11-8 嘘の本流は正義に輝く⑧
シンドウさんはミーアの元へと駆ける
周りの様子を伺いながら路地裏を辿っていき屋敷を目指す。
敵の戦力は現時点8割方は崩れているだろう。
正面からどうどうとは来ないと思っても警備は立てねばならんと思うのが守勢側の悩み所のはずだ。
故に戦略的には要所に少数精鋭を置き時間稼ぎしている間に増援を呼ぶ。
「流石にセオリー通りにならんか....。」
「ふん...戦略としては実に読みやすいと言わざるおえんな。楽に死ねると思わんことだな。」
目の前には幹部クラス3人とその下に4人づつの計12人..ガスマスクを着けている
俺の行き先がバレるのは当然としても待ち伏せされるというのは普通では考えられんな。
路地裏を通るルートは4つは確認している。しかし俺が通るのが分かっていたという人数配置だ。
「お前ら....いくら何でも女性のストーカ行為してでも俺を見つけたいのかよ。犯罪者予備軍は
これだから手におえんのよ。」
「そんな方法ではないのだがね..(ッタン)..ふざけたやつだな。」
会話の途中でいきなり足を狙い発砲された。
まぁ避けるのは当たり前だとしても失礼なやつだ。
方法は分かっている監視カメラでも動いているのだろう。
文化の発展は嫌になるな。12年前はそんなもんなかったぞ!
「会話をする時は相手の目を見て話せって言われなかったか?わずかに目を下げなければ掠ってたかもしれんよ。」
いくら動体視力が優れていても無挙動・無動作で撃たれたら反応は遅れる。
どれほど強くなろうが不意打ちで後ろから刺されたらアウトなのは変わらない。
「普通はその程度の挙動気づいたとしても避けられる筈がないのだがな。最大限注意し仕留めさせて貰おうか。」
「いやいや多勢に無勢すぎる(ッタン)でしょ....。」
俺は諦めの様子を体現しながら瞬時に発砲した。
手下の一人が撃たれ血しぶきを上げる。
早撃ちと虚をつくことこそが射撃の命中率を上げる。
助言してやったばかりなのにな。
「貴様ぁぁああああ!」
「おいおい怒るのは道理に合わんだろ?撃っていいのは撃たれる覚悟のある....コホンッ。」
ナイフ片手に突っ込んでくるを紙一重で躱しガスマスクを外してやる。
「人の話は最後まで聞くもんだぞ?」
口に手を当て呼吸を防ぎ引き下がる。
ガスマスクの予備はあるようで再装着している。
「油断や隙を感じるのに瞬時の動作は洗練されている。どのような戦いを繰り返せばそんなスタイルになるのだか。」
そりゃ周りが化け物みたいなやつな上に俺の障害となる者は格上ばかりだ。
真正面から戦って勝てるなんて甘い考えはとっくの昔に捨てた。
勝つためなら手段は選ばんよ。
「そんなご考察垂れていていいのか?長期戦はオススメできないぞ?」
俺は挑発まがいにまた助言を言う。
相手の出方を伺う必要はないのだが少しでも情報は確保しておきたい。長期戦になるなら....早々に皆殺しにしかねない。
「オススメできないか...そうは思わんが決着を早めるのには同感だな。」
陣形を変え八方から攻めてくる。
いくら素早くても死角は必ずできるからな。これはセオリー通りに打ってくるか。
「なんだこれは!?...煙幕か。」
少しの間だけの目眩しにすぎんがそれで十分だ。
こんな短時間で殺し切るのは不可能だが作戦は成功するだろう。
「ぐぁあ....」「ゴフぅぅ」
「くそがぁぁ!【風】よ巻き取れ!」
魔術師がいたようで煙幕はすぐ晴らされた。2人程は即座に潰せたがまだ多くいやがる。
「生存者確認と敵の場所把握次第伝えろ!」
混乱の最中即座に指示を出す幹部であったが遅い。
「コマンダーF!先程の混乱で行方不明!」
「敵確認できません!」「「「同じく」」」
「どこに行きやがった!!」
隠れるのは必然である。
いずれバレるだろうがすぐには無理だろうな。
「陣形は乱すな!まだ近くにいるはずだ。」
「「「了解!!」」」
「同じ手は食わん。煙幕用にツーマンセル!魔術要因はフォーマンセルで守りを固めろ!」
「「Yes!sir!!」」
適格な支持は飛び交う。
煙幕明けからわずか3分でこれだ。こいつら軍隊並みの結束力だな....。
ッタン
「ぐぁぁああ!」
「誰が撃たれた!」
「コマンダーI沈黙...即死です。」
「皆動くな!撃たれた方向、場所、角度を報告せよ。」
「心臓に方角南西、角度80°です。」
「ご苦労。南西80°ということは遠距離狙撃ではない。紛れていやがるな。」
ご明察の通りである。
人を隠すなら人混みの中がよい。
ガスマスクなんて付けていたら顔なんて把握できんだろうからな。
「南西にいるそこの5人!ファミリアの協定を..ゴファアア」
命中っと。ちんたら確認なんてしてるから隙が生まれるんだ。
幹部1人と下っ端2人は死亡か。
「私レオが指令長を代理する。皆手を地面に付け待機せよ!」
「地面に手を付け!Yes!sir!」
「「「Yes!sir!」」」
全員が手を地面に付け幹部の指示を待つ。
「皆周りの声に注目し!協定一か条を復唱せよ」
「ファミリア内での....!?」
「お疲れ様でした〜」
俺は1人立ち上がり罠を作動させる。
全員のガスマスクが取れ無防備となった状態で復唱すれば自ずと息を吸う。
見えない程の細い糸を混乱の最中に付けて引っ張るそれだけだ。
普通は外れそうだったら手で隠すし呼吸を抑制するができんわな。
さらに言えば俺の毒は重力に負け時間と共に地面に付着していくからガスマスクなぞ立っていれば効果はすでになかったのだが初見じゃわからんよな。
思考している間に1人1人倒れていき最後の1人が手を付けたまま固まっている。
「最後まで話を聞くこと守れたじゃないか。もういいぞ裏切り者【死】ね」
最後の1人が倒れ伏せる。
ナイフで特攻して来たやつに既に楔として打ち込んだ種は煙幕の間に開花させ命令を与えた。
合図と共に仲間を打たせて周りの視線が集まると同時に逆側から発砲する。相手のどんな要求も効かせられるため協定を言わせることもできたが失敗は困るからな。
関門としてここでラストだろう。
ダグザがこの状況を見て次はどんな一手を打つのだろうか。
残すはダグザ
大将としてどう向かい打つのか!




