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11-7 嘘の本流は正義に輝く⑦

シンドウさんの戦略を綴る

 街とはいえ広さは直線状を走り抜ければ30分程で通り抜けることができる。

 ではどこにミーアとクリスは隠されているのだろうか....。

 今の俺には仲間もいなければ部下もいない。お宝探し並みに難易度高いんだよな。

 んじゃどうやって見つけるかって?

 さんざん俺の行動を語ってきたなら分かるだろう。


「なぁ~裏切りもんのクリスさんよぉ~どんな最後を遂げたいか答えてみろよ。」


 俺は営業スマイルをふんだんに駆使し相手を怯えさせないように試みる。

 表情筋は鍛えればコントロールできるものだ。ただし現在は平静でいられるほど落ち着いてはいられない。

 あくまで目と口を三日月に染め上げ語りかけるので精一杯である。


「シンドウ君....いえあなたは誰なの?おぞましい....!?」


 襟を掴み上げ呼吸状態を悪くする程度に留める。

 誰なの?とはなんのことを言っているのだか....俺はシンドウである。

 昔も今も根本は変わらない。悪である以上の何者でもない。


「そんなに早く死にたいのか?.....まぁいいミーアはどこだ。言わんでも探し出せるが時間の都合上よくないんでな。」


 聞き出すことなぞいつでもできる処理手順が変わるだけだ。

 現在街ではそこそこ目立つ屋敷の天井にてクリスを誘拐し尋問中である。

 騒動でダグザを誘導しその隙にクリスを探し当てた。探し当てたというより構成員が教えてくれたんだけどね?


「...分からないわ。最後に見たのはダグザが肩に担いであの屋敷のどこかに隠した...それだけよ。」


 指さした先はこの街一番の大きさはある屋敷。唯一鯱なんて飾りをつけた豪華さだ。悪趣味というか傲慢というか....壊すか。


「そうか。ならばこの街からは早々に立ち去るといい。マフィアおよびマフィア関係者以外はどうでもいい。まだ無関係として扱おう。」


 クリスを亡き者としてしまうとおそらく厄介者が現れるだろう。さらには曲がりなりにも借りがある以上無下にはせん。もう出会わないこと祈っているといい。

 俺の計画はこれ以上狂わせるわけにはいかん。


「....けほぉ..けほぉ..。私を殺したとしてもシキは動かないと思うわよ。たまたま縁あって巡りあっただけよ。」


 自分の存在価値を見定めたようだな。確かにシキが動くとは俺も半身半疑なんだが100%ではない。

 やつは動くときは必ず動くし、俺のバッドタイミングにはそれ以上に確定的に来る。


「...まぁいい。血なまぐさい光景を見たくなければ去れ!これ以上の警告はなしだ。」


 俺は撒いた種を発芽させるように魔術の起動を行う。

 遠目で確認する限りでは騒動は収束したようだな。

 収束して一息つきたいところだろうが残念ながらそうはいかない。

 俺には根本的には魔術の才能なぞない。修練を積んで手のひらサイズの事象変更しかできない。

 ケンジのように魔術の剣戟を飛ばすようなカッコイイこともできんし、ユイのように周りの環境すら影響を及ぼすような事象変更もできんし、マカベのように物に魔術を宿すようなこともできん。

 だが才能はなくとも別の突出した紛い物は生み出せてしまった。


「なぜこんな物を俺に寄越してしまったのかな....。」


 俺は俺が理解できる物なら生成できる。この観る目は成分分析を客観的に捉え生み出す際に誤魔化すことができる。いや必ず異なる異物が入り込んでしまう。

 簡易な魔術ならそこまで差異は生まれんが高度になるほど複雑さは増す。

 複雑さとは化学的要素である。

 学園で雷を生み出していた学生がいたがあれは魔術の中では簡易な方とも言える。雷は元素としては存在しないのである。事象が事象のまま生み出したもの静電気を思い浮かべてくれればわかるだろう。なにもない場所に生み出せる...それは誰でもできることだ。その代わり理解するのは困難であり感覚的に捉える才能も必要とする。

 しかし複雑だが才能を必要としない魔術も存在する。生成だ。

 作成工程を身体に染み込ませるほどに積めば実行可能だ。士官学校卒のミーアや鉢巻はそこで習得したのだろう。


「さぁ芽吹け種よ。」


 俺は手のひらに生成した大量のとある成分が入った粉を宙に撒く。エタノールである。

 エチルアルコールとも言う...ようは酒である。

 胃酸分泌を過度に引き起こし脳は悲鳴を上げる。

 そして最後には....。


「夜はまだ明けない。災害が通り抜けるまではまだまだ足掻いて貰うぞ。」


 相手の戦力を削る上で効果的な方法は多くあるなかでも疲労は誰もが必ず起こるものだ。騒動による混乱に仲間との同士討ちで精神は疲労する。そして収束し一息ついたタイミングで追撃をする。これ以上ないほどに体力面にも精神面でも負荷が掛かることだろう。


「じゃあなクリス長生きしたかったら俺と関わらないことだ。」

「...!?ひぁっ....」


 襟を掴んでいた手を離しながら屋上から突き落とす。

 何もできなければ死ぬだけだが大丈夫だろう。


 遠目で確認すると徐々に具合が悪化していってるやつらが見えて取れる。おそらく対策はすぐされるだろうが時間は稼げるだろう。


「調子こいてるやつ愚か者がどう打ってくるか....ミーアの確保は目的とされてるだろうから罠が張るよな....」


 面倒ではあるがミーアは必ず取り戻す。

 そう決意し屋敷を目指すこととしよう。






クリスさんはシキによって助けられているのだろうか....

ビル5階建の屋上分の高さです。

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