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9-1 嘘は反逆者達の生き様を観る①

シンドウが目覚めた先は!

 

「ここはどこだろうか?」


 俺は意識を取り戻すと布団で寝かせられているためか天井が視界を覆う。夜?なのか周りは薄暗く場所の把握ができない。


「とりあえずどこかの建物の中で治療を受けていたというところか。」


 目が慣れてくると室内の状況が認識できたため出ることにする。


「ん?あんたは確かクリスだっけかなぜこんなところに。」


 部屋を出ると思考に耽っている様子のクリスが椅子に座っていた。


「シンドウ君目が覚めたのね!良かったわ。」

「あぁ。ここは第三区画なのか?」


 クリスさんがこの場所にいることでまだ第二区画にいることを懸念したが、逆に考えると俺の看病をクリスさんが行っているということは状況として何かが起こっているのだろうと思う。


「はいここは第三区画です。他のみなさんはこの区画の影響とでも言うのですかね。はぐれてしまっています。」

「そうか。状況説明できる時間はあるのか?あれば情報が欲しい。」


「時間の方は正直あるかどうかは分からないです。こうしている間に敵が襲ってくる可能性は否定できません。1日と半日分はこの場所で見つからなかったので大丈夫だとは思っています。」


 襲ってくるか分からんってことはこの区画に入った時から何者かに狙われているということか、そしてクリスさんは戦闘向きではないため俺と共に逃げた。いや殿を皆が行ってくれたことでここに辿り着いたとみるべきか。


「場所を移すとしよう。二点だけ答えてくれ。この区画に来たメンバーは誰だということと何か待ち合わせのような物は決めているのか?」


 部屋の状況を見た時荷物等はなにもなかった。俺の荷物はないし服は血が乾いた様子を見ると着替えすらなかったようだ。空間魔術で格納した物はなくなっている。服一式また買わないとな。ケータイはケンジとの戦闘が予測されていたためミーアに渡しといておいた。


「この場所に来たのは7人であの場にいた全員です。シキさんの暴露を聞いてしまったため全員落とされてしまったんです。待ち合わせは2週間後にクイーンズストリートの時計台にと言付を預かっています。」


 マップ情報は得ているのか、そして監守長め全員落としやがったのか..。シキの懺悔が予想以上だったため聞いただけでも罰を受けてしまったのかな。本当にロクな目にあわんなシキと関わると。


「分かった。状況説明も含め移動しながら話そう。」


 ◇

 俺とクリスは外に出た。


「ここは監獄の中なんだよな?」


 俺が外に出て確認すると住宅街があり遠目に見れば森林があるように見える。空が見えるというわけではないのだが違和感がある。今までは巨大集合住宅みたいな建物に部屋が割り当てられいたが、ここでは家が建つのか。


「私も初め驚きましたが間違いありません。そしてこの第三区画の人口がこの監獄で1番多いと案内を受けました。」


 ならこの監獄が1番下に行く条件が厳しい可能性もあるわけだな。


「先ほど話していた敵のことだが、まだ俺達を見つけようとしているということでいいんだよな?そして敵とは何だ?」


「私達を探してるのは確かです。敵はマフィアと呼ぶのが近いと思います。」


 あぁ〜納得した。どうりで第2区画は監獄っぽくないわけだ。


「マフィアか...。また厄介そうだな。先ほどの建物への避難はどこかのマフィアに用意して貰ったってところか?」


「そうです。ガロンファミリアというマフィアが逃げている最中に手を貸してくれました。」


 派閥で別れている。このエリアはガロンファミリアが占めているのだろう。


「そのガロンファミリアのボス又は幹部と話すことはできるか?」


「幹部の方であれば場所は知っています。案内しますか?」


 この場所の情報を整理したいし、よく知っているやつと話すほうが効率がいいからな。


「頼む。あまりいい話は聞けないかもしれんがな。」


 ◇


 10分程歩き辿り着いた。


「姉さんと倒れてたやつか、何の用だ。」


 俺は幹部がいるらしい建物の前まで来たのだが門番らしい男がいた。姉さんって..クリスは慕われてるのかな?


「俺の名前はシンドウ。お前らの幹部と話がしたくてな取り次いで欲しい。」


「姉さんはいいがお前はダメだ。素性の分からんやつを合わすわけにはいかない。」


 俺ただ取り次いで欲しいと言っただけなんだがな。合わす気がないのか、こいつらがアホなのかは知らんが程度が知れるな。


「クリス行って来て事情を説明して来てくれ。俺は待っている。」


「分かりました行ってきます。」


 無理矢理通ることもできるが荒事は勘弁だからな。


 ◇

 30分程経ち


「シンドウ君何をやっているんですか?入っていいそうですよ。」


「話は済んだってことだな了解だ。」


 俺は先ほどの門番を椅子替わりにしてが起き上がりクリスの元へ行く。荒事を起こす気はなかったが門番が挑発じみたことをしてきたため返り打ちにしておいた。


「こんな能のない下っ端を門番にしてるくらいだ。幹部はさぞかし優秀なんだろうなぁ〜門番君よぉ。」


 門番はこちらを倒れながらも睨みつけてきた。幹部への忠誠心は高いってところか、どんな人物か楽しみである。



 

「あんたがファミリアの幹部なのか?」


「口の利き方が偉い上から目線だな小僧。シンドウだったか。」


 年は30代後半のアウトレイジなおっさんだな。強面はモテんぞ〜


「俺も敵対するような物の発言はしたくなかったんだがな、あんたの下っ端である門番があまりに能がないんでな正直あんたを過小評価してるところだ。」


 睨み合いが始まる。クリスは慌てふためいている。


「ほう。確かに門番の柊は馬鹿ではあるが強さはある。返討ちにしてきたってことかい。」


 確かに俺の価値観になるがレベル2の中では強い方だと思う。


「あれくらいなら100人来ようが負ける気はしないな。まさかあれがこのファミリアのトップクラスってやつなのかい。」


 尚も挑発と威圧を掛けていく。こういうやからは舐められたら終わりだ。人の価値をそういう所で判断するからな。


「はぁ〜やめだ。探り合いをして損するのはこちらのようらしいな。何が目的でここに来たんだ?」


「釣れないなぁ〜まぁいい。最近この第三区画に入って来た者の所在を知っていたら教えてくれ。もし条件があるとかだったら敵勢力を減少させるとかならやってやる。金は持ってないんでな。」


「それは安易に傭兵くらいならやるがどこのファミリアにも属する気がないということか。」


 このおっさんは頭が回るらしいな。俺は誰かの下に着く気はない。仮に俺は入っても謀反を起こすだろうしな。


「組する気がないなら、容赦しないとか言い出すかい?だがそうしたら間違いなく勢力のパワーバランスを崩すことになるぞ。」


「クリスさんに滞在を許してはいるが、抗争のことは一切教えていない。どこまで知っている。それともやはりブラフか?」


 ブラフに決まっているだろう。なんなら目が覚めてから1時間くらいしか経ってないぞ。知るわけないだろ。


「自分で考察することだな。所在を知っているなら早く教えろ。教える気がないなら自分で探すからいい。だがあんたとは二度と友好的な取引はしなくなるがな。」


 こんな問答に付き合ってやる気はない。交渉とはいかに相手の選択権を奪い。メリットを提示し釣るかだと思っている。相手の思考を誘導することは詐欺行為に近いと思っているが日々何気なくこういうことは起こるものだ。気にしていられない。


「立場が分かってないというわけではないと思っていたが図に乗りすぎたな。お前がいくら頭が回ろうと強さがあろうとそれではお仲間を探し出すなんて無理だと思うがね。交渉は決裂だ。ここから出て行け。」


 俺と相対する気はないか。実力が計れない相手ではないらしいな。選択によってはここの組織をつぶす予定だったがやめておこう。


「置いてくれたことには感謝している。俺の仲間に手を出すような真似はしていないようだな。これは借りでもある。何らかの形で返しにはくるさ。」


 相手の返答に嘘はなかった。この男は仲間の所在を知らない。知っていたら交渉に使っただろう。

 俺はクリスを連れ建物から出る。


「クリス悪かったな。俺を守るためあいつらと何かしら交渉したのだろう。」

「シンドウ君はどこまで読んで行動をしているの?私はこれでもギャンブルに強い自信はある。交渉なんてギャンブルに比べたら楽なもんよ。」


 理不尽な要求を受けたわけではないようだな。


「俺のためにクリスが自分の身を売りにでも出していたら責任を取らんといけなかったから安心したぜ。」

「そんなことしませんよ。シンドウさんには想い人がいると聞いてましたが、愛人を囲うきでもあるんですか?」


 そんなことしないさ。俺がユイを悲しませるわけないだろ。


「責任の取りかたなんてさまざまだろ。クリスを悲しい目に遭わせたやつを二度とお天とさんを拝ませることができないようにする予定だった。それだけさ。」


 最初の予定として組織をつぶす気だったが、クリスと幹部の様子を見てそういう行動はなかったと判断ができた。


「おっかないわねシンドウ君は。シキに似ているわね。...いやそうな顔。」


 当然だ。あんなのと一緒にされては困る。あいつは俺も引くくらいゲスイぞ。


「シキのことはもういい。俺達がここに来る前に分かれた順番を教えてくれ。」


「分かったわ。最初にケンジさんが俺のことはいいから好きにしろと相手に突っ込みました。」


 ...まぁ分かってたから驚かないな。


「次に金棒さんが何者かに拉致されて消えてしまったわ。」


 ...いたなそんなやつ。しかも拉致ってところ聞くと助けなかったのかな?


「次に千秋さんが私シンドウ君にためだったらこの命惜しくないわ!っと叫びながら敵に突っ込み、それを鉢巻さんが不意を突き気絶させ千秋さんを抱えながら囮として殿を務めたわ。流石に二人背負う事は難しいようでシンドウ君は私が背負うことにしたの。」


 ...ミーアなんか気絶させられてばかりだな。いや俺のせいでいい解決法を鉢巻に教えてしまったのかもしれん。なんだかんだいって鉢巻がいちばん役に立ってる気がするな。


「俺さ鉢巻を部下にすると決めたよ。俺は鉢巻を幸せにしてやりたい。今久しぶりに人を祝福してやりたい気分になったよ。」


「...鉢巻さんとシンドウ君って真逆のタイプに見えるというかなんというか。鉢巻さんと別れた所まで行くということでいいのかな?」


 話が早くて本当に俺好みである。こいつマカベと同じタイプの天才かもな。


「頼む。クリスさんはまだ体力余っているか?」

「あまり体力面に自信はないのだけど。なにか力仕事でもあるの?」


 クリスさんにやって貰うのは申し訳ないんだけどな。


「悪いけどまたおぶってくれ。まだ傷癒えていないし体力も消耗しててな。」


 こんな短期間でケンジから受けたダメージが回復するわけがない。柊という下っ端が後3倍程強ければ危なかったな。


シンドウさんは今だ消耗しています。

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