11-4 嘘の本流は正義に輝く④
シンドウさん
悪魔バージョンというべき姿が顕現する
「ウァァァァァアア耳がァァァアアアア」
「あ、あうあ、ああああ」
「............。」
皆とてもいい表情をしているな。
生きることの実感は死に近づくほど強くなる。
彼らは人生で味わうことなど到底ない痛感を抱いているだろうな。
現在ガロンファミリアのメンバー9人程を狂わせて連れて来ている。スリーマンセルを組み森で忍んでいることは分かっていた。だから1人は隷属させ2人は魂が自己存在を完全に否定しない限り苦しみ続ける痛感を与えた。
「しっかり連れて来いよ。ポチ、タマ...えっと名前何にしたんだっけか。.....いいや【覚】え直せスレイブだお前の名前は!」
「............。」
無言で相槌を打つ。
隷属した3人には痛感している二人を運ばせている。
目的地までは後少しか。仲間という名のペット共を増やすのもこれくらいでいいだろう。
さあ夜に沈む街が混沌に支配されるのを見るのは最高のショータイムとなるだろうな。
刃向う者はもう既に敵だ。命乞いなぞもう遅い。俺の大切なモノを奪った報いは受けて貰う。
「ポチ、タマ、スレイブ!命令だ。手に持つゴミを適当にばら撒き敵を引きつけろ!引き寄せられたゴミは処分しろ!」
「「「..........」」」
黙って頷き街に走りだした。
ゴミの処分と言ったが可能なのか?と疑問に思うかもしれんが可能だ。
今のペットは自我をなくし命令に従うだけに全神経をかけている。人の持つリミッターは完全に外れている。抑えなければ崩れる筋繊維を無視した動き、人を襲うことへの躊躇いのない感情がペットだ。しかもペットと敵は苦楽を共にした者通し敵さんはさぞ戦い辛いだろうな。はぁ~こんなのないよな~こんな惨いことやるやつなんて正気の沙汰じゃないだろうな......。
「さてこんなショータイムじゃまだ満足してくれんだろうからな。さらなる混沌をご用意させていただきましょうか。」
正気なにそれ美味しいの?
ボスの表情がこれ以上ないほど歪む顔がもう堪らなく見たいですね。
俺は混乱が起きたこと遠くで確認し次の計画に移行する。
◇
現在遠目にガロンファミリアは混乱を収めるため紛争していることを確認する。
「派手に暴れまくっているじゃないの。」
建物の上から確認を終えて次に非戦闘員の集まりを確認する。
ガロンファミリアを少数メンバーが避難誘導を行っている。
街を成り立たせるには当然非戦闘員役は必要となる。この区画に来るのはレベルが上がった戦闘タイプだけではない。レベルとは力と直結しやすいがその他にも上がる要因は存在するし、引退して隠居してるやつもいるだろう。
「俺が何考えてるかって?.....そんな非戦闘員すら手にかけるようなことないよな~。いいやガロンファミリアが苦しむならどんなことだってしてやるね。」
独り言を呟くほどにテンションは向上し、もう考えてることが悪魔的なことは既知であることはご存じである。もうダメだ抑えられない。かつて幾度も呼ばれ忌み嫌った二つ名である災厄の魔王として片鱗がまた開化しようとしている。恥ずかしすぎる!もう二度とあんなことしてやるものかと何度も自制したのに本質は変わらないようだ。
「ヒャハハハハハハハ!」
「なん...!」
建物を伝って非難誘導しているガロンファミリアの上に飛び降り倒れ込ませる。
さらに髪を鷲掴みし顔を無理やり上に向かせ視線を合わせる。
「おい!死ぬか従うか選べや!」
「貴様!何言ってやがる離....がああああああ!」
手始めに腕を曲がってはいけない方向に曲げる。
「早く選べや!もたもたしてっと殺しちゃうよ?」
「う...う。テェんあああああああああ!」
こちらに曲げた腕の先の手の指と爪の間に針を指しこむ。まずは一本目。
これは痛いんだよな。指先は神経の塊。痛感としてはかなり高い。
「さぁ!あと指は19本いや神経の塊なんてまだまだあるからな後何本欲しい?」
「...ううう。..やめて...。」
営業スマイルに付け加え三日月型に口を曲げこれから往くであろう地獄を教えてやった。
構成員は心が折れたのか表情が真っ青に染まっていく。
「仕方ないやめてやる...。「服従」しろ!」
「!?.....はい。」
服従・・・命令をよく聞いて、素直につき従うこと。
今回は自我を失わせる必要はない。相手は非戦闘員。
戦う事ことを想定しない構成員なのだから。
「ボスとしての命令だ。女は見せつけるように犯せ!子供や老人は動けないように足の腱を切れ!それ以外は死なん程度痛めつけ捕縛しろ。」
「イエス...ボス!」
高度な命令の場合は自我がなければ難しい。
「避難誘導の構成員は少人数とはいえ面倒なもんだ。まぁメインを食す前の前菜みたいなもんだ。働いてやるさ。働くことは素晴らしいな。ハハハハハハっ」
夜の月が辺りを照らし心に住まう鬼を開化させ続ける。
まだまだ前菜となるショーは後半に持ち越される