてしまうだろ!使えねぇーなおい!お前は黙っていろ!止まれ!」
俺は日本人モード(28歳)でヤマタケの背中に胡坐をかき髪を引っ張る。周りの連中にはどう映ってるだろうな。さぞ極悪非道なやつか頭が狂ってるんじゃないかと思われてるだろうな
「おい!貴様こんな公道で何をさせている!直ちにやめなければ逮捕も止むおえんぞ!」
普段子供達が馬車馬のごとく働かされてるのはがん無視のくせに公の場でどうどうといたぶっていると警告するのか。公僕はやっぱり偉いねぇ~社会人の鑑だね~。
「申し訳ありません。こんな公の場で失礼だとは重々承知しています。ですがこれには事情があるのです。お話を聞いてくれませんか?」
俺は営業スマイルと申し訳なさそうにする表情を使い分けながら。相手に同情の感情を誘いかける。
「何があったんですか?事情があるのであれば伺いますよ。」
俺の変貌ぶりに驚きつつも律儀に聞き返してくる。少しでも正義感がある人間であれば、普通相手が必死に語りかけてこれば応えるものだ、そして聞いた後には相手の意見をのんだ上で思考を整理する。だが俺はそんな生ぬるい会話パターンは用意しない
「私は昨晩祖父であるジロキチおじいちゃん、叔父にこの村のことを伺ったのです。帝国機関の方、あなたのような方たちのおかげで不自由なく安心して暮らせていると伺いました。ありがとうございます。」
「..いえいえこれが私達の仕事であります。秩序を慮る帝国機関として当然であります。」
やはりそうか。いくら秩序を守らないといけないとはいえここでは限りなく少数であるため、クズヤロウ達に支持しなければ生活できない。正義感は持っていたというところか、だが慢性的な微犯罪行為に目を瞑らなければなければいけない日々が続くとどうだろう。このように口では正義を語っても口では嘘を発言しなければならない。本当につまらない表情だ。
「流石は帝国機関ですね。私は都心部からこちらに一時的に滞在しているのですが、都心部では重犯罪を裏では見過ごすような方たちがやはりいるんですよ。でもこの村では地域に密着ししっかり意見を聞いてくれる優秀な方がいると伺いました。本当にそうであり祖父のいるこの村は安全とわかり安心しました。」
心配そうに話しながらも、期待を訴えかける。こんな僻地みたいなところに飛ばされたやつだ劣等感がある場合が多い、だから逆にエリートよりも優れているのではと思わせるのは有効な手だ。
「そうでしたか。確かに帝国機関も一枚岩ではありません。深いな思いをさせてしまったことは私がお詫び申し上げます。ですがこの村は我々にお任せください!」
うれしそうにしやがって。ここでは上から褒められることはないし、爺婆からは文句や無駄な雑談に付き合わされることがしょっちゅうだろ。
だから禿るんだぞ。いかん上を見ては。笑ってしまう
「ありがとうございます。話が脱線して申し訳ありません。事情のことですが、以前祖父がこの小僧に捕まったと聞いたんです。帝国機関の方に助けてもらい事なきを得たと話していました。ですがまたいつ犯行してくるか分からないと相談を受けたのです。孫としてはなんとかしてやりたいと思うは当然だと思いませんか?」
さぁここからだこちらの正義がどこまであるかを伝えなければならない。怒りの感情をあらわにする。この捕縛の件はそちらにも非がある。無下にはできまい。
「..そうでございますね。あなたの叔父を危険な目に合わせてしまったことは申しわけありません。ですが暴力行為を認めるわけには...」
ようし、迷走しているな。感情の右往左往しているのが丸見えだぜ。これは俺の観る目を使用しなくてもわかるがな。
「確かにそのとおりですよね、でもまだあるのです。叔父の畑が遠くにあるのはご存じですよね?。そこで罰としてこの小僧に耕すという名目でチャンスを叔父は優しくも与えていたのです。ご存じでしたか
?」
「畑のことは知っています。罰のこともええ知っています。」
だよな。あの爺さんのことだ当然この捕縛事件をうまく使ってこいつらの弱みを握るだろうな。
「その罰のことなのですが、この小僧はチャンスを与えられているにも関わらず、仕事はさぼり、あまつさえ叔父に向け、..あのクソジジイィ!いい気になりやがって!許さないからな必ず必ずコロシテヤルと口ずさんでいたのです。それは私が偶然聞くことができました。なぁ小僧、そう言ったよな、もう一度あの時の言葉を言え!」
「..あのクソジジイィ!いい気になりやがって!許さないからな必ず..ぐぅ..」
「もういい黙れ!この人殺しが!聞きましたか!この小僧は危険なのです。ですがそれでもこの小僧の命を奪うことは私もとい叔父は望んでいないのです。仕置きが必要だと思いこんな暴挙に出ているのです。反省させるために!それでもダメだとおっしゃるのですか!これはこのような小僧をこれ以上生まないようにとも思いもあるのですよ!」
俺はこんな演技を繰り返しながらも大胆にアピールをして、注目を集めた。正義がどこにあるのかをハッキリさせるために、ここで抗議をすれば相当な反感を買うだろうな。さて自己犠牲かお前らの秩序選びたい方を選ぶがいい。俺はどちらでも構わない。行き着く先は見えているからな!
「..ん.そうでありましたか。流石はジロキチさんのお孫様だ。立派なお考えに脱帽をしましたよ。短い期間の滞在だと思いますがこの村のためありがとうございます。」
ひひッははぁッははこれは愉快だな~やっぱり取るよなお前らのいう秩序ってやつをよう!ダメだここで笑ってしまってはいけない。
「ご聡明な決断ありがとうございます。短い期間ですがお互い勤めを果たしましょう!」
俺は握手を求める。これも大切なことだ。周りにはしっかり合意したことを見せつけられる。
「..はい勤めを..果たしましょう。」
ものすごい罪悪感を感じてる表情をするじゃないかよ!だがなこれまで子供達はそれ以上に苦しんで来たんだよ!この世界の未来を奪うような真似を俺は決して許さない!
そして俺は話かける前以上に過激にヤマタケを詰る。
他の警備隊は当然動かない。なぜならさっき出てきたやつが親であることは分かっていた。仮に下っ端が来ても親を呼ばせる方法は考えていたから面倒がなくなって助かった。
「さて俺の行動で子供達しいてはゴブリンどもはどう動くかな、楽しみだな、ククッまた楽しいショータイムが見れそうだぜ!」
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