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11-1 嘘の本流は正義に輝く①

過去編終了

新章です。

 俺はよく強さは物理的な力とか知恵だとか意志力だとかいろいろ考えたことがあったな。


 だがそんなものいつ崩れるか分かったもんじゃない。

 物理的な力は現代に置いては武器でも作れば容易く敗れる。

 知恵はそんな武器を作れる人の最大の力だろうが、これも容易く敗れる

 最大の武器は人である以上すべての人類に可能性がある。だからこそ争いが生まれ団結することはほぼありえない。

 最大の武器を最も発揮するために必要な意志力がある。覚悟とも言えるだろう。

 だがそれも時として容易く敗れる。人には..いや生物である以上善意あれば悪意がある。

 絶対的な力なぞ存在しないというのが結論となるのではなかろうか?


 だから絶対的な力を定義しようと思考をし続けた結果として導き出されたのは


 生物を滅ぼす力と同義である。


 これが思い至った答えだ。

 生物にとって必ず訪れる死

 なぜ死ぬのか?どうやったら死ぬのか?

 逆にどうすれば死なないのか?

 過去の俺の問いに答えるのはいつも悲惨な末路を辿った末に観えた色だけだった。


「どこのどいつか知らんが【生】きるがいい。お前の罪はただ一つ。抗う力がない。それだけだ。」


 俺は目の前に崩れ落ちているジャックナイフを持つ男に語りかけ踵を返した。

 罪と言うなら勿論俺もそうである。

 ミーアを見殺しにしたようなもんだ。

 生物は死んだ以上蘇らない。だからこそ大切なモノは守らねばならないだろう。

 死とは無縁である地球での生活が長く続いていたことを言い訳にすることはできない。

 責任は俺にあるよな.....。


「あの....シンドウ君なのよね?」


 俺の殺気に反応し森林の木陰に隠れていたクリスが出てきた。

 正直周りの全てを射殺すレベルの【殺意】をばら撒いたのだろう。

 感情のタガが外れるという経験は久しぶりであり全く制御が効かなかった。

 俺は冷静さを取り戻し視線をクリスに向ける。

 クリスは確かな足取りでこちらに近づいて来たが距離が詰まるにつれ小鹿のように足を震えさせた。

 いかんいかん。まだ感情の波が収まっていないようだ。

 むしろ俺の状態を身体を張り教えようとしてくれているのだろうクリスに甘えてはいけない。


「....ふぅ....。」


 思考を真っ新に、クリアにしていく。

 深呼吸は精神統一をする上で重要だが、今回は集中力を増す方ではなく霧散させるために使う。


「気遣わせてすまんな。楽にしてくれ。」


 クリスは気が抜けたように崩れ落ち女の子座りとなった。

 いくらなんでも怖がりすぎではないかな?と思ったが大の大人がキレていたら普通怯えられるか。

 ...いや今の俺は高校生くらいのガキか。

 全く頭が回っていないな。


「その...人並みのことしか言えないけど。千秋さんのことを重く捉える必要はないと思うわよ。少なからず戦場に立つ身なのだから自分の身は自分で守るのが当然よ。」


 クリスの言い分も正論であろう。

 弱気者は淘汰され強気者は生き残る。それが節理というモノだ。

 クリスは気を引き締め立ち上がった。


「自分の身は自分で守る。それは当然のことだ。それ自体は正しい。.....。男としてのくだらんプライドだと思ってくれればいい。」


 女を守るのは男の仕事だとかそんな程度の低い論議をしたいわけではない。

 だが失うくらいならそんな簡易なプライドでいいから貫きたい。

 我儘をいっているのだろうか....。


「ひとまずはここから離れることとしよう。ミーアの死体は必ず彼女の心が休まる場所に届け眠らせてやる。」


 鉢巻とは一悶着起きるだろうが聞き出すしかないだろう。

 死体の状態もできればまだ綺麗な内に保護したい。

 計画を前倒ししてでもこの監獄から早く出るようにしよう。

 俺はミーアの傷口を回復魔術で塞ぎ遺体を運ぶ。

 とりあえず街に戻り安全な場所に保管が優先か、次はこのエリアの制圧動く必要があるな。


 ....。


 どれだけ時間が残されているか分からんのだ。気を引き締めろ!と心で叫ぶが力は入らない。

 5分も経たず。俺はミーアの遺体を降ろしてしまった。


「おかしいな。慣れない戦いを行ったから。疲れが溜まったか...。」


 こんなことではいけない。

 亜神種どもがもし攻めてきようものなら種が滅ぶ。

 昔戦ったダークエルフは運が良かっただけであった。弱点も戦力も把握できていたから覆すことができただけだ。俺達は間違いなく亜神種共に危険視されているはず。俺とユイだけは自分達の手から離れたとしれば消されるだろう。


「休んではいられん!」

「いやシンドウ君。休みなさい。千秋さんは私が運ぶわ。異論は認めないからね!」


 クリスは腕を組み溜息吐きながら仁王立ちで見下ろしてくる。

 情けない姿だよな。覚悟がまだ足りなかったってことか。

 マカベからエリア0に関しては以前聞いた。約10年で技術進歩し戦えるかどうか聞いたが解答はNOであった。恐らく俺が戦略を再度立てても勝てる確率はほぼ皆無らしい。

 だからこそ今を生きる若者にさらなる力を付けて貰い確率を上げようと考えた。

 アカシの言葉に従い託せるモノは託したつもりだ。

 仮に俺が死んでも希望はあるだろう。


「いいやここは引けんよ。休む必要があるのは分かっている。10分ほど休む。」


 俺は胡坐をかきながら目を閉じ気持ちを落ち着かせる。

 ここまで打ってきた手に間違いはないはずだ。

 ケンジとマカベは必須だった。ヤマタケだけは当初の予定とズレたが間違いだったとは思わない。

 自然と今までのことを思い返しながら微睡の中意識が沈む。


 ..

 ....。


本編

ストーリは動き出す

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